目が覚めたらそこは未来

みゆき

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自分は誰?

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目が覚めると、体は重たいが動かす事はできた。もう拘束はされていない。

周囲を見渡すと、白い壁。そして、鉄製の丈夫そうなドア。トイレは設置されているが、仕切りなどはない。

まるで独房。どうしてこんなところにいるのだろう。頭がモヤモヤする。

僕は…そう、響。西山アキラ。16歳だ。

うん、頭は時間が経つにつれてしっかりとしてきている。

問題はどうして独房に入れられているのか。犯罪でもしたのか?

記憶は曖昧だが、拘束されながら何か言われていた。それは確か。

重たい体を起こしてベッドに座り込む。喉が渇いた。

「すみません!すみませーん!誰か、誰かいませんか!?」

鉄製のドアを力いっぱい叩きながら、限界の声量で叫んだ。

音は響くだけ。何も反応はない。誰もいないのだろうか。

周囲には水道が見当たらない。トイレすら、水洗ではないのだ。

無駄に体力を消耗してはいけない。余計に喉が渇く。

ベッドに座り込み頭を抱える。

過去の事が思い出せない。昨日の事すら思い出せない。

独房に入れられるには何か理由があるはず。日本でこんな人権を無視した監禁が行われている訳がない。

自分の行動が思い出せないので、独房に入れられる理由も分からない。

もしかして、僕は狂ってしまったのか?記憶がないままに暴れて、ここは病院の一室…?

有り得なくはない。それなら合点がいく。しかし、昨日だけでなく、ずっと過去が思い出せないのはどうして?

思い出せそうで、分からない。モヤモヤとした気持ち。

思い出そうと必死になっていると、足音が聞こえてきた。それは、こちらに向かってきている。

僕は立ち上がり、鉄製のドアを叩いて叫んだ。

「すみません!誰かいますよね!?」

恐らく、このドアの前に誰かがいる。立ち止まったはず。

ドアの上部がスライドして小さな穴からこちらを伺う目が見える。

「おはようございます」

「あの!ここはどこですか!?出して下さい!」

必死になって叫ぶ僕をじっと凝視する目。そして

「挨拶すらできないのですか。残念ですね。」

その言葉を残して、男の足音は遠くへ行った。

再び、僕はベッドに座り込む。

この状況で挨拶だって?誰だってできる訳ないだろ。少しは説明しろよ。

壁の一部がスライドして、奥から大きなボトルが流れてきた。

中には水が入っていた。喉の渇きのため、僕はとにかく飲んだ。

そして、ベッドに横になり、過去を思い出そうとする。
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