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ルシア奪還編
第五十三話 白虎と玄武
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◇◆◇
「『癒やし』――付与」
小瓶に入った水は『癒やし』の効果が溶け込み少し輝く。
タートリア公爵家の屋敷の一室にルシアが居る。
この部屋は一見、公爵令嬢の部屋と見て取れるだろう。
しかし、カーテンはあれどその向こうに窓はない。
ルシアの座る広い机の上には、水の入った小瓶が数百本置かれていた。
外から鍵を駆けられているドアを挟んで部屋の内外には、二人の衛兵が見張っている。
「『癒やし』――……あ。魔力切れを起こしてしまったわ」
「ルシア様、魔力切れでしたら、食事を召し上がってお眠りください」
「あの……私、お腹すいてないし、眠くもありません」
「公爵の言いつけですのでお守りください」
「……はい」
以前、ルシアは奇跡の秘薬の精製を強制されていたものの、軟禁であった。
それが屋敷に連れ戻されてからというもの、警備も強化されて完全な監禁状態となったのだ。
「はぁ……ライカ……私、辛いよ」
ルシアは布団を被り枕を濡らした。
◇◆◇
「タートリア公、無事ルシア様が戻ってこられてよかったですな」
「いやはや、誘拐された時には肝を冷やしたぞ。だが、これで奇跡の秘薬の精製も再開できるな」
「はい。計画通り販路の開拓も完了しております」
「さすがだな、マルイル。我らの計画も、これでやっと前に進む」
「はい。これも聡明なタートリア大公爵閣下のお力です」
「おいおい、マルイル。大公爵とは随分、気が早いな」
「「ハッハッハッハッ」」
ルシアの父、ガリアス・タートリアと北の地一の豪商マルイルが密談している。
ルシアが五つ星レアスキル『癒やし』を授かり、このスキルが液体に付与できると判明した。
その時に事業展開を提案してきたのが、このマルイルという男だった。
「ところで、ルシア様のご様子はいかがですかな?」
「ああ、完璧な監禁状態だからな。もう誘拐されることもあるまい」
「タートリア公、ルシア様の精神状態も気になさってください」
「なんだ、冷徹な豪商マルイルともあろうものが、随分と優しいことを言うのだな」
マルイルは鼻から息を吐き、一呼吸置いてから話を続ける。
「優しさから言っているのではありませんぞ。いい商品の製造機はしっかりとメンテナンスがあってのものですからな」
「公爵令嬢を製造機扱いとはな。ハッハッハッハッ! やはりそなたは冷徹だな」
「私は根っからの商売人でございますから」
タートリア公爵領の辺境の小さな村の商店の一人息子だったホンテ・マルイル。
一五歳の時に両親が死に、商店を受け継いだ。
村人では買えない高価な農機具や最新の設備を割賦払いで販売することで、大きな利益を生んだ。
それからも、この手法で販路を拡大させて行き、一代で巨万の富を得た実績を持つ。
「そうそう、タートリア公。大切な奇跡の秘薬製造機のルシア様には、万全の警護をと思いましてな」
マルイルは秘書に指示を出す。
しばらくしてタートリア公爵の執務室に五人の男たちと共に戻ってきた。
「マルイルよ、この者たちは誰だ」
「『厄災』の皆さんでございます」
「なんと! この者たちが、あの名うての傭兵団か!」
傭兵団の一人が、一歩前へ出る。
「団長のクエイクです。どうぞよろしく」
「あ、ああ、よろしく頼むぞ」
「それでは私たちは、ご用意していただいた部屋で待機させていただきます」
『厄災』という傭兵団の五人は部屋を出ていく。
「恐ろしい雰囲気というかオーラというか……私は冷や汗が止まらなかったぞ」
「はは。私もです。しかし、彼らがいればどんな者がルシア様を狙っていようが、絶対に大丈夫でしょう」
「ああ、しかし噂では『厄災』は法外な報酬と聞くが」
「払いはこのマルイル商会にお任せください。奇跡の秘薬の秘薬でたくさん儲けさせていただきますので」
◇◇◇
「なぁ、団長。なんでこんな暇な依頼引き受けたんだよ。オレ、戦争とか行きたいよ」
『厄災』の団員で一番若いケーノが膨れている。
「ああ、依頼が聞いた時にさ、吹っかけた報酬なのにあの豚が前金で払ったからだよ」
頬を膨らませた若い傭兵は、不服そうに団長に文句を言う。
「ったく、団長にはプライドってものがないのかね」
「勿論あるさ。俺は『金のためならなんでもする』っていうプライドがね」
「えー、ガキの護衛なんてつまんないよ。そうだろ? オーガ」
「俺は殺しが出来なそうなら鍛冶屋巡りして帰る」
「さすが、戦闘狂のオーガ・コーエン! 気が合うね」
オーガ・コーエンとケーノの言葉を聞いて団長クエイクの形相が変わる。
「お前たち。勝手なことばかり言ってると殺すよ?」
「ご、ごめん団長」
「ああ? 俺はいいぞぉ? 相手が団長でもよぉ。今やるか?」
オーガ・コーエンはニィっと歯を見せて笑う。
◇◆◇
小玄武と僕らは、激流の玄武川の前にいる。
「相変わらすここの流れは速いニャ」
「小白虎は白虎になったら渡れるんじゃない?」
「ニャレは水が苦手ニャんだ」
「そういうところ、やっぱり猫だね」
「ニャんだと! 細切れのひき肉にするぞ」
「あははは」
小白虎と久しぶりに、このやり取りをすると緊張がほぐれた。
いよいよ、ルシア奪還のために要塞のようなタートリア公爵家の屋敷に潜入だ。
「小玄武。用意はいい?」
「ああ、いつでもよかばい。鼈甲石をよこしんしゃい」
小玄武は、地面に転がる鼈甲石を咥えると丸呑みした。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――
「『癒やし』――付与」
小瓶に入った水は『癒やし』の効果が溶け込み少し輝く。
タートリア公爵家の屋敷の一室にルシアが居る。
この部屋は一見、公爵令嬢の部屋と見て取れるだろう。
しかし、カーテンはあれどその向こうに窓はない。
ルシアの座る広い机の上には、水の入った小瓶が数百本置かれていた。
外から鍵を駆けられているドアを挟んで部屋の内外には、二人の衛兵が見張っている。
「『癒やし』――……あ。魔力切れを起こしてしまったわ」
「ルシア様、魔力切れでしたら、食事を召し上がってお眠りください」
「あの……私、お腹すいてないし、眠くもありません」
「公爵の言いつけですのでお守りください」
「……はい」
以前、ルシアは奇跡の秘薬の精製を強制されていたものの、軟禁であった。
それが屋敷に連れ戻されてからというもの、警備も強化されて完全な監禁状態となったのだ。
「はぁ……ライカ……私、辛いよ」
ルシアは布団を被り枕を濡らした。
◇◆◇
「タートリア公、無事ルシア様が戻ってこられてよかったですな」
「いやはや、誘拐された時には肝を冷やしたぞ。だが、これで奇跡の秘薬の精製も再開できるな」
「はい。計画通り販路の開拓も完了しております」
「さすがだな、マルイル。我らの計画も、これでやっと前に進む」
「はい。これも聡明なタートリア大公爵閣下のお力です」
「おいおい、マルイル。大公爵とは随分、気が早いな」
「「ハッハッハッハッ」」
ルシアの父、ガリアス・タートリアと北の地一の豪商マルイルが密談している。
ルシアが五つ星レアスキル『癒やし』を授かり、このスキルが液体に付与できると判明した。
その時に事業展開を提案してきたのが、このマルイルという男だった。
「ところで、ルシア様のご様子はいかがですかな?」
「ああ、完璧な監禁状態だからな。もう誘拐されることもあるまい」
「タートリア公、ルシア様の精神状態も気になさってください」
「なんだ、冷徹な豪商マルイルともあろうものが、随分と優しいことを言うのだな」
マルイルは鼻から息を吐き、一呼吸置いてから話を続ける。
「優しさから言っているのではありませんぞ。いい商品の製造機はしっかりとメンテナンスがあってのものですからな」
「公爵令嬢を製造機扱いとはな。ハッハッハッハッ! やはりそなたは冷徹だな」
「私は根っからの商売人でございますから」
タートリア公爵領の辺境の小さな村の商店の一人息子だったホンテ・マルイル。
一五歳の時に両親が死に、商店を受け継いだ。
村人では買えない高価な農機具や最新の設備を割賦払いで販売することで、大きな利益を生んだ。
それからも、この手法で販路を拡大させて行き、一代で巨万の富を得た実績を持つ。
「そうそう、タートリア公。大切な奇跡の秘薬製造機のルシア様には、万全の警護をと思いましてな」
マルイルは秘書に指示を出す。
しばらくしてタートリア公爵の執務室に五人の男たちと共に戻ってきた。
「マルイルよ、この者たちは誰だ」
「『厄災』の皆さんでございます」
「なんと! この者たちが、あの名うての傭兵団か!」
傭兵団の一人が、一歩前へ出る。
「団長のクエイクです。どうぞよろしく」
「あ、ああ、よろしく頼むぞ」
「それでは私たちは、ご用意していただいた部屋で待機させていただきます」
『厄災』という傭兵団の五人は部屋を出ていく。
「恐ろしい雰囲気というかオーラというか……私は冷や汗が止まらなかったぞ」
「はは。私もです。しかし、彼らがいればどんな者がルシア様を狙っていようが、絶対に大丈夫でしょう」
「ああ、しかし噂では『厄災』は法外な報酬と聞くが」
「払いはこのマルイル商会にお任せください。奇跡の秘薬の秘薬でたくさん儲けさせていただきますので」
◇◇◇
「なぁ、団長。なんでこんな暇な依頼引き受けたんだよ。オレ、戦争とか行きたいよ」
『厄災』の団員で一番若いケーノが膨れている。
「ああ、依頼が聞いた時にさ、吹っかけた報酬なのにあの豚が前金で払ったからだよ」
頬を膨らませた若い傭兵は、不服そうに団長に文句を言う。
「ったく、団長にはプライドってものがないのかね」
「勿論あるさ。俺は『金のためならなんでもする』っていうプライドがね」
「えー、ガキの護衛なんてつまんないよ。そうだろ? オーガ」
「俺は殺しが出来なそうなら鍛冶屋巡りして帰る」
「さすが、戦闘狂のオーガ・コーエン! 気が合うね」
オーガ・コーエンとケーノの言葉を聞いて団長クエイクの形相が変わる。
「お前たち。勝手なことばかり言ってると殺すよ?」
「ご、ごめん団長」
「ああ? 俺はいいぞぉ? 相手が団長でもよぉ。今やるか?」
オーガ・コーエンはニィっと歯を見せて笑う。
◇◆◇
小玄武と僕らは、激流の玄武川の前にいる。
「相変わらすここの流れは速いニャ」
「小白虎は白虎になったら渡れるんじゃない?」
「ニャレは水が苦手ニャんだ」
「そういうところ、やっぱり猫だね」
「ニャんだと! 細切れのひき肉にするぞ」
「あははは」
小白虎と久しぶりに、このやり取りをすると緊張がほぐれた。
いよいよ、ルシア奪還のために要塞のようなタートリア公爵家の屋敷に潜入だ。
「小玄武。用意はいい?」
「ああ、いつでもよかばい。鼈甲石をよこしんしゃい」
小玄武は、地面に転がる鼈甲石を咥えると丸呑みした。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――
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