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第一章
12.魔王様、目的が決まる。
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「シャル様、あまり我儘を言ってはだめですよ」
シャルの提案するグリーン・ボアを狩猟するという宣言を聞き、すぐベルが反対をする。
今回の行動に関しては、キースにメリットがないと感じたのだろう。
シャルの食べたい串焼きが手に入るというだけだ。
ベルにはそれがどうしてもシャルの我儘に思えた。
「――いや、ベルよ!
シャルの言う通り、明日は狩猟に出てみよう」
「っ!?キース様!?」
ベルはてっきりキースも反対するものだと思っており、その言葉に驚いた。
「いいの?・・・」
シャルはベルに反対されて少し落ち込んでいる。
シャル自身もベルの意見がごもっともだと思ったのだろう。
「あぁ、構わない。
どの道、明日は勇者が動くことはないだろうからな」
しかし、キースはシャルの意見に賛同している。
目的である勇者の動向だが、王都に帰還早々、キラー・タイガーに襲われる事件があったのだから、勇者も人々同様に休養をとるだろうと思えた。
そのため、明日は時間を持て余すことになる。
「――それに、この辺の地形を知るのに丁度いい」
グリーン・ボアを狩猟するのが目的ではあるが、それ以外にも目的がある。
キース達はまだ人間界に来たばかりということで、この王都での情報以外はまだ何も知らない。
そこで、時間がある内に王都の外の情報も手に入れようと考えた。
「かしこまりました、キース様。
そこまで考えが及ばず、申し訳ありません」
ベルはこの狩猟の中にもメリットがあるとは思いつかなかったようで、反論していたことを謝る。
「ご主人様・・・ありがとう・・・」
シャルもまた目的がグリーン・ボアの狩猟だけで、それ以外は考えていなかったようだ。
「――お待たせ!食事が出来たわよ。
・・・少し話を聞いたけど、あなた達グリーン・ボアを狩りに行くのかい?
助かるけど、大丈夫なの?」
狩猟に出る話をしていると料理が完成したようで、ローナが食事を運んできた。
心配しているのは、誰しもが狩猟に行きたがらない状況なのに、そんなことをして大丈夫かということだ。
「・・・任せて・・・たくさん狩ってくる・・・」
シャルは自信満々に答えた。
本当はキラー・タイガーを討伐したのはシャルであり、実力的にキース達は何かに怯える必要が一切ないのだ。
「狩猟に出るなら気をつけていきなさいね」
シャルの自信満々の表情に、ローナには止める理由もなく、そう答えるしかなかった。
「・・・もぐもぐもぐっ・・・」
気付くとシャルは出された食事にがっつくように食べているのだった。
シャルの提案するグリーン・ボアを狩猟するという宣言を聞き、すぐベルが反対をする。
今回の行動に関しては、キースにメリットがないと感じたのだろう。
シャルの食べたい串焼きが手に入るというだけだ。
ベルにはそれがどうしてもシャルの我儘に思えた。
「――いや、ベルよ!
シャルの言う通り、明日は狩猟に出てみよう」
「っ!?キース様!?」
ベルはてっきりキースも反対するものだと思っており、その言葉に驚いた。
「いいの?・・・」
シャルはベルに反対されて少し落ち込んでいる。
シャル自身もベルの意見がごもっともだと思ったのだろう。
「あぁ、構わない。
どの道、明日は勇者が動くことはないだろうからな」
しかし、キースはシャルの意見に賛同している。
目的である勇者の動向だが、王都に帰還早々、キラー・タイガーに襲われる事件があったのだから、勇者も人々同様に休養をとるだろうと思えた。
そのため、明日は時間を持て余すことになる。
「――それに、この辺の地形を知るのに丁度いい」
グリーン・ボアを狩猟するのが目的ではあるが、それ以外にも目的がある。
キース達はまだ人間界に来たばかりということで、この王都での情報以外はまだ何も知らない。
そこで、時間がある内に王都の外の情報も手に入れようと考えた。
「かしこまりました、キース様。
そこまで考えが及ばず、申し訳ありません」
ベルはこの狩猟の中にもメリットがあるとは思いつかなかったようで、反論していたことを謝る。
「ご主人様・・・ありがとう・・・」
シャルもまた目的がグリーン・ボアの狩猟だけで、それ以外は考えていなかったようだ。
「――お待たせ!食事が出来たわよ。
・・・少し話を聞いたけど、あなた達グリーン・ボアを狩りに行くのかい?
助かるけど、大丈夫なの?」
狩猟に出る話をしていると料理が完成したようで、ローナが食事を運んできた。
心配しているのは、誰しもが狩猟に行きたがらない状況なのに、そんなことをして大丈夫かということだ。
「・・・任せて・・・たくさん狩ってくる・・・」
シャルは自信満々に答えた。
本当はキラー・タイガーを討伐したのはシャルであり、実力的にキース達は何かに怯える必要が一切ないのだ。
「狩猟に出るなら気をつけていきなさいね」
シャルの自信満々の表情に、ローナには止める理由もなく、そう答えるしかなかった。
「・・・もぐもぐもぐっ・・・」
気付くとシャルは出された食事にがっつくように食べているのだった。
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