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54話

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「ーーいかがでしたか?」


鑑定士かんていし】トビが一通り、その場所にいた戦闘奴隷どれい達を見て回ると奴隷商人である男性が話しかけてくる。


「ん~・・・」


全ての戦闘奴隷を鑑定した結果、ここにはトビが求める者はいなかった。


もちろん、どの戦闘奴隷も【戦闘職】を持っているからトビよりも遥かに強い。


だけど、雇う以上は妥協したくなかったのだ。


トビは冒険者になる前はギルド職員で、主な仕事は人材集めだった。


その頃は、トップギルドだけあり冒険者の募集がかなり多いものだ。


その時、トビが冒険者として雇う条件は、ギルドに見合う能力値ステータスも必要だけど、まだ伸びしろのある冒険者が必要だった。


まだまだ成長するギルド故、冒険者達にも成長してもらわないといけないと感じていたからだ。


今、その人材選びの経験もあり、ここでは求める人材に出会えなかった。


ここにいる戦闘奴隷達は好きでここにいるわけじゃないのだから、成長など考えていないのは当たり前だ。


「ーーこの奥の部屋は?」


トビが悩んでいると、戦闘奴隷達がいる部屋の奥に扉があるのに気付いた。


それはまだ部屋が続いていることになる。


「その奥は、ここの戦闘奴隷達より訳ありの戦闘奴隷で、あまりおすすめはしません・・・」


「一応見てもいいですか?」


商人である男性がおすすめしないというのは珍しいが、ここにはトビが求める人材がいないため、その人物も見たかった。


「わかりました。
先日、物好きな冒険者が一人雇っていったので、あと一人だけいますね」


すると、男性がそう話した。


なんとトビが来る前に冒険者の一人がおすすめしないという戦闘奴隷を雇っていたみたいだ。


ーーガチャッ


男性が扉を開けると、中には檻が二つあり、一つは空っぽでもう一つには戦闘奴隷がいるようだった。


空っぽの方に先日雇われたという戦闘奴隷がいたのだろう。


「紹介しますね。
彼女は、カナタ」


この部屋には、戦闘奴隷が一人いなくなって、残り一人になっているので男性がその一人を紹介してくれる。


トビはそこにいる人物が女性であることを男性の説明で初めて知った。


何故かというと、全身に包帯が巻かれていて横たわっているから顔が全く見えなかったのだ。


「怪我をしているのですか?」


その様子を見て、トビが男性に聞く。


「そうなのです。
ここに連れてこられたときから怪我を負っていて、治そうと試みたのですが原因がわからず治すことができないのです。
私どもは彼女の職業に原因があると考えております」


すると、男性がそう説明してくれた。


訳ありという理由がそこにあるのだろう。

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