トップギルド職員の【鑑定士】、不当解雇されたので冒険者として成り上がります。

47話

◇◇◇


「ーー本当に弱点を壊しただけで、こんなに簡単にストーン・タートルが討伐できるなんて・・・」


【騎士】ロアは、崩れ落ちたストーン・タートルに近付いて討伐の確認を行なっていた。


ロア自身が大剣でとどめを刺してくれたのに、この討伐方法が初めてのことで実感がなかったようだ。


「ロアさんの行なっていた討伐方法はどういう方法なんですか？」


【鑑定士かんていし】トビは、この討伐方法しかわからなかったのでロアに聞いてみる。


「ん～、私の知っているやり方は、ストーン・タートルが立ち上がったら手足を攻撃して転がし、横転させる。
そしたら柔らかいストーン・タートルのお腹に向かって攻撃するだけだね」


ロアの知っているやり方は、トビのやり方と真逆に近かった。


そのやり方ならまず弱点の核を壊せる確率は極めて低いだろう。


それに、体が大きいだけに討伐するまでの時間もかなり掛かるはずだ。


「なるほど」


討伐した後、ロアが討伐の確認を行なったのも無理もない。


意図も容易く討伐できたわけだから。


しかし、ロアの話を聞いてトビは知る。


弱点の場所を知ったが故、硬い甲羅の天辺を狙ったが、ロアのやり方を使えばトビでも討伐が可能だったのではないかと・・・。


「私のやり方では時間がかかるので、次も今のやり方でいきましょう」


トビが次の討伐方法で悩んでいると、ロアがそう言った。


「でも、今のやり方だと僕は何もできませんが・・・」


トビのやり方では、討伐する方法がわかってもトビ自身に実行する力がないことを嘆く。


「弱点を攻撃するのは私に任せて！
君にはその弱点の場所まで案内を頼みたいの」


すると、ロアが先程のように、トビの代わりに弱点を破壊してくれるそうだ。


「いいんですか？」


「もちろん！
仲間ができないことを他の仲間が行なう。
それがパーティーというものだからね」


パーティーとは、複数の冒険者が手を組んで魔物まものを討伐することにある。


パーティーになっているトビとロアは現状、ストーン・タートルを討伐するために協力しても、何もおかしくはないのだ。


「わかりました。
場所の案内なら任せてください」


ロアの言葉で納得したトビは、攻撃をロアに任せて、案内に専念することにした。


ストーン・タートルの弱点である核は、甲羅の天辺にあるとはいえ、内側にあって見ることができない。


正確な場所がわからない以上、一瞬で破壊するのは難しく、その場所がわかるトビの案内が必要なのだ。


「それじゃあ、この討伐したストーン・タートルから討伐の証を取って、次に行きましょう」


「はい」


トビ達は急いで討伐したストーン・タートルから素材を集めた。