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27話

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「ーーというわけです」


「そうだったんですね。
知りませんでした」


鑑定士かんていし】トビが女冒険者に、複数のウルフに襲われた理由がこの場所にあると話すと驚いていた。


女冒険者がギルドに聞き忘れたのか、ギルドが伝え忘れたのかはわからないけど、知らずにいたということで危ない状態だったのは間違いない。


「今更だけど、もし一人で活動してるのだったら、慎重に行動した方がいいかもしれませんね」


トビが今更だと言ったのは、既に草原の中で派手な戦いをしたから、トビも女冒険者もここにいるウルフ達に目を付けられているだろう。


こうして話している間にも、いつ襲われてもおかしくない状態だ。


「これからどうしましょう?」


「ここから去るのが一番いいでしょうね」


今できる最善手は、一刻も早くこの草原を出ること。


多くのウルフ達に狙われている以上は、複数の魔物まものを相手にすることができないトビ達には厳しく、街に戻って出直すのがいいだろう。


なんとかお互いに一頭はウルフを討伐できているから、今から街に戻ってもクエストの失敗にはならない。


「やっぱりそうなりますよね」


女冒険者にも今の状態がわかっているようで、特に異論はないようだった。


「はい。
草原を抜けるまでは一緒に行動をした方がいいと思うので行きましょう」


トビは女冒険者に一緒に行動して逃げようと提案する。


「ーー待ってください。
あなたはこの後どうするのですか?」


すると、女冒険者がトビの言葉に違和感を持ったように、そう質問をした。


この後というのは、草原を抜けた後のことだ。


お互い街に戻るのであれば、「」と言わず街まで一緒に戻ればいいだけ。


女冒険者は、トビがそう話したのには理由があると感じたのだ。


「そうですねぇ、あなたを草原の外まで送り出した後は、もう一度ここに戻る予定です」


そう、女冒険者の言う通り、トビはこのまま街には戻らず、まだウルフ討伐を続ける予定だった。


ただ、トビ自身は残るけど、既に危うい状態を経験している女冒険者をこの場から逃がしてあげたかったのだ。


「一人でもう一度ここに戻るなんて危険ですよ!」


すると女冒険者は、トビの行動が危険だと判断して止めようとする。


「わかっています。
危険だと判断したらすぐに逃げます」


トビも危険なのは承知の上だった。


しかし、トビは鑑定スキルで魔物を感知することができる。


もし複数の魔物に襲われそうになっても逃げられる自信があった。


それに、これからも冒険者を続ける上で、魔物に狙われている状態での行動も経験したかったのだ。

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