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26話
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「ーーもう討伐をしたのですね」
【鑑定士】トビが討伐したウルフからクナイを拾い、解体をしていると、女冒険者がやってきた。
その女冒険者も無事にウルフの討伐を達成したようだ。
「いい所にきました。
このウルフの素材ですが、もらってもいいですか?」
トビはちょうどいい時に現れた女冒険者に、ウルフ討伐のクエストを自分も受けていて、素材が欲しいと話す。
討伐したのはトビとはいえ、ウルフを見つけたのは女冒険者なので一応確認を取った。
「かまいませんよ。
討伐したのはあなたですし、そのウルフの所有権はあなたにあります」
「ありがとうございます」
すると、女冒険者はすぐにトビの手柄だと言ってくれた。
女冒険者自身も一頭ウルフを討伐できているため、よかったのだろう。
感謝して、ウルフの素材をもらう。
ウルフを討伐した証となるのが、牙。
牙は証としての役割と、その頑丈さから武器や防具の素材として使われ、ギルドが高値で買い取ってくれる。
そして実はもう一つ、受付嬢が教えてくれた情報なのだが、討伐した証とは別にウルフの素材で売れるものがある。
それは、ウルフの毛皮。
ウルフのもつ毛皮は、丈夫で毛並みが良いことから、高級な服の素材として使われる。
毛皮の状態によっては、かなりの高値で取引されるようだ。
今回、トビの討伐したウルフは、核のみを破壊したため、毛皮は無傷であり高額買取が期待できる。
実はそれを狙っていた。
「ーーそうでした、お礼を言うのはこっちです。
改めて、助けてくれてありがとうございました」
すると、女冒険者が改まったように助けられたことへの感謝を述べた。
女冒険者はウルフの素材云々よりも、それを伝えたかったのだ。
「気にしないでください」
トビの方は、ウルフの素材が手に入っただけで十分だった。
「まさか背後からもう一頭ウルフが来るとは思っていませんでした。
雄叫びを上げていなかったはずなのですが・・・」
雄叫びとは、初めて会ったウルフが行なっていた技であり、ホブゴブリンも使っていた仲間を呼ぶものだ。
今回、女冒険者が言う通り、戦っていたウルフは雄叫びを上げてはいないのに、仲間が背後にいたことになる。
「それはですねーー・・・」
女冒険者は理由がわからないようだけど、トビは知っていた。
その理由は、ここが草原であるということ。
この草原は、ウルフの縄張りであり、多くのウルフが生息している。
ウルフは縄張り意識が強く、実は集団での狩りが得意。
草原という縄張りに入った冒険者を常にウルフが狙っていて、仲間を呼ぶまでもなくウルフ達が集まるのだ。
トビは受付嬢からその話を聞いていて、本来なら慎重に行動する予定だった。
一人で活動する冒険者なら、複数の魔物に襲われたら危険だからだ。
【鑑定士】トビが討伐したウルフからクナイを拾い、解体をしていると、女冒険者がやってきた。
その女冒険者も無事にウルフの討伐を達成したようだ。
「いい所にきました。
このウルフの素材ですが、もらってもいいですか?」
トビはちょうどいい時に現れた女冒険者に、ウルフ討伐のクエストを自分も受けていて、素材が欲しいと話す。
討伐したのはトビとはいえ、ウルフを見つけたのは女冒険者なので一応確認を取った。
「かまいませんよ。
討伐したのはあなたですし、そのウルフの所有権はあなたにあります」
「ありがとうございます」
すると、女冒険者はすぐにトビの手柄だと言ってくれた。
女冒険者自身も一頭ウルフを討伐できているため、よかったのだろう。
感謝して、ウルフの素材をもらう。
ウルフを討伐した証となるのが、牙。
牙は証としての役割と、その頑丈さから武器や防具の素材として使われ、ギルドが高値で買い取ってくれる。
そして実はもう一つ、受付嬢が教えてくれた情報なのだが、討伐した証とは別にウルフの素材で売れるものがある。
それは、ウルフの毛皮。
ウルフのもつ毛皮は、丈夫で毛並みが良いことから、高級な服の素材として使われる。
毛皮の状態によっては、かなりの高値で取引されるようだ。
今回、トビの討伐したウルフは、核のみを破壊したため、毛皮は無傷であり高額買取が期待できる。
実はそれを狙っていた。
「ーーそうでした、お礼を言うのはこっちです。
改めて、助けてくれてありがとうございました」
すると、女冒険者が改まったように助けられたことへの感謝を述べた。
女冒険者はウルフの素材云々よりも、それを伝えたかったのだ。
「気にしないでください」
トビの方は、ウルフの素材が手に入っただけで十分だった。
「まさか背後からもう一頭ウルフが来るとは思っていませんでした。
雄叫びを上げていなかったはずなのですが・・・」
雄叫びとは、初めて会ったウルフが行なっていた技であり、ホブゴブリンも使っていた仲間を呼ぶものだ。
今回、女冒険者が言う通り、戦っていたウルフは雄叫びを上げてはいないのに、仲間が背後にいたことになる。
「それはですねーー・・・」
女冒険者は理由がわからないようだけど、トビは知っていた。
その理由は、ここが草原であるということ。
この草原は、ウルフの縄張りであり、多くのウルフが生息している。
ウルフは縄張り意識が強く、実は集団での狩りが得意。
草原という縄張りに入った冒険者を常にウルフが狙っていて、仲間を呼ぶまでもなくウルフ達が集まるのだ。
トビは受付嬢からその話を聞いていて、本来なら慎重に行動する予定だった。
一人で活動する冒険者なら、複数の魔物に襲われたら危険だからだ。
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