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25話

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鑑定士かんていし】トビが新しい武器ーークナイを手に入れたのには理由がある。


それは受付嬢から言われたことなのだが、ウルフ討伐に行くに辺り、トビの短剣ではウルフ討伐ができないと言われた。


何故かというと、Eランクの魔物まものの中で、素早さに特化しているのが、このウルフ。


正面から戦えば、トビの短剣では素早いウルフを捉えることができないのだ。


初めて討伐したウルフは、奇襲作戦で上手く素早さを封じることができたから討伐できたに過ぎない。


問題は短剣のリーチの短さにある。


トビが近付き、攻撃しようとすれば、素早いウルフは距離を取るような回避をする。


いくら鑑定スキルでウルフの動きを先読みした所で、トビ自身の能力値ステータスがウルフの素早さを上回ることができてなければ無意味だった。


対策としては、既に討伐を成功させている奇襲作戦だけど、草原では見通しが良すぎて使えない。


ならばと、森の中にいるかもしれないウルフを探したが見つけることができなかった。


他の対策としては、女冒険者が持参していた盾をトビも用意して、素早い攻撃を防ぐことで動きを止め、短剣で反撃をするやり方。


これが素早いウルフを討伐する一般的なやり方で、確実性が最も高い。


しかし、それができるのは肉体に補正が入る【戦闘職】である冒険者だけ。


盾を持っても防ぐ防御力がなければ無意味となり、【戦闘職】じゃないトビには不可能だ。


そこで、更に別の対策として挙がるのが、武器の変更だった。


トビが不利なのは、リーチの短さにあるため、範囲が広くて素早く攻撃できる武器がいい。


ただ、トビが扱える武器には限りがある。


そんな中で唯一見つかったのが、投擲とうてき武器であるーークナイだった。


クナイは武器としては軽く、投げる力があれば扱えるため、トビにも扱えた。


これにより、トビに必要だったリーチの広さと素早い攻撃が可能になる。


それに投擲武器は、トビにとって相性が良かった。


投擲武器を扱う上で、本来なら動く物体を捉える命中精度が必要になるが、トビには必要ない。


動きを読める鑑定スキルがあるため、動く位置にトビが狙いをつけておけば、そこに自ら飛び込んでくることになる。


的確に狙う必要はあるが、攻撃を外すリスクは極めて少ないだろう。


ーーそして今回、クナイでの狩猟は初めてだが、上手く成功した。


ウルフを討伐することができたことで、受付嬢から言われた懸念を拭い去ることができたのだ。


※余談だが、投擲武器以外にも弓などの遠距離攻撃があるが、弓ではクナイと違い、短剣から素早く切り替えることができなかった。


それに弓を的確に扱うには専用のスキルが必要となる。


更に、遠距離攻撃である銃だが、魔法があるこの世界では、まだ存在しない。

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