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19話

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「ーーはぁっ・・・はぁっ・・・」


鑑定士かんていし】トビは、ゴブリン達に追われながら、なんとか洞窟の外まで逃げ出した。


受付嬢の話ではゴブリンは洞窟の外までは追ってこれないようで、そこまで逃げたのだ。


木影に隠れて様子をうかがうも本当に洞窟から出てこない。


受付嬢に逃げる手段をあらかじめ聞いていてよかったと思う。


これでもう逃げ切れたと思っていいだろう。


「危なかった・・・」


因みにトビが逃げ切れたのは、素早さの能力ステータスがゴブリンの能力ステータスをたまたま大きく越えていたからよかった。


もしあのまま洞窟で捕まっていたらどうなっていたかわからない。


「くそぉ・・・」


今回のゴブリン討伐のクエストとしては、討伐の証を持ち帰っているから成功ではある。


しかし、最終的に逃げる羽目になってしまったことを、トビは失敗と感じていた。


◇◇◇


ーーあの後、洞窟には戻れないので、街に戻ってきた。


ギルドでゴブリン討伐の証を鑑定してもらっている間に、受付嬢に今日の話をする。


受付嬢のアドバイスに助けられたという話も込みで話した。


「それは災難でしたね。
特殊なゴブリンなので、なかなか出会うことはないはずですが、まさか初クエストで出会うとは・・・」


たくさんゴブリンがいる中で、仲間を呼ぶような行動ができるゴブリンはごくわずかで、トビはたまたま出会ってしまったのだ。


出会うのが希少でまだまだ情報が少なく、受付嬢も今の所、いるという情報しか持っていなかった。


「次は逃げ帰ることなく、対応します」


トビが初戦で対応できなかったのも無理もないが、次は失敗しないと決めていた。


次受けるクエストも、もちろんゴブリン討伐だった。


「わかりました。
ただ、決して無理はしないでくださいね」


受付嬢はトビの行動を止めることはない。


だけど、アドバイスをくれたりして、必ず心配はしてくれていた。


◇◇◇


ーーあっという間に次の日を迎える。


トビは昨日と同じようにゴブリン討伐のクエストを受けて、洞窟の前にやってきていた。


「いこう!」


初見の時とは違い、既に内装も知っているから、昨日よりかなり落ち着いていた。


ーーギギギギギッ


洞窟に入りしばらく進むと、早速鑑定スキルがゴブリンの反応を捉えた。


トビは短剣を構えて、走り出す。


ゴブリンに見つかる前に接近したかったのだ。


ーーギギッ!?


トビはゴブリンに見つかる頃には急接近していた。


そして既にトビの短剣はゴブリンの核を捉えていて、振り抜いている。


ーーパキンッ


ゴブリンに見つかりはするけど、早々に核を破壊することができた。


これがトビの考えた特殊なゴブリンへの対抗策だ。


鑑定スキルによる感知で、魔物まものに見つかる前に発見できることを活かし、先制攻撃を仕掛ける作戦。


上手くいけば、魔物に何もさせることなく討伐できるから安全でもある。

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