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8話

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「ーーそろそろ街に戻ろうかな」


鑑定士かんていし】トビが探索を初めて数時間。


気付くと、昨日の薬草やくそう採取のように、解毒草げどくそうがバッグ一杯まで収納されている。


もう持ち切れないということで街に戻ろうと考えていた。


新たな鑑定スキルがなければ、ここまで効率的に集めることはできなかっただろう。


ただ、昨日の受付嬢の反応を見るに、この量を見ればまた驚かれるかもしれない。


◇◇◇


「ーーこ、こんなにも解毒草を集めたのですか!?
なかなか見つからないはずなんですが・・・」


そして、街に戻り、冒険者ギルド【平和ピース】にいる受付嬢にクエスト達成の報告と採取した解毒草を見せると、案の定めちゃくちゃ驚いていた。


「最初はなかなか見つからなかったんですが、新たなスキルが解放されて一気に見つけやすくなりました」


「そんなことが・・・」


トビが新たに解放されたスキルの話を受付嬢にすると、どこか信じられない様子だった。


それもそのはずで、受付嬢はトビの職業が【鑑定士】ということを知っている。


戦闘職じゃない【鑑定士】が冒険者になるということが異例で、採取クエストで活躍するという情報は知らない。


受付嬢が毎回トビの心配をしていたのも【鑑定士】の職業が活かせず、スキルを持たない冒険者と変わらないと思っていたからだ。


だけど今回の件で、トビがこの冒険者の仕事でスキルを活かしているのを知った。


その方法までは受付嬢に分からないが・・・。


「ーー一つ質問いいですか?」


それから大量にある解毒草の鑑定が終わるまでの間、トビが受付嬢に話をする。


「何でしょうか?」


「例えば、二つ以上のクエストを受けて、同時進行でクエストを進めることはできないでしょうか?」


トビは受付嬢に二つ以上のクエストを同時に受けられないかと聞く。


なぜそんな質問をしたかというと、今回新たに生まれた鑑定スキルで解毒草を探している際、同じ場所で採れる薬草の反応を何度か捉えていて、目的じゃないと放置した。


しかし、もしこの時に解毒草採取のクエストと薬草採取のクエストを同時に受けていたら、どちらも目的のものであり、クエスト達成効率が上がる。


「そうですね、クエストを同時に受けることは可能です。
ギルドとしてはたくさんクエストを受けてくれると助かりますし。
でも、あまりお勧めはできませんよ」


一個一個なら簡単なクエストでも、同時に行なおうとすれば難易度が上がる。


実際のところ、同時に複数のクエストを行なえるようにはできていないのだ。


冒険者にもランクが存在するように、複数のクエストを受ける実力があるなら、ランクの高いクエストを一つ受けた方が効率的だったりする。


だけどここに、冒険者のランクと実力がかみ合っていない者が存在する。


「挑戦してみてもいいですか?
明日、薬草採取と解毒草採取のクエストを同時に受けたいです」


トビは冒険者になりたてにも関わらず、異例の結果を出している。


冒険者としてのトビの実力がまだ図り切れていないのだ。

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