トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

71話

ーー2日目の模擬戦も次々に進み、最終戦へと突入する。


僕達【パレード】は、既にステージ上にやってきていた。


審査員は昨日に続いて、【受付嬢のミリア】が行なっている。


ミリアが審査員として選ばれているのは、元冒険者ということで腕を見込まれているのかもしれない。


「またせたな！」


少し待っていると、遅れて【竜の爪ドラゴン・ネール】のメンバーが現れた。


メンバーは昨日に続いて4人だけ。


僕の読み通り、メンバーが少ない状態でも参加してきた。


昨日の【幻影ファントム】戦の敗北は実質なかったことになったものの、試合を見ていた冒険者達の記憶の中にはあるため、トップ冒険者パーティーが敗北したという事実を挽回する目的もあるかもしれない。


そして【竜の爪ドラゴン・ネール】メンバーにとって、僕がいるような冒険者パーティーに負けるわけがないと思っているのだろう。


昨日の【虎の牙タイガー・ファング】戦で、その実力は見せたはずだけど、それでもなお実力はまだ上だと思って挑んできているのだろう。


「5人対4人と不利になりますが問題ないですか？」


「問題ありません。
これぐらいのハンデがちょうどいいでしょう」


ミリアの心配に対して、【竜の爪ドラゴン・ネール】のリーダーである【大剣使いのロイ】がそう答えていて、僕の実力を下に見ていることに違いなかった。


「やはり彼らにはライドさんの実力を説明するだけでは無駄だったみたいですね。
しっかり現実を教えなければ・・・」


「そうですね。
やりましょう！」


ロイ達の言動を見ていた【パレード】のリーダーである【大剣使いのクイナ】はそう判断した。


僕もそれには納得であり、ロイ達が思ているほどに実力がないわけじゃないとクイナ達【パレード】メンバーのおかげで気付くことができたのだ。


この試合で見返してやろうと考えた。


ーー両者共に準備が整ったということで模擬戦が開始となる。


「今日の最終試合は、【パレード】対【竜の爪ドラゴン・ネール】になります。
皆さんもご存知ではあると思いますが、今は【パレード】メンバーであるライドさんは、元【竜の爪ドラゴン・ネール】メンバーであり、因縁の対決でもあります。
ーーでは、よーい、始め！」


ミリアの司会の元、試合が開始された。


「はぁーっ！」


開始早々に仕掛けてきたのは【竜の爪ドラゴン・ネール】で、ロイと【大槌ハンマー使いのラット】が突っ込んでくる。


【パレード】が女性ばかりで防御面が手薄だという考えでの作戦だろう。


だけどそれは過去の話であって今はもう違う。