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お披露目直前
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あれから私はマリーヤ夫人には広く浅い知識を。アデリーナさん(先生と呼んで誤魔化している間に、無事名前を知ることが出来ました)からは、淑女の深い闇知識を教えていただいたが、ほぼ身に付かなかった。
語学は挨拶だけ。他は発音が酷くて妃としては使えないらしい。聞いた通りにやっているつもりなのだが。でも「ありがとうございます」が『ありがはってるなあんた!』と聞こえるそうなので、確かに使えないと思う。
身に付いたのは姿勢と毒の判定。姿勢については皿を割りまくり、スープも塩味から少しづつ変化していき、熱々のトマトのポタージュになった辺りで何とかモノにした。
毒の判定はかなり早くから出来る様になった。命が掛かっているので!! 種類はあまり覚えられなかったけど、毒の有無は分かる! ほぼ 勘!
アデリーナさんからは「動きのしなやかな野生生物が誕生したわ」と拍手された。ありがとうございます!!
――褒められたんだよね?
結婚式はまだ先だけど、取り敢えず今日を乗り切ればなんとかなるはず! 教えてくれたマリーヤ夫人やアデリーナさんの為にも頑張るぞ!!
――――――でも何か忘れてるような気がするんだよね……。
「そろそろ準備を始めてもよろしいでしょうか」
身支度を手伝ってくれるメイドさんが来てくれた。
「はい! よろしくお願いします」
大事な事ならそのうち思い出すよね!
沢山の人のご尽力により、中の中令嬢からなんとか中の上令嬢にクラスチェンジする事が出来た。
衣裳だけは最上級。王子様から届けられたリボンもつけた。彼の隣に並んでも引けは取らない。服だけは。
会場に入る前に案内された控えの間。
準備が早く終わったのか、三人の綺羅綺羅しい王子様方が談笑してらっしゃいました。
「やあ、カーシャ嬢! 綺麗にしてもらったんだね」
「よく似合っているよ」
「どう? 緊張してない?」
思い出した!! ああああぁぁあなんて事!!
どの人が私の婚約者なのか分からない!!
顔を見たのは一度だけ。もう覚えてない。金髪だったはずだけど、みんな似たような色だ。なんで確認しとかなかったんだ私! 事前に会わせてもらえば良かった……。
脂汗をかきながらも何とか微笑みをキープ。
誰かヒントを。ヒントを頂戴……。
「ここへ座るといいよ」
立って案内してくださった貴方、貴方がミハイル王子でいいんですか? いいんですよね? ね?
「ほらミハイル、お前がエスコートしなくちゃ駄目じゃないか。ルカに負けてるぞ」
違った! 救いの手は、多分第一王子(消去法)。名前はマクシミリアンだったかな。解答ありがとうございます!
じっとこちらを見ているこの人がミハイル王子か。マクシミリアン殿下よりも少し暗い金髪だな。ルカ殿下は少し線が細くて髪が長め。アデリーナさんのお相手か。よし。覚えておこう。
しかし先程からミハイル殿下の視線が外れないな。
「あの、なにか……?」
「君、ぴこ「お待たせ致しました皆様」」
アデリーナさんと、何度かお会いした事のあるソフィヤ様が入ってきた。黒髪の美しいソフィヤ様は第一王子妃だ。
ご挨拶するとまた王子様ご話しかけてきた。
「カーシャ、君「そろそろお時間です。会場にご案内致します」」
いよいよだ。
今日は国内の貴族だけのはず。私の付け焼き刃を披露してもダメージは国内だけ。伸び代に期待してもらえるくらいに振る舞うのが、今日の目標だ。低いのは分かってる。
フォロー頼みましたよ王子様という気持ちを込めて目を合わせれば、あれ? 戸惑われてる?
「――行こうか」
「はい」
……フォローしてもらえるのかな。急激に不安に襲われるが、もう行くしかない。
名前を呼び上げられ、私達は会場へと足を踏み出した。
語学は挨拶だけ。他は発音が酷くて妃としては使えないらしい。聞いた通りにやっているつもりなのだが。でも「ありがとうございます」が『ありがはってるなあんた!』と聞こえるそうなので、確かに使えないと思う。
身に付いたのは姿勢と毒の判定。姿勢については皿を割りまくり、スープも塩味から少しづつ変化していき、熱々のトマトのポタージュになった辺りで何とかモノにした。
毒の判定はかなり早くから出来る様になった。命が掛かっているので!! 種類はあまり覚えられなかったけど、毒の有無は分かる! ほぼ 勘!
アデリーナさんからは「動きのしなやかな野生生物が誕生したわ」と拍手された。ありがとうございます!!
――褒められたんだよね?
結婚式はまだ先だけど、取り敢えず今日を乗り切ればなんとかなるはず! 教えてくれたマリーヤ夫人やアデリーナさんの為にも頑張るぞ!!
――――――でも何か忘れてるような気がするんだよね……。
「そろそろ準備を始めてもよろしいでしょうか」
身支度を手伝ってくれるメイドさんが来てくれた。
「はい! よろしくお願いします」
大事な事ならそのうち思い出すよね!
沢山の人のご尽力により、中の中令嬢からなんとか中の上令嬢にクラスチェンジする事が出来た。
衣裳だけは最上級。王子様から届けられたリボンもつけた。彼の隣に並んでも引けは取らない。服だけは。
会場に入る前に案内された控えの間。
準備が早く終わったのか、三人の綺羅綺羅しい王子様方が談笑してらっしゃいました。
「やあ、カーシャ嬢! 綺麗にしてもらったんだね」
「よく似合っているよ」
「どう? 緊張してない?」
思い出した!! ああああぁぁあなんて事!!
どの人が私の婚約者なのか分からない!!
顔を見たのは一度だけ。もう覚えてない。金髪だったはずだけど、みんな似たような色だ。なんで確認しとかなかったんだ私! 事前に会わせてもらえば良かった……。
脂汗をかきながらも何とか微笑みをキープ。
誰かヒントを。ヒントを頂戴……。
「ここへ座るといいよ」
立って案内してくださった貴方、貴方がミハイル王子でいいんですか? いいんですよね? ね?
「ほらミハイル、お前がエスコートしなくちゃ駄目じゃないか。ルカに負けてるぞ」
違った! 救いの手は、多分第一王子(消去法)。名前はマクシミリアンだったかな。解答ありがとうございます!
じっとこちらを見ているこの人がミハイル王子か。マクシミリアン殿下よりも少し暗い金髪だな。ルカ殿下は少し線が細くて髪が長め。アデリーナさんのお相手か。よし。覚えておこう。
しかし先程からミハイル殿下の視線が外れないな。
「あの、なにか……?」
「君、ぴこ「お待たせ致しました皆様」」
アデリーナさんと、何度かお会いした事のあるソフィヤ様が入ってきた。黒髪の美しいソフィヤ様は第一王子妃だ。
ご挨拶するとまた王子様ご話しかけてきた。
「カーシャ、君「そろそろお時間です。会場にご案内致します」」
いよいよだ。
今日は国内の貴族だけのはず。私の付け焼き刃を披露してもダメージは国内だけ。伸び代に期待してもらえるくらいに振る舞うのが、今日の目標だ。低いのは分かってる。
フォロー頼みましたよ王子様という気持ちを込めて目を合わせれば、あれ? 戸惑われてる?
「――行こうか」
「はい」
……フォローしてもらえるのかな。急激に不安に襲われるが、もう行くしかない。
名前を呼び上げられ、私達は会場へと足を踏み出した。
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