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相談
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どうやって王子様の気を引いたか――答えは簡単だ。
「分かりません」
これで相手が納得する筈もなかった。
「そう。では少しお付き合いいただきましょう」
「申し訳ありません。お断りします」
「…………」
私は連行されそうになった。
何とか予定があると適当な事を伝えて逃れたが、この人怖い。明日の約束を取り付けられた。
家の力関係が分からないので、どのような対応をしたら良いのか分からない。
明日から、もっと真面目に授業を受けよう。
「マリーヤ夫人、ご教授いただきたい事があるのですが」
次の日、朝一番で夫人に昨日の出来事について相談した。
怒られた。
授業態度について懇々と鞭を突きつけられながら、時に机に打ちつけながら諭され、ぺしゃんこになった私に漸く説明してくれた。
「カーシャさん。マース家については初日にお話ししております。何故ならば、王家に関わりの深い家だからです」
伯爵家という身分からみると、随分堂々としていた印象だ。
「彼の家からは、王弟である現公爵に、当主の姉君が嫁いでおります」
割と単純な理由だった。
「伯爵自身も広く交易を持ってらして、三女のアデリーナ嬢は第三王子の婚約者です」
「不味いですね」
「不味いのですよ」
なにやら有力な女性だった上、ぽっと出の男爵令嬢(私)の立場が上になる予定。さらにポンコツぶりがバレている。
「まあ貴女のやるべき事は変わりません。王子妃に相応しくなる為、精進あるのみです!」
「はい先生! ついて行きます!!」
「そこ! 座っている時も脚を崩してはなりません」
だから何で分かるの!!
いつも通りに授業を受けて、実は何も問題が解決していないのに気付いたのは、夫人が去って暫くしてからだった。
「え? 私、結局お嬢様にどうやって対応したらいいの?」
伯爵家訪問時間まで、あと一時間――。
「分かりません」
これで相手が納得する筈もなかった。
「そう。では少しお付き合いいただきましょう」
「申し訳ありません。お断りします」
「…………」
私は連行されそうになった。
何とか予定があると適当な事を伝えて逃れたが、この人怖い。明日の約束を取り付けられた。
家の力関係が分からないので、どのような対応をしたら良いのか分からない。
明日から、もっと真面目に授業を受けよう。
「マリーヤ夫人、ご教授いただきたい事があるのですが」
次の日、朝一番で夫人に昨日の出来事について相談した。
怒られた。
授業態度について懇々と鞭を突きつけられながら、時に机に打ちつけながら諭され、ぺしゃんこになった私に漸く説明してくれた。
「カーシャさん。マース家については初日にお話ししております。何故ならば、王家に関わりの深い家だからです」
伯爵家という身分からみると、随分堂々としていた印象だ。
「彼の家からは、王弟である現公爵に、当主の姉君が嫁いでおります」
割と単純な理由だった。
「伯爵自身も広く交易を持ってらして、三女のアデリーナ嬢は第三王子の婚約者です」
「不味いですね」
「不味いのですよ」
なにやら有力な女性だった上、ぽっと出の男爵令嬢(私)の立場が上になる予定。さらにポンコツぶりがバレている。
「まあ貴女のやるべき事は変わりません。王子妃に相応しくなる為、精進あるのみです!」
「はい先生! ついて行きます!!」
「そこ! 座っている時も脚を崩してはなりません」
だから何で分かるの!!
いつも通りに授業を受けて、実は何も問題が解決していないのに気付いたのは、夫人が去って暫くしてからだった。
「え? 私、結局お嬢様にどうやって対応したらいいの?」
伯爵家訪問時間まで、あと一時間――。
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