森のクェマさん

さかな〜。

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森の改名騒ぎ

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 テーブルの上には温かいシチューとパンにハチミツ、それからタルトが用意されていました。
 パンネのお腹がぐぅっと鳴きました。

「さあ座って。皆んなでいただこう」

 三人分でしたがパンは多めに用意されていましたので、パンネはおかわりしました。おうちのパンよりもふんわりしていて美味しく感じました。

 さて、お腹いっぱいになった三人はようやく落ち着いて話せる様になりました。

「助けてくれてありがとう。わたしはパンネです」

 しっかりと挨拶するパンネを、青年が目を細めて見ています。

「どういたしまして。私は――」

「クェマさんでしょう? よろしくクェマさん」

 その時パンネのお守りが光を放ちました。

「――――なんてことだ!!」

 青年が青くなって立ち上がると、パンネのお守りを掴み取りました。震える手で彫られた紋様を確認し、ガックリと肩を落としました。ティコも横からお守りを覗き込みます。

「グェェ!! クェマの名前クェマになっちゃった!? ゲ、ゲゲゲ、ゲッ! やるなーパンネ! お前クェマ改名させちゃったぞ!!」

 パンネには何のことか、さっぱり分かりませんでした。






 しくしく悲しそうに泣くクェマは、長い事鼻を啜っていましたが、困惑するパンネに気付いて訳を話してくれました。

「私の名前は、ホントはクェマじゃないんだ。ティコが長くて面倒だからとテキトーに縮めたものなんだよ」

「はあ」

 パンネは取り敢えず相槌を打ちました。

「そ、それがっ、その、その護符のせいでっ!!」

 またクェマがワッと泣き出しました。代わりにティコが続けます。

「ゲ、その護符、お前の涙に反応して、周りにいる誰か一人か一匹を支配するんだぞー。物騒だなグゲゲ」

「父さんのお守り、そんな変なのじゃないよ」

 パンネは不機嫌になりました。自分の為に優しい父が作ってくれた物を貶されたのが嫌だったのです。

「それにわたしが最初に呼んだのはティコの名前だよ」

「オレは特別さー! ゲッゲゲゲ!!」

 トクベツ! トクベツ! とティコがはしゃいで話にならなくなりましたので、パンネはみんなが落ち着くのを待つしかありませんでした。
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