千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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魔法学校編

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 それから数日、ワシは呪文について試行錯誤していた。まあ、しっかり眠り、学校もサボらずにいたから、試行錯誤する時間なんてたかが知れていて。

 ……まあ、なんだ。一言で表すなら、手詰まりだ。

 そして手詰まりついでに言えば、学年毎の交流会の日が来てしまった。縦学年の交流会でさえあれだったんだ。今回もワシらIクラス、もっと言えば窓側が悪く言われるだけの意味がない行事になるだろうことは推測に難くない。

 呪文のことも考えたいし、どうせ蔑まれる要員としてしか存在意義を与えられないだろうし、この行事すっぽかして良いのでは?

 そうも考えたが、これ以上相手方に重箱の隅をつつくような格好の餌食よわみを与えたくはないからな。出席する以外の選択肢は無い。ああ、嫌だ嫌だ。面倒臭い。

「ちょっとレタア」

 そしてそんな考えが顔に出ていたらしい。隣にいたユーリに肘でどつかれた。そんなに力は入っていなかったから、勿論、物理的なダメージはゼロだ。

「すまないすまない。今日は良い子ちゃんでいるさ。」

「なんかその言い方、棘があるぅ~」

「いや、本当のことを言っただけなんだがな。」

 窓際の皆が集まると、それだけで嫌味の対象になりかねないというグリタリアの懸念から、二、三人で纏まるようにした。ちなみにワシはユーリと一緒。

 クラス毎に列をなし──勿論、Iクラスはいつも通りお通夜のような静けさだ──、上のクラス程交流会の開始を今か今かと待ち侘びているようだった。

 するとその空気を察したようにカチリ、とマイクの音が入る。

『これから、一学年の交流会を始めます。』

 その合図を皮切りに、それぞれが仲良くしたい人の元へと急ぐ。まあ、大体がミネルのところだろうが。

 ミネルには、交流会中はワシらに近づかないようにと約束させた。何せ首席と一番の落ちこぼれが仲良くしていると、双方に悪い印象がついてしまうからな。

 ミネルは渋々と言った様子だったが、最後には頷いてくれた。自分も、レタアちゃん達にも、嫌な思いはしたくないしさせたくないから、と言って。

 ということで、ワシらIクラスはIクラスらしくボーッとその場に突っ立って暇を持て余しているところだ。

 いやぁ、それにしても前世今世合わせてもここまで暇になったことが嘗てあっただろうか、と思ってしまうほどには暇だ。これなら呪文についての資料でも持ってくれば良かったと後悔する。

 暇を潰すものが欲しい。切実に。

 暇にも欠伸にも飽きて体がウズウズしてきたところで、右肩をポンと叩かれた。

 余談だが、ユーリは左隣にいる。それも、こちらを一瞥することなくボーッと前を漠然と眺めている。そんなユーリに、ワシの右肩を叩くなんて可能だろうか?

 となるとユーリ以外の、窓側の皆とも違う誰かが──他の皆は少し離れたところにいる──、一番の落ちこぼれのワシに話しかけてきたらしいことは分かった。

 恐る恐る右を振り向くとそこにいたのは、銀髪を靡かせる見知らぬ女の子だった。
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