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魔法学校編
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「して、魔術師団長殿。引退済みの儂に何用でございますか?」
「ああ、今日はこの方に『呪文』について教えてほしくて、ね。」
「この方……? ああ、そこの若いのか。フゥン……」
ディエゴに連れられるようにワシを見たその……ベルキさん?は値踏みをするようにジロジロと睨め付けてくる。その視線がどうも侮蔑を含んでいるようにしか見えず、居心地の悪さがワシを取り巻く。
「……まあ、魔術師団長殿には何か崇高なお考えがおありなのでしょう。儂があれこれ進言することではございませんね。ゴホン……ベルキ・クォールと申します。」
「わ、私はレットです。」
ああ、言っていなかったが、今日は魔物討伐の時の格好……つまり男装している。ディエゴからの指示でな。ということで自分にできる限りの低い声で──まあ、高が知れているが──短く自己紹介する。
それにしても、男装姿で来いと言った理由が今分かった気がする。流石に五歳児の姿でこのベルキさんに会えば、ワシへの不審感で呪文について教えてはくれなかっただろうから。なるほどなるほど。今でさえギリギリ不審感でご教授いただけるか危ういものな。
「フン……こんな若造に呪文の何たるかを教えるだなんて……魔術師団長殿からの依頼でもなければ不可能だったのだ、としかと覚えておいておきなさい。」
「はい。」
嫌な言い方であっても、教えてくれるならそれで良い。これをマスターすれば学園に帰って皆にもっと効率の良い呪文を使ってもらえて、結果として魔法の質も魔力の練り方も上手くなるに違いないのだから。
「今でこそ新しい魔法が作られませんが、昔はかの有名なラールル氏が魔法を量産していたおかげで呪文を定める部署というのは忙しいところだったそうです。
何せラールルが作り出した新しい魔法を一般市民である我々が扱うために、それを制御する術を模索するのですから。呪文はその努力の結晶と言えましょう。」
「ほお……。その呪文が言いにくいものになっているのは何か意味があるんですか?」
「いいや、呪文は言わば『言葉の羅列』。魔法を展開するために、言葉を媒介として魔力を乗せているにすぎないのです。言いにくいのはひとえにラールル氏が作る魔法が複雑だからでしょう。」
「は、はは……」
複雑で悪かったな。でもワシだって色々と試行錯誤してやっと一つの魔法を創作しているんだ。その言い草はないだろう。
しかし教えを乞うているのはワシだからな、その言い方に対する怒りは何とか抑え込む。
「ということは一文字一文字魔法に相対する音を合わせている、と。しかしそれはどうやって合う合わないを決めているんでしょう?」
「フン、そんなことも分からんとは。さすが若いだけある。」
「ベルキさん」
「ああいや、魔術師団長殿、きちんとお話しますとも。」
流石に言葉がすぎると思ったのか、ディエゴが口を挟む。それを聞いてベルキさんは冷や汗を流しながらも言葉を続けるのだった。
「ああ、今日はこの方に『呪文』について教えてほしくて、ね。」
「この方……? ああ、そこの若いのか。フゥン……」
ディエゴに連れられるようにワシを見たその……ベルキさん?は値踏みをするようにジロジロと睨め付けてくる。その視線がどうも侮蔑を含んでいるようにしか見えず、居心地の悪さがワシを取り巻く。
「……まあ、魔術師団長殿には何か崇高なお考えがおありなのでしょう。儂があれこれ進言することではございませんね。ゴホン……ベルキ・クォールと申します。」
「わ、私はレットです。」
ああ、言っていなかったが、今日は魔物討伐の時の格好……つまり男装している。ディエゴからの指示でな。ということで自分にできる限りの低い声で──まあ、高が知れているが──短く自己紹介する。
それにしても、男装姿で来いと言った理由が今分かった気がする。流石に五歳児の姿でこのベルキさんに会えば、ワシへの不審感で呪文について教えてはくれなかっただろうから。なるほどなるほど。今でさえギリギリ不審感でご教授いただけるか危ういものな。
「フン……こんな若造に呪文の何たるかを教えるだなんて……魔術師団長殿からの依頼でもなければ不可能だったのだ、としかと覚えておいておきなさい。」
「はい。」
嫌な言い方であっても、教えてくれるならそれで良い。これをマスターすれば学園に帰って皆にもっと効率の良い呪文を使ってもらえて、結果として魔法の質も魔力の練り方も上手くなるに違いないのだから。
「今でこそ新しい魔法が作られませんが、昔はかの有名なラールル氏が魔法を量産していたおかげで呪文を定める部署というのは忙しいところだったそうです。
何せラールルが作り出した新しい魔法を一般市民である我々が扱うために、それを制御する術を模索するのですから。呪文はその努力の結晶と言えましょう。」
「ほお……。その呪文が言いにくいものになっているのは何か意味があるんですか?」
「いいや、呪文は言わば『言葉の羅列』。魔法を展開するために、言葉を媒介として魔力を乗せているにすぎないのです。言いにくいのはひとえにラールル氏が作る魔法が複雑だからでしょう。」
「は、はは……」
複雑で悪かったな。でもワシだって色々と試行錯誤してやっと一つの魔法を創作しているんだ。その言い草はないだろう。
しかし教えを乞うているのはワシだからな、その言い方に対する怒りは何とか抑え込む。
「ということは一文字一文字魔法に相対する音を合わせている、と。しかしそれはどうやって合う合わないを決めているんでしょう?」
「フン、そんなことも分からんとは。さすが若いだけある。」
「ベルキさん」
「ああいや、魔術師団長殿、きちんとお話しますとも。」
流石に言葉がすぎると思ったのか、ディエゴが口を挟む。それを聞いてベルキさんは冷や汗を流しながらも言葉を続けるのだった。
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