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魔法学校編

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「ドン引き……する時点は過ぎたよね」

「そうそう。もう何がきても驚かない気がするよ」

「あ、諦めの一種というか、ね……!」

「レタアだから、っていう理由で大体通用するような気がするわね」

「それだ! レタアだから!」

「言いえて妙だな!」
 
 ワイワイと楽しそうに話す四人。楽しそうでなによりじゃが、ワシもそこに加わりたいなー、なんて……思ったりしなくもない。

 というか果たしてこれはドン引きされなくて良かった、と安堵して良い類いのものじゃろうか。

「ねえ、あの先輩……そろそろどうにかした方がいいんじゃあないかな?」

「あ……それもそうだな。」

 ミネルにそう指摘され、オリウェンドの存在を思い出した。師匠と慕ってくれていたのに、すまんな。そう内心で謝ってから、さてどうするかと頭を捻る。

「今ここで出て行ったら絶対修羅場だよな……」

 なんせ昨日とは姿が違うのだから。性別すらも偽っていたワシを魔力で見抜くことはあれども、頭が受け入れられないかもしれない。

「今はレットの大きさの服も持っていないからな、ワシは出て行かない。いや、行けない、か。だが、このままでいいとも思わない。それならどうするか……」

「あ、はいはい!」

「はい、ユーリさん!」

「ミネルさんに転移魔法を使ってもらって、その先で一度レタアが魔法を使うの! そうすれば先輩はそっちに意識を向けてこの場は去ってくれるかもしれないじゃない!」

「はい採用!」

 ミネルに転移魔法は使えないが、この一種の結界内で使った魔法は感知されない、はず。それならこの作戦で上手くいくはず。

「じゃあ、」

 その方法で。そう言葉にしようとした時、第三者の声が聞こえてきた。

「オリウェンド、お前もここにいたのか?」

「親父!? 何故学園に!?」

 オリウェンドの驚いた声にワシも全面的に同意する。何故ここにお前が、ディエゴがいる? もしかして魔術師団というのは暇なのか?

「少し用事があって、そのついでに。」

「それなら余計何故ここにいるんですか? ここは学園の中で一番と言っても良い程人が来ない場所なのに……」

「ああ、ええと、野暮用で……」

 歯切れの悪いディエゴの言葉にいぶかしむオリウェンド。

 そして動揺しまくっているのはオリウェンドだけではなかった。結界内にいる四人も同様に動揺していた。あ、洒落ではないぞ。単なる事実だ。

「え、ええと、何故お偉いさんが……?」

「野暮用でこんなところに来るの? 魔術師団で一番偉いお人が?」

「さっきから言葉を濁している様子を見る限り、息子の俺にも言えないことなのか……?」

 結界の外と中。どちらにも漂う動揺は、オリウェンドのその言葉がキッカケで沈静化した。

「あれ、もしかして、野暮用ってレタアのことなんじゃね……?」

 ボソッと呟かれたそれは、ユーリの口から漏れ出ていたらしい。そしてそれを聞いた結界内の人間は皆納得したらしい。

「まあ、レタアのことだから、また何かやらかしたんでしょ。」

 と。動揺が収まって喜べば良いのか、この時のワシには分からなかった。
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