千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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魔法学校編

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 さてさて、今日は例の交流会の日だ。え、一週間何をしていたのか、だと?

 そんなの……淡々と過ぎていったとしか言いようがない。とにかく今は四人の魔力向上に努めるだけで、他にはなんの事件も無かったからな。

 人目のある所ではぼっちを極めていたこともあり、変な絡まれ方もせずに──何回か呼び出しを喰らったことならあったが──いられた。

 実に変な風習だが、ミネル風に言うなら『郷に入っては郷に従え』ってやつじゃな。その流れに乗っただけで、比較的平穏な生活が出来た。




 と、まあそれは置いておいて。今日の交流会では、それぞれのクラスによって集合場所が違うらしい。ちなみにIクラスはワシの小屋もあるあの森の前の広場だった。

 どう見ても他に場所もなく、Iクラスだからと学園の中でも隅の隅に追っ払われたとしか思えなかった。だがまあ、一年生のワシがしゃしゃり出るものでもないしな、取り敢えず黙っておこう。本当なら文句の一つでも言ってやりたかったのだがな。


 それにしても、ここは随分と空気が悪い。全学年のIクラスの人達は皆鬱々として下を向いているからだろう。まるでIクラスであることが恥であるように。馴れ合いすら無さそうな雰囲気じゃな。

 まあ、Iクラス自体が落ちこぼれ、というイメージが定着しているせいなのだが。

 誰一人として口を開かない。窓側と呼ばれる人達は特に空気になろうと影を潜める。おかげで他学年の窓側がどんな人か、分かってしまったではないか。

 そんな光景を見て、子供たちにこの仕打ちは酷いよなあ、とワシは客観視する。

 この中で一番の (精神的な)年長者だからだろうか、そんな風に考えてしまうのだ。

 だが窓側一番後ろまりょくなしのワシが何を言ったって、この国では特に意味がないことは重々理解しているつもりだ──本気を出すつもりもない。孤独にはもう耐えられんからな──。

 それならさて、どうしたものか。そう考えるがやはり良い案などすぐ出てくるはずもなかった。

 今のワシに出来ることといえば、いつもの四人の魔力を向上させて『落ちこぼれ』を一人でも減らすこと。それが十歳以上でも魔力向上が可能だと証明することにも繋がる。

 落ちこぼれ (笑)のワシから教えを乞いたいと言う人間はまずいないだろう。だがこれを成し得れば、見方が変わる。

 落ちこぼれだと言われていた人間にもチャンスが巡ってくるかもしれないのだ、と。

 そうすれば魔力の差で蔑まれていた人間も減る。イコール平和。

 短絡的かもしれないが、今魔力の無さで困っている人は多い。その人達の助けになるのなら、ワシは惜しまず助力するつもりじゃ。

 それが巡り巡ってワシの目標『孤独死しない』にも繋がるわけだ。いろんな人と関われる機会、何もしない手はないのじゃ。

 さて、これからどうしていこうか。
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