千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

文字の大きさ
上 下
164 / 200
魔法学校編

5-43

しおりを挟む
 ディエゴのことに思いを馳せてしまっていたからだろうか。パタパタとどこからともなくやってきた鳥がワシの指に止まる。

 それが伝達魔法であることは分かりきっていたので、何の躊躇もなくその簡素な手紙を開封する。

「れ、レタア、これも……魔法なのかしら?」
「ん、伝達魔法じゃ。が、一体誰、が……」

 グリタリアに聞かれたことを答えながら手紙の中身を読み進めると、思わずクシャリと顔が歪んでしまう。

「げ」

 差出人は勿論ディエゴ。それもこの後会えないか、というお誘い。

 それだけなら良かったのだが、ほら、これを見てくれ……

『レタア様の魔力を持ってすれば首席など左手でこなしても容易いでしょう? それなのに今日拝見した所、レタア様が在籍していたのは何故か一番下のクラスでいらっしゃいましたね? 一体どうやったんですか!?』

 これは……あれだ。

 魔力を誤魔化したことを正直に伝えてしまえば、その魔法についてキラッキラの目をワシに向けながら言及してくるだろう。

 それだけでも嫌なのに、きっとどうせまた『さすがはラールル様!』だなんて言って崇めてくるに違いない。

 ……この推測が過大評価だと誰か言ってくれ。もう目に見えてしまっている事実を覆すにはどうすればいい?

「ど、どうしたの? な、何か変なことでも……か、書いてあったの?」

 あまりにもワシは苦い顔をしていたらしい。ニイナが心配してくれた。その心はとても嬉しい。

 もしかしたら相談したら良い案が出るかもしれない……? そんな安直な考えで四人に手紙を差し出す。

「ああ、変なことだらけじゃ。だからこれをどう取り繕って切り抜けるか……」
「どれどれ……?」

 四人がワシの手元にある手紙を覗き込む。するとピシッと体をこわばらせた。それも四人とも。

「え、レタアって……魔術師団長と知り合いなの!?」

 さすがに他の人が近くに──と言ってもワシらは避けられているから大体半径十メートル程の距離だろうか──いるから皆小声で叫ぶ。

「あれ、言ってなかったか? 以前少し交流があってな。それで懐かれた。」
「は?」
「あ、いや、違う。間違えた。なんでもない。」

 ディエゴの方が(見た目は)年上だからな、言い方を間違えたら色々大変なことになる。それが本当のことであっても。

「……まあ、面倒ごともあるがそれ以上に謝ってこなければいけないからな。やっぱりちょっと行ってくる。」
「あ、うん。」

 結局何も解決しないままであることに対しては気が重いが、仕方ない。腹を括ろう。

 まだ情報を処理出来ていないらしい四人を置いてワシはササッと物陰に隠れる。そして存在消し魔法を使って姿を消し、堂々と団長室へと向かうのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【完結】ある二人の皇女

つくも茄子
ファンタジー
美しき姉妹の皇女がいた。 姉は物静か淑やかな美女、妹は勝気で闊達な美女。 成長した二人は同じ夫・皇太子に嫁ぐ。 最初に嫁いだ姉であったが、皇后になったのは妹。 何故か? それは夫が皇帝に即位する前に姉が亡くなったからである。 皇后には息子が一人いた。 ライバルは亡き姉の忘れ形見の皇子。 不穏な空気が漂う中で謀反が起こる。 我が子に隠された秘密を皇后が知るのは全てが終わった時であった。 他のサイトにも公開中。

処理中です...