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魔法学校編
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ミネルが感知魔法を使い、四人の魔力量を見極めている間、ワシはこれからどうするかを考えていた。
ミネルの時は体に満ちる魔力を感じ取る所から始めて行ったが、多分この四人はその段階は終えているだろう。それならまずは何をする?
「うーん、やっぱり魔法でギリギリ感じ取れるくらいかな……」
「え、ミネルさんは何の魔法を……?」
「ん、ちょっとした特殊魔法かな?」
「そうですか……」
並大抵のことでは増えないだろうことを考えれば、今ある魔力を最大限使って魔法を使いまくるのが最適か。
ワシ自身も感知魔法を四人に使ってみるが、そこまで魔力を持っていないことは重々理解せざるを得なかった。
「ふむ、なら初歩的な魔法を使うか。……皆、ちなみになんじゃが、普段の生活の中で今の時間帯から明日までの間に魔法は使うか?」
「ううん、使わないかな。」
「というか今まで魔法は片手で数えられるくらいしか使ったことないものね。」
「右に同じく、ですわね。」
「な、何でそんなこと聞くの?」
まあ、そりゃあ疑問に思うわな。ニイナの質問に答えるよう、ワシはこれからの方針を伝える。
「これから毎日魔力が底をつく寸前まで使っていこうと思っている。だからその後の時間で魔法を使う予定があるなら、それを加味して加減しなければならない。あ、もちろんワシが魔法でそのギリギリは見極めるから大丈夫じゃ。」
「え、それってすごく危ないって言われてる方法だよね……? だってその見極めが出来る人間なんていないんだもの。」
ユーリが顔を引き攣らせながらそう確認する。
「ちょっとレタアちゃん、この前自分が魔力使い果たして死にかけたの覚えてる?」
ミネルが思い出したようにそう詰るが、あれは自分に意識が向いていなかったから起きた事であって、他の人に対してはちゃんと感知魔法で見極めるつもりなのじゃが……
「そ、それは……ワシの魔力が底をつくなんて想像も出来なかったから……」
タジタジになりながらも弁明する。上手くいっているようには思えなかったが。
「え、じゃあレタアは元々底なしの魔力量持ってるってこと?」
「それが本当だったら羨ましいなぁ……」
「そもそもそんな実力があるなら、レタアは何故Iクラスの窓側一番後ろなの?」
最もな質問を豪速球並みの鋭さで投げかけられた。まあ、そうなるよなぁ……。
失った記憶の中のワシがどう思っていたかは分からないが、実力を出して化け物扱いされるのだけは避けたいからなぁ……。どうするかなぁ……。
と、ウンウン唸っていると、意外なところから助け舟が出た。
「レタアちゃん、皆はきっと大丈夫。だから教えても良いんじゃない? そりゃあ最初は衝撃を受けられなくて突っぱねられちゃうかもしれないけど、時間をかければきっと分かってくれる。」
だって、人の痛みが分かる人達だもの。
そう言って穏やかな笑顔をこちらに向けるミネル。何年も一緒にいた人からの言葉だったからだろうか、ストンと自分の中にその言葉が落ちてきたのを自覚した。
ミネルの時は体に満ちる魔力を感じ取る所から始めて行ったが、多分この四人はその段階は終えているだろう。それならまずは何をする?
「うーん、やっぱり魔法でギリギリ感じ取れるくらいかな……」
「え、ミネルさんは何の魔法を……?」
「ん、ちょっとした特殊魔法かな?」
「そうですか……」
並大抵のことでは増えないだろうことを考えれば、今ある魔力を最大限使って魔法を使いまくるのが最適か。
ワシ自身も感知魔法を四人に使ってみるが、そこまで魔力を持っていないことは重々理解せざるを得なかった。
「ふむ、なら初歩的な魔法を使うか。……皆、ちなみになんじゃが、普段の生活の中で今の時間帯から明日までの間に魔法は使うか?」
「ううん、使わないかな。」
「というか今まで魔法は片手で数えられるくらいしか使ったことないものね。」
「右に同じく、ですわね。」
「な、何でそんなこと聞くの?」
まあ、そりゃあ疑問に思うわな。ニイナの質問に答えるよう、ワシはこれからの方針を伝える。
「これから毎日魔力が底をつく寸前まで使っていこうと思っている。だからその後の時間で魔法を使う予定があるなら、それを加味して加減しなければならない。あ、もちろんワシが魔法でそのギリギリは見極めるから大丈夫じゃ。」
「え、それってすごく危ないって言われてる方法だよね……? だってその見極めが出来る人間なんていないんだもの。」
ユーリが顔を引き攣らせながらそう確認する。
「ちょっとレタアちゃん、この前自分が魔力使い果たして死にかけたの覚えてる?」
ミネルが思い出したようにそう詰るが、あれは自分に意識が向いていなかったから起きた事であって、他の人に対してはちゃんと感知魔法で見極めるつもりなのじゃが……
「そ、それは……ワシの魔力が底をつくなんて想像も出来なかったから……」
タジタジになりながらも弁明する。上手くいっているようには思えなかったが。
「え、じゃあレタアは元々底なしの魔力量持ってるってこと?」
「それが本当だったら羨ましいなぁ……」
「そもそもそんな実力があるなら、レタアは何故Iクラスの窓側一番後ろなの?」
最もな質問を豪速球並みの鋭さで投げかけられた。まあ、そうなるよなぁ……。
失った記憶の中のワシがどう思っていたかは分からないが、実力を出して化け物扱いされるのだけは避けたいからなぁ……。どうするかなぁ……。
と、ウンウン唸っていると、意外なところから助け舟が出た。
「レタアちゃん、皆はきっと大丈夫。だから教えても良いんじゃない? そりゃあ最初は衝撃を受けられなくて突っぱねられちゃうかもしれないけど、時間をかければきっと分かってくれる。」
だって、人の痛みが分かる人達だもの。
そう言って穏やかな笑顔をこちらに向けるミネル。何年も一緒にいた人からの言葉だったからだろうか、ストンと自分の中にその言葉が落ちてきたのを自覚した。
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