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魔法学校編

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 五人で第三図書館に向かう。行き先を聞いた皆は、ワシが何を調べているかをしきりに聞いてくる。

 隠すことでもないので、昨日の出来事を掻い摘んで説明する。『十歳以降でも魔力向上は可能か』という問いに、可能かもしれないと知り合いから教えられた専門書を読んで確かめるのだと。

 そのためにギルジアーノ語の書物を読み解き始めたが、自国語しか扱えないワシでは時間がかかり過ぎる。手伝ってもらえるとありがたい、とまで言うと、皆から頭を撫でくりまわされた。

 さて、第三図書館に着くと、ファッツァさんがカウンターの中にいた。本を読んでいたらしいが、ワシに気がつくと手を振ってくれた。

 それに振り返すと、付いてきた四人が首を傾げる。

「レタア、誰に手を振ってるの?」
「……? ユーリ、何を言っている? ファッツァさんじゃよ。第三図書館の司書の。」
「れ、れれれレタア、そそそそそれって……」

 ワシの言葉を聞いて、情報通のユーリが慌て出す。

「え、なになにどうしたの?」

 状況を理解していないユーリ以外──勿論ワシも数に入る──は、アタフタと慌てふためくユーリに動揺する。何かまずいことでもあったのか、と。

「レタア、第三図書館の司書は、幽霊なんだよ。だからその幽霊以外の司書さんは配属されない決まりになっているの。以前ここに配属された人間の司書さんは、数日で気が狂ってしまったらしいわ。」

 急なホラーに、ユーリ以外の皆もサッと顔を青ざめさせる。

「そ、そそそそんな風には見えないんじゃが……?」

 ちら、とファッツァさんを盗み見る。登場の仕方こそ驚いたが、基本的に穏やかそうなオジサンにしか見えない。気を狂わせる程のナニカがあるようには到底見えないのだが……?

「で、でもそれなら、れ、レタアは何故、ふ、普通でいられるの?」
「分からない。」
「それに、僕達には見えないで、レタアにだけ見えるのも何故だろう? やっぱり霊感の違い、ってやつ?」
「……」

 ユーリはニイナの質問には即答し、ガウディロの質問には答えず黙り込んだ。

「ユーリ、あなたの情報が頼りなの。レタアを危険には晒したくないわ。お願い、何か知っているなら教えて頂戴。」

 グリタリアの熱烈な訴えにワシがジンと感動していると、ユーリはその重い口を開いた。




「レタア、あんた、本当に落ちこぼれなの?」
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