千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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魔法学校編

5-6

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 入学式が終われば、新入生のクラスが改めて発表される。確か一年生は入学試験順だったはずだから、ワシは一番下のクラス……

「あ」

 待てよ、それだとミネルと別々に、それも一番離れてしまう。新しく友達を作る気ではいるが、ミネルとキャッキャうふふな学園生活を送るつもりでもいたのに。これではなかなか会うことすら叶わないじゃあないか!

 今更気がついたそれに内心頭を掻きむしり、じゃあどうすればよかったのだと悩む。

 が、悩んだところで、現実は変わらないのだからと悩むことを速攻で止める。諦めも時には大事。これ、重要。千年生きるワシのライフハックの一つじゃ。

 と言うことで、今考えていたことはすっかりさっぱり忘れて、これからの楽しみに心を馳せることにした。

「クラスはIアイ組~名前は一番下~」

 鼻歌を歌いながらこの一年間お世話になる我がクラスI組に向かう。意外と迷わないものなんじゃな、と珍しく働いている記憶力に感心する。

 どうやら学園の構造はなんとなく頭に残っているらしいからな。何故そうかは分からないが、まぁいいか。悪いことじゃあないし。深く考えることをまた放棄する。

 クラスに到着し、自分の席を確認する。このクラスの生徒数は四十程度か。そしてここでも試験結果が出てくるらしく、ワシはもちろん一番最後で、窓側一番後ろ。

 ああ、ちなみにこの学園において窓側の席と言うのはあまり褒められたものではない。そのクラスの中で出来損ないである、と烙印を押されたも同然だからだ。まあ、ワシはそれでも気にせんがな。

 このクラスでは、五人が窓側の席らしい。皆が皆うつむいていた。そんな中でワシは堂々と一番後ろの席に着く。



 ワシは早速、自分の前の席に座る女の子の背中をちょんちょんと突き、彼女が振り向いたところで話しかける。

「はじめまして、ワシはレタアですじゃ。是非とも仲良くしてくれたら嬉しい!」
「あ……えと、は、はじめまして? 私はニイナ・ラムミヴァン。ラムミヴァン男爵家から来ました。よ、よろしくお願いします?」
「よろしくお願いします、じゃ! ニイナ!」

 内向的な子なのか、握手のために差し出したワシの手におっかなびっくり触れてきたニイナ。その手を離さないようにワシはぶんぶん振り回し、友好の意を表した。

 それ程激しく振り回してしまったからか、ニイナのおさげがブオンブオン揺れる。そこも可愛いな。



 そんなことを考えていると、ガラリとドアが開く音が教室内に響く。何事だとニイナと繋いでいた手を離し、開いたドアの方を見つめる。

「席に着きなさい! まったく、なぜ私のようなエリートがこんな落ちこぼれ達の面倒を見なければならないのかしら? ほんと、嫌になっちゃう。あなた達、良い? これ以上私の手を煩わせないで頂戴ね? それもできないようなら私の権限で退学させてもいいんだからね!」

 ドアから急に現れたと思ったら、まくし立てるようにそう告げる先生らしき女性。これが担任か、とこちらも落胆する。

 魔力の差だけで人を判断するような先生に教わったとて、上達するものも何もないじゃろう。まだまだ若造なのか、価値観が凝り固まっているのか。ワシには分からん。

 担任(仮)のあんまりな言い分に正直カチンときたが、ワシにそれを覆す良い案なんてすぐには思いつけず、後で思い知らせてやる、と内心闘志を燃やしながら今は口を閉ざすことしか出来なかった。
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