千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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魔法学校編

5-4

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「これからフラムレイール学園、第二九四八期生入学試験を始める。呼ばれた者から順に前に出なさい。」

 そう宣言したのは老齢の女性。この人が現在の学園長なのだろう。周りのどの人よりも貫禄があるからな──間違えていたらどうしよう?──。

「──、」
「──、」
「──、」
「──、」

 幾つもの名前が呼ばれ、皆が皆ワシが前世の時に作った『感知魔法を埋め込んだ魔道具』に触れる。そしてその魔道具が弾き出した魔力の数値を、傍にいる先生らしき大人が記録する。

「ミネルヴァ・キール伯爵令嬢」
「はい」

 ようやくミネルの番が回ってきたらしい。呼ばれたミネルはまさしく貴族の立ち居振る舞いを見せる。

 とても綺麗にシズシズと歩き──いつものお転婆なイメージからかけ離れている──魔道具の前で立ち止まった。

 そしてミネルが魔道具に触れて数値を叩き出すと、傍らの先生の顔色が変わる。天才がいる、とでも言いそうな顔じゃな。

 その魔力量をワシが底上げした、と考えると鼻が高い。ワシは内心ドヤ顔するが、まあ、誰も気付くわけもなかった。




「レタア」

 それからまたしばらくして、やっとワシの番が回ってきた。まあ、聞いている感じだと身分順に呼ばれていたようじゃったからな。平民であるワシは最後の方なのは仕方なし。堂々と道を歩く。

 周りは『平民の癖にこの学園に通うつもりなの?』と言わんばかりの視線とヒソヒソ声。まあそれも仕方なし。名前だけ、イコール平民という図式はこの世界の常識だから。

 前世で向けられていた『化け物を見るような視線』よりかはマシってもんじゃ。

 それよりも自分が作った魔道具を自分が使うのは滅多にないことで、他の人とはまた違った意味でドキドキしながらそれに触れる。

「……」

 分かっていたことじゃが、傍にいた先生は分かりやすく顔を顰める。平民というだけでも貴族連中からすれば目の上のたんこぶなのに、更に落ちこぼれときた。仕方ない反応だ。

 それにしても、阻害魔法を掛けているのに、この学園に入学出来るほどの魔力は表示されてしまうらしい。今まで気がつかなかったが、なかなか面白いことじゃな。あとで研究の余地あり、じゃ。

 内心ワクワクするワシとは反対に、すごく嫌そうな顔をしながら記録を済ませた先生は、もう戻りなさい、と強めに言う。それに従ってワシは素直に席に戻る。

「レタアちゃん、あの先生……」

 先に戻っていたミネルがあれを見て苦い顔をする。

「やっぱりレタアちゃん、魔力偽らない方が良かったんじゃない?」
「いや、化け物を見る目で見られるよりはマシじゃよ。」

 ワシのその言葉に、ミネルはもう何も言わなかった。
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