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魔法学校編
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ぶつかった黒髪金目の男子生徒はきっと上級生。なんたって制服も着ているし、ワシよりも随分背が高い──今まで自身に掛けていた幻影魔法は勿論解いてある。身体年齢は十歳なのに見た目が十五歳だと怪しまれるからな。人間はいつの時代も異端を排除する傾向にあるのも熟知している──。
今世生まれてこの方関わりのある同世代はミネルくらいだからな──誰じゃ、前世を合わせてもそれが皆無だったろうと言うやつは──、なぜこの人がわしを知っていたのか、そもそもこの人が何者なのか。ワシには見当もつかない。
「……ハッ、そんなゴミ屑みたいな魔力でこの学園に通おうとしているのか? ……分かっているだろうが我がクラスティルの名を騙ろうとするなよ」
黒髪金目はワシを蔑む目で睨み、言いたいことを言うだけ言って去っていった。
……クラスティルはワシの生家だが、『我が』ということは身内……?
「あ、もしかして!」
思い至る人物が一人浮かんだ。ワシの今世の実の兄ではなかろうか! 薄ぼんやりとした記憶の中に、先程の人物がぼやぁっと浮かび上がる。ちなみに鮮明には思い出せないのだが、なんとなくの色味で判断した。
「うわー、記憶の中のお兄様は優しかったのに、今会ったのは典型的な嫌なやつじゃったな。」
時間はこうも残酷なのか……と内心ハンカチを目頭に当てて涙を拭う。まるで親目線じゃな。まぁ、精神年齢的にはお婆ちゃん目線とも言えそうじゃが。
それにしてもあの家、今でもどうやら魔力絶対主義……とでも言うのか。まぁ、そんな凝り固まった考え方じゃから魔力がほぼない(ように見える)ワシを勘当したのじゃろう──追い出された当初はわからなかったが、歳を重ねるにつれ周りを見る余裕が出来たからこそ、ワシもそれを理解したのじゃが──。
確かに魔力が豊富ならば寿命にも変化があるし魔法は使いこなせれば実に便利。更に言えば有用なエネルギー源ともなり得る。そんな利点から、魔力絶対主義になるのも分からなくもない。
しかし最近のワシは、それだけが全てではないのではないか、と考えている。まぁ、魔法の天才がなんか言ってる、とは言われそうじゃが。
その発想に至ったのは勿論魔法を禁じられていたあの期間があったから。
ワシの最大にして唯一のものが封じられ、その期間中は魔力なしの生活を送らざるを得なくなった。あの時はただ不便を感じるだけでなく、唯一の利点が一時的とは言え消えたことで、
『理由の分からない焦燥感』
『魔法以外何も出来ない無力感』
『魔法があるからこそ成り立つ人間関係が壊れることへの不安』
エトセトラエトセトラ……
色んな感情に振り回されていて。自分でもよく分からない状態になっていた。後々冷静になってから考えると、相当追い込まれていたらしい。
そんなワシを見放さずにいてくれたミネル始めたくさんの人のおかげで、立ち直れたし意識改革も遂げた。
だからじゃろうか。クラスティル家の方針に対して敏感になってしまうのは。
今世生まれてこの方関わりのある同世代はミネルくらいだからな──誰じゃ、前世を合わせてもそれが皆無だったろうと言うやつは──、なぜこの人がわしを知っていたのか、そもそもこの人が何者なのか。ワシには見当もつかない。
「……ハッ、そんなゴミ屑みたいな魔力でこの学園に通おうとしているのか? ……分かっているだろうが我がクラスティルの名を騙ろうとするなよ」
黒髪金目はワシを蔑む目で睨み、言いたいことを言うだけ言って去っていった。
……クラスティルはワシの生家だが、『我が』ということは身内……?
「あ、もしかして!」
思い至る人物が一人浮かんだ。ワシの今世の実の兄ではなかろうか! 薄ぼんやりとした記憶の中に、先程の人物がぼやぁっと浮かび上がる。ちなみに鮮明には思い出せないのだが、なんとなくの色味で判断した。
「うわー、記憶の中のお兄様は優しかったのに、今会ったのは典型的な嫌なやつじゃったな。」
時間はこうも残酷なのか……と内心ハンカチを目頭に当てて涙を拭う。まるで親目線じゃな。まぁ、精神年齢的にはお婆ちゃん目線とも言えそうじゃが。
それにしてもあの家、今でもどうやら魔力絶対主義……とでも言うのか。まぁ、そんな凝り固まった考え方じゃから魔力がほぼない(ように見える)ワシを勘当したのじゃろう──追い出された当初はわからなかったが、歳を重ねるにつれ周りを見る余裕が出来たからこそ、ワシもそれを理解したのじゃが──。
確かに魔力が豊富ならば寿命にも変化があるし魔法は使いこなせれば実に便利。更に言えば有用なエネルギー源ともなり得る。そんな利点から、魔力絶対主義になるのも分からなくもない。
しかし最近のワシは、それだけが全てではないのではないか、と考えている。まぁ、魔法の天才がなんか言ってる、とは言われそうじゃが。
その発想に至ったのは勿論魔法を禁じられていたあの期間があったから。
ワシの最大にして唯一のものが封じられ、その期間中は魔力なしの生活を送らざるを得なくなった。あの時はただ不便を感じるだけでなく、唯一の利点が一時的とは言え消えたことで、
『理由の分からない焦燥感』
『魔法以外何も出来ない無力感』
『魔法があるからこそ成り立つ人間関係が壊れることへの不安』
エトセトラエトセトラ……
色んな感情に振り回されていて。自分でもよく分からない状態になっていた。後々冷静になってから考えると、相当追い込まれていたらしい。
そんなワシを見放さずにいてくれたミネル始めたくさんの人のおかげで、立ち直れたし意識改革も遂げた。
だからじゃろうか。クラスティル家の方針に対して敏感になってしまうのは。
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