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魔法教師編

4-38 アルタside

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 いつも使えていたものが急に使えなくなる、というのは不安にもなるし何より不便だ。

 その中でもレタアちゃんにとって魔法というのは多分生活の一部、または体の一部と言っても過言ではないのだろう。

 それが一時的とは言え使えなくなった今、レタアちゃんに多大なストレスがかかっているだろうと容易に想像出来た。

 僕にも何か出来ることがあれば、もしかしたら僕がレタアちゃんを支えてあげられて、そして『アルタ好きー』だなんて言ってくれるかもしれない。

 そんな下心も少し抱えながら意気込んでレタアちゃんの元へ向かう──ミネルちゃんのお家が大きくて尻込みしたのは余談だ──。すると……

「お、アルタ来てくれたのか! おはよう!」

 もきゅもきゅとお菓子を食べてご機嫌なレタアちゃんの姿が見えた。あれ、ストレス、不安、支え……あれれ?

「お、おはよう……? 思ったより元気そうで良かったです?」

 あまりにも肩透かしを食らって自分でも何言ってるか分からなくなった。

「ミネルちゃんもこんにちは?」
「アルタさんこんにちは。来てくださり感謝します。」
「う、うん……?」

 未だに事態を飲み込めていない僕にミネルちゃんはちょいちょいと手招きする。するとミネルちゃんは僕の耳元でコソッとつぶやいた。

「今はお菓子で誤魔化していますが、魔法を使えないストレスは半端ない感じでして……ストッパー役、引き受けてくださりありがとうございます。」

 あれ、俺まだ何も言ってないけどね? 勝手に感謝されちゃったなぁ……まあ引き受けるけどさ!

「ふー……ばうむくーへんとやら、とても美味かった。」

 そうこう言ってるうちにレタアちゃんはお菓子を食べ終えたらしい。満足そうな顔で紅茶を飲み始めた。

「さて、あまいものを食べて頭が冷えた所で、アルタ。」
「ん?」

 急な名指しは心臓に悪いよレタアちゃん。表向きはいつも通りを装ったけど、内心は緊張で心臓バクバクだ。どんな無理難題を突きつけられるかと、ね……

「ディエゴから手紙は来ていないか?」
「……え、と、来てたから一緒に持ってきたよ。ほら」

 あれ、いつものレタアちゃんだね? ミネルちゃんから『手が付けられない』みたいなことを言われていたから、ある意味拍子抜けだ。

 そんな内心をおくびにも出さずに鞄を漁って例の手紙を手渡す。

「ありがとう。」

 レタアちゃんは手渡された手紙を読み、それを終えるとふーっと息を吐く。眉間に指を置いてグリグリとほぐしてもいた。あまり良いことが書かれていなかったのかな?

「……ヴァリアス先生に聞いてみてから、じゃな。」
「レタアちゃん、先生呼んでこようか?」

 ミネルちゃんは心配そうな顔でレタアちゃんにそう聞く。

「……先生、忙しくないか?」
「大丈夫だと思うよ。それが仕事だし。」
「じゃあよろしく頼む。」

 はいよー、と良い返事をしたミネルちゃんは部屋の外にいるメイドさんに伝言しに行った。
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