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魔法教師編
4-35
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「あはは~……」
ミネルのお母様の言葉に否定は出来ないので──だってワシがラールルであるのは本当のことなのじゃから──笑って誤魔化す。
何年か前のワシならそうだとすぐに暴露したじゃろうが、歳をとって人と関わってきて少しずつ理解していったんじゃよ。強すぎる力を持つ者は……いや、普通でない者は排除されやすいことに。それも一瞬で。
前世のワシなら壊れるものも無かったから『そうか』と一言呟いて終わりだったじゃろうが、今は違う。壊したくないものがたくさん出来た。そしてそれが一瞬で壊れるのが嫌だと思った。
だから今、ミネルの父母様に本当のことを言う場であっても、なるべくぼやかしていたというのに。
また前世の時のように恐れられたら、と思うと胸が痛む。壊れるものが無かった前世の時よりも、大事な壊したくないものが出来た今の方が怖い。大事だからこそなのじゃろう。
「……レタアちゃん、否定しないってことはそうなのね?」
「……。」
何年か前のワシが羨ましい。何も考えずに暴露出来たのじゃから!
今はどうも臆病になって駄目じゃ。今の関係が壊れると思うと一歩が踏み出せない。ぎゅっと口を噤む。目線も自分の手に落とす。
「わあっ……ラールルさんってもっと気難しい方だと思ってたわ! こんなに可愛い方だったのね!」
「へ?」
「歴史書には偏屈だとか書かれていたけれども、そんなこと無いのね! すごいわ! 歴史を直に感じることが出来るなんて!」
ミネルのお母様はキラキラと目を輝かせて楽しそうに語る。ワシはそれを見てポカンと顔を呆けてしまった。
「た、確かにあのお方の生まれ変わりなのだとしたら、ミネルの魔法が急成長したのも頷ける、か……?」
「貴方、これは僥倖ね! 魔法の天才様からご教授頂けているのですから! ミネルヴァ、あなたは幸福者ですね!」
ミネルのお父様はまだ現実に頭が追いつかないのか、こめかみを指でさすっていた。
対してうりうりとお母様に撫でくりまわされるミネルは恥ずかしそうに、でも嬉しそうにそれを享受していた。
「ああ、私もラールルさんに……いえ、レタアちゃんに魔法を教えてもらいたいわぁ~!」
もうミネルのお母様からは緊張感など微塵も感じられず、ただひたすらに『どうやってワシから魔法を教えてもらうか』を考え始めているらしい。『ミネルと一緒に教えてもらおうかしら!』だなんて呟いているのがこちらまで聞こえてきた。
「……ははっ」
ついさっきまで考えていた悩みや不安が一発で消え去った。それと同時に、隠し事を失くしたことによる安堵が心に満ちて思わず笑いが込み上げてきた。
ミネルのお母様の言葉に否定は出来ないので──だってワシがラールルであるのは本当のことなのじゃから──笑って誤魔化す。
何年か前のワシならそうだとすぐに暴露したじゃろうが、歳をとって人と関わってきて少しずつ理解していったんじゃよ。強すぎる力を持つ者は……いや、普通でない者は排除されやすいことに。それも一瞬で。
前世のワシなら壊れるものも無かったから『そうか』と一言呟いて終わりだったじゃろうが、今は違う。壊したくないものがたくさん出来た。そしてそれが一瞬で壊れるのが嫌だと思った。
だから今、ミネルの父母様に本当のことを言う場であっても、なるべくぼやかしていたというのに。
また前世の時のように恐れられたら、と思うと胸が痛む。壊れるものが無かった前世の時よりも、大事な壊したくないものが出来た今の方が怖い。大事だからこそなのじゃろう。
「……レタアちゃん、否定しないってことはそうなのね?」
「……。」
何年か前のワシが羨ましい。何も考えずに暴露出来たのじゃから!
今はどうも臆病になって駄目じゃ。今の関係が壊れると思うと一歩が踏み出せない。ぎゅっと口を噤む。目線も自分の手に落とす。
「わあっ……ラールルさんってもっと気難しい方だと思ってたわ! こんなに可愛い方だったのね!」
「へ?」
「歴史書には偏屈だとか書かれていたけれども、そんなこと無いのね! すごいわ! 歴史を直に感じることが出来るなんて!」
ミネルのお母様はキラキラと目を輝かせて楽しそうに語る。ワシはそれを見てポカンと顔を呆けてしまった。
「た、確かにあのお方の生まれ変わりなのだとしたら、ミネルの魔法が急成長したのも頷ける、か……?」
「貴方、これは僥倖ね! 魔法の天才様からご教授頂けているのですから! ミネルヴァ、あなたは幸福者ですね!」
ミネルのお父様はまだ現実に頭が追いつかないのか、こめかみを指でさすっていた。
対してうりうりとお母様に撫でくりまわされるミネルは恥ずかしそうに、でも嬉しそうにそれを享受していた。
「ああ、私もラールルさんに……いえ、レタアちゃんに魔法を教えてもらいたいわぁ~!」
もうミネルのお母様からは緊張感など微塵も感じられず、ただひたすらに『どうやってワシから魔法を教えてもらうか』を考え始めているらしい。『ミネルと一緒に教えてもらおうかしら!』だなんて呟いているのがこちらまで聞こえてきた。
「……ははっ」
ついさっきまで考えていた悩みや不安が一発で消え去った。それと同時に、隠し事を失くしたことによる安堵が心に満ちて思わず笑いが込み上げてきた。
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