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魔法教師編

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 さて、魔法禁止に対して思わず了承してしまったが、魔法を使わない生活とは一体……?

 前世今世合わせても魔法を使わない日なんて無かったからか、魔法無しの生活がどんなものか想像もつかないのじゃ。思わず首を傾げてしまったではないか。

「それで、なのですが……取り敢えずレタア様が倒れられた時にまだ使われていた魔法は私が解きました。……一つを除いて。」
「魔法を解く? 一つを除いて? どういうことじゃ、ですか?」

 他人の魔法を解く、だなんてあり得ん。ワシの魔法を持ってしても可能かどうか、という程じゃからな。ヴァリアス先生が言わんとすることがまたまた理解出来なかった。

「私は魔法の解除に特化した人間でございます。あとはまあ、家系的に得た目をほんの少し、くらいしか誇れるものはないのですが。」
「ほぅ……」

「ですのでレタア様が身に纏っていた魔法も一つを除いて全て解除させて頂きました。一分でも早く魔力を回復させるために魔法の解除は必須事項でしたから。」
「ほぅ……一つを除いて、とはどういうことじゃ……ですか?」

「それが分からないのです。何の魔法が掛けられているのか。レタア様の言葉を借りるなら『幻影魔法』『感知阻害魔法』『収納魔法』『時間経過を止める魔法』の四つも常にレタア様に纏わりつく魔法でした。それらは解除出来たのですが、しかしあと一つ、あと一つが解除出来なかったのです。」

「あと一つ? なんですかそれは。ワシは解除したと言うその四つの魔法しか自分には掛けていないですよ?」
「いいえ、あと一つ掛かっています。しかしどんな魔法なのかも私には見当がつかないのです。まるで呪いのようにすら見えるのですが……正体までは。」
「呪い、か……」

 そんなもん掛けられそうになったら呪い返してあげるくらいの力量はあると自負しておったが……

「少し考えてみます。」
「ええ、そうして頂ければ。……まあ、先程呪いと表現しましたが、見たところ身体に害をなす類のものではなさそうですので、あくまで『呪いのように纏わり付いて離れない魔法』と思ってくだされば。」

 それでは失礼します、と言いたいことを言い切ったらしいヴァリアス先生は退室していった。

「ふむ……」

 部屋に一人になったので考えることにした。しかし何度も言うが思い当たる節はない。ワシに掛けられた呪い(のような魔法)とは、はてはて一体何じゃろうか。

 ワシは何の魔法をいつ自分に掛けた……?






 数分程考え続け、やはり答えは出て来なかった。ならば。

「魔法で解決するしかないな。」
「レタアちゃんちょっと待ったぁぁあああ!」

 バタンと大きな音を立てて扉が開き、ミネルの大声も同時に聞こえてくる。今度はミネルが部屋にやって来たようじゃった。

「先生から聞いたよ! 魔法使用禁止って! それなのに何普通に魔法使おうとしてんのさァ!?」
「む……そうじゃった。」

 呪い(のような魔法)のことに意識が向いていて忘れておった。危ない危ない。

 魔法を使ったらきっとあの先生に怒られる。それは嫌じゃ。あの先生多分怒らせたら怖い。そうワシの直感が告げている。直感を馬鹿にすること勿れ、じゃ。

「もー、こうなったら私が監視してなきゃじゃん! 魔力碌々新緑の森!」

 そう言ってギャンと目を光らせたミネル。その勢いが凄まじく、ワシは思わず一歩後ろに引いてしまった。
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