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魔法教師編

4-30 アルタside

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「はー……」

 レタアちゃんが倒れてから四日が経った。今日も僕は仕事。ギルドの受付でボーッと意識を飛ばす。溜息も止まらない。

「アルタ、五月蝿い。」
「……酷いよ姉さん。」
「で、まだレタアさんは眠ったまま?」
「うん……」

 レタアちゃんはまだミネルちゃん家にいる。眠ったまま四日も目覚めないらしいのだ。

 平民の僕一人ではなかなか気軽にミネルちゃん家へ寄れないから、レタアちゃんが目覚めたら連絡してもらう算段だ。だがその連絡が一向に来ないのだ。

 心配で心配で仕方ない。何か動いていなければいけない気がした僕は、今日も昼休みと仕事終わりに図書館に行こうと決める。魔法使いや魔力に関しての知識を入れようと思ってね。

 僕にはそれくらいしか出来ないことに歯痒さを感じてしまうよ。







 昼休みになり、ご飯も碌に食べぬまま図書館へと向かう。魔法に関する書物は貴重らしく、貸出厳禁と張り紙があった。なるほど、ならここで読んでいけば良いか。

 魔法関連の書物を何冊か読書スペースへと持ち込み、そのうちの一冊を開く。

「ええと、魔法とは……」

『魔法とは貴族に許された特権のようなもの。理屈的に言えば平民でも魔力があれば魔法の行使は可能だが、魔法として扱える程の魔力量を持つ平民はごく稀である。

~~

 かの有名なラールル氏が開発した、感知魔法を埋め込んだ魔道具によって魔力は測ることが可能。埋め込んであるその魔法、感知魔法はラールル氏が生み出した魔法の中でも特に難解なものであり、魔法自体を扱える者はいない。』

「へぇ……あれ、これってミネルちゃんが練習していたやつか。」

 確か感知魔法だなんだって言ってたような……? 難解って書いてあるし、すぐ習得出来るものでもないんだなぁ……

 それを練習しているミネルちゃんも凄いよなぁ……そしてそれ以上にその魔法を作ったレタアちゃんもといラールルさんはもっと凄いよなぁ……

 とにかくこの魔法が凄いことしか僕には分からなかった。







 それからギルドに戻り午後の業務を行っていると、姉さんが大きめな声で僕を呼んだ。

「アルタ!」
「……ん?」
「キール伯爵家から連絡が来たわよ!」

 姉さんのその手には一通の手紙が。僕はそれを目にした瞬間ガタリと椅子を倒しながら勢いよく立ち上がる。

「あんた宛よ。」
「っ……!」

 渡された手紙の表面には僕の名前が。裏を見るとミネルちゃんの名前が。僕は封を切って中身を確認する。


『アルタさんへ

レタアちゃんが目覚めました。ヴァリアス先生曰く、もう魔力も全回復したらしいです。しかし万一のためにしばらくの間は魔法を極力使わないように、とのことでした。

ただ、レタアちゃんは今まで魔法に頼りきりの生活を送っていたからか、ちょっとしたことでも魔法を使いたがって……止めるのが大変です。

あと、この間言っていた騎士団魔術師団合同の魔物討伐に出ようとレタアちゃんは画策しているらしいのです。なのでストッパー役が欲しいです。私一人ではなかなか止められない。どうにかなりませんか?

我が家の門番には伝えておきますので、いつでも気軽に来てください。……というかレタアちゃんを止めに来て欲しいです。本当に。切実に。

ミネル』


 手紙を読み終え、一度それをパタンと畳む。ミネルちゃんの気苦労が節々から窺い知れてちょっと頭が痛くなってきた気がする。こめかみを摩っておくことでそれを緩和させる。

「レタアちゃん……」

 お見舞いついでに様子を見てこよう。そう決めてミネルちゃん家に向かうことにした。
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