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魔法教師編

4-29 ミネルside

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「レタアちゃん!?」
「おっと危ない……」

 家に帰ってきたと思ったら急にレタアちゃんは後ろに倒れる。隣にいたアルタさんが咄嗟に抱きとめたとは言え、レタアちゃんはぐったりしたまま。

「どどどどうしよう!?」
「ミネルちゃん、まずはレタアちゃんが休めるところに連れて行ってくれない?」
「わわわ分かりましたっ!」

 私はとにかく家の中ですぐ使えそうな客間へと二人を案内し、近くにいたメイドにも簡単に事情を説明しておく。








「これは……魔力切れですね。」

 我が家お抱えの医者、ヴァリアス先生にも来てもらい、レタアちゃんを診てもらった。先生は自身の白い髭を触りながらそう診断する。魔力切れ……

「それも結構危険な状態ですよ。何故ここまで消費したんです? 普通これ程になる前に気持ち悪くなったり何かしら不調を訴えるはずですが。」
「そんな素振りは……」

 ちょっと心当たりはないな……

 一緒にいながら、私はレタアちゃんの不調に気が付けなかった。もっと周りに敏感にならなければ……

「あ、もしかしてレタアちゃん、不調を感じた瞬間に回復魔法でも使ったんじゃない?」
「あ」

 アルタさんの言葉に、確かにレタアちゃんは先程疲れたら回復魔法を使っていると言っていたことを思い出した。

「馬鹿ですか! この不調は魔力が少なくなって起こるものなのに、魔法を使って回復するとでも!? 自分の限界を知らずに魔法を使うなど言語道断! この患者が目覚めたら私が直々に説教してやりますよ!」

 ヴァリアス先生はアルタさんの言葉に青筋を立てて怒る。それ程患者を想っているということなのだろう。

「でも先生、レタアちゃんは私達を助けてくれたんだよ。それを考慮してくれると嬉し「だとしても無理はダメです!」……はい。そうですね……」

 一応レタアちゃんのフォローをしたつもりだったが逆効果で。私の言葉に被せてヴァリアス先生はそこまで言い切りフーと息を吐く。心を落ち着けさせるためなのだろう。

 その後先生はこめかみを摩り、落ち着かせた声で言葉を紡ぐ。

「……とにかく魔力を回復するには休むことが第一。目覚めても極力魔法は使わせないでくださいね。」
「はい。」
「では今日は失礼します。」
「ありがとうございます」

 私とアルタさんはヴァリアス先生を見送る。先生の背中は『疲れた』と言わんばかりで。

 私はこの件を重く受け止めた。
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