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魔法教師編
4-26 ミネルside
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「お、なんか緑色の魔物が出てきたな。」
「あれはゴブリンだよ。」
「「へー。」」
アルタさんの解説に、レタアちゃんと私は一緒のタイミングで相槌を打つ。
それにしても私はまだこの世界で生きて十年も無いから仕方がないとして、レタアちゃんはこの世界で千年以上生きてきたはずなのにこの世界に生息する魔物を全くと言ってもいい程把握していないようだ。
記憶力が無いから覚えた瞬間に忘れていく、とはレタアちゃん談。それなら仕方ない……のか?
「よし、じゃあミネル。感知魔法を使ってみろ。動きはワシが止めておく。」
「はいっす! 魔力碌々新緑の森!」
私が呪文を唱えたらゴブリンに薄っすら色がついて見えた。あ、でもアルタさんよりは濃いかな。
「どれくらいじゃ?」
「え、と……アルタさんよりは濃い感じです!」
「ふむ……」
(私が感知魔法を使っているから)真っ黒(に見える)レタアちゃんは私の曖昧な感想を聞いて考え込んだ。
その後フワッと真っ黒いのがレタアちゃんの手からゴブリンへ流れ込むのが見えた。あ、まだ感知魔法が効いているからそう見えるのかな?
ふむふむ、これが魔力の流れか。結構これはこれで勉強になるかも。魔力の使い方という意味で。
「ふーむ、ほとんど魔力は無いな。ええと……」
真っ黒レタアちゃんは懐に仕舞っていたらしい紙切れを取り出し、ゴブリンと紙を照らし合わせ始めた。もしかしてレタアちゃんも感知魔法を使って魔力の濃さを比較しているのかな?
「それでも以前よりは魔力がある。ゴブリンは普通、全くと言っていい程魔力は無いらしいからな。……やはり全般的に魔物達の魔力量は増えてきているというのは本当らしいな。」
「へー……」
やっぱり魔力は増えてきているみたいだ。
「じゃあ確認出来たところで、僕の出番かな?」
アルタさんは張り切って短剣をジャキッと取り出した。
「うむ、お願いする。動きはこのまま止めておくからな。」
「はーいっ……と!」
アルタさんは一撃でゴブリンを仕留める。動いていないとはいえさすが元冒険者さんだ。動きに無駄がない。
「よし、また魔物探しするかー。」
「はいよー。」
レタアちゃんとアルタさんの余裕綽々とした態度に、私は思わず(この人達といたら多分どんな魔物でも倒せそう)だなんてことを考えてしまった。油断した、とも言うのだろう。
それがいけなかったのかもしれない。
「……多いな。」
「む? 多いのか?」
「やっぱり多いですよね?」
先程同様、レタアちゃんが見える範囲にいる全魔物の動きを止め、私が感知魔法を使う。その後レタアちゃんも感知魔法を使って記録、アルタさんが仕留める。それの繰り返しなのだが、いかんせん量が多い。
何せさっきからゴブリン含めて色々な魔物が団体で押し寄せているのだ。私も休む暇なく魔法を使っていて、ちょっと疲れてきたかもしれない。いや、ちょっとではないや。超疲れた。
「む、ミネルはそろそろ限界じゃな。」
そんな私にいち早く気がついたレタアちゃんは私の頭をポンポンと撫でた。
「……なんでレタアちゃんはそんなにピンピンしてるの?」
「ん? ワシはまだまだいけるぞ。前世今世合わせても、魔力切れを起こしたことは無いしな。」
うそん……魔力お化けやん……
今現在、私よりも多く魔法を使っているはずなのに──動きを止める魔法と感知魔法……と、幻影魔法もか──ケロッとしているレタアちゃんを見ると、なんか虚無感に襲われる。どう考えてもアドバンテージが違う、と。
レタアちゃん、魔力お化けやん……
大事なことなので二回言うよ。
「あれはゴブリンだよ。」
「「へー。」」
アルタさんの解説に、レタアちゃんと私は一緒のタイミングで相槌を打つ。
それにしても私はまだこの世界で生きて十年も無いから仕方がないとして、レタアちゃんはこの世界で千年以上生きてきたはずなのにこの世界に生息する魔物を全くと言ってもいい程把握していないようだ。
記憶力が無いから覚えた瞬間に忘れていく、とはレタアちゃん談。それなら仕方ない……のか?
「よし、じゃあミネル。感知魔法を使ってみろ。動きはワシが止めておく。」
「はいっす! 魔力碌々新緑の森!」
私が呪文を唱えたらゴブリンに薄っすら色がついて見えた。あ、でもアルタさんよりは濃いかな。
「どれくらいじゃ?」
「え、と……アルタさんよりは濃い感じです!」
「ふむ……」
(私が感知魔法を使っているから)真っ黒(に見える)レタアちゃんは私の曖昧な感想を聞いて考え込んだ。
その後フワッと真っ黒いのがレタアちゃんの手からゴブリンへ流れ込むのが見えた。あ、まだ感知魔法が効いているからそう見えるのかな?
ふむふむ、これが魔力の流れか。結構これはこれで勉強になるかも。魔力の使い方という意味で。
「ふーむ、ほとんど魔力は無いな。ええと……」
真っ黒レタアちゃんは懐に仕舞っていたらしい紙切れを取り出し、ゴブリンと紙を照らし合わせ始めた。もしかしてレタアちゃんも感知魔法を使って魔力の濃さを比較しているのかな?
「それでも以前よりは魔力がある。ゴブリンは普通、全くと言っていい程魔力は無いらしいからな。……やはり全般的に魔物達の魔力量は増えてきているというのは本当らしいな。」
「へー……」
やっぱり魔力は増えてきているみたいだ。
「じゃあ確認出来たところで、僕の出番かな?」
アルタさんは張り切って短剣をジャキッと取り出した。
「うむ、お願いする。動きはこのまま止めておくからな。」
「はーいっ……と!」
アルタさんは一撃でゴブリンを仕留める。動いていないとはいえさすが元冒険者さんだ。動きに無駄がない。
「よし、また魔物探しするかー。」
「はいよー。」
レタアちゃんとアルタさんの余裕綽々とした態度に、私は思わず(この人達といたら多分どんな魔物でも倒せそう)だなんてことを考えてしまった。油断した、とも言うのだろう。
それがいけなかったのかもしれない。
「……多いな。」
「む? 多いのか?」
「やっぱり多いですよね?」
先程同様、レタアちゃんが見える範囲にいる全魔物の動きを止め、私が感知魔法を使う。その後レタアちゃんも感知魔法を使って記録、アルタさんが仕留める。それの繰り返しなのだが、いかんせん量が多い。
何せさっきからゴブリン含めて色々な魔物が団体で押し寄せているのだ。私も休む暇なく魔法を使っていて、ちょっと疲れてきたかもしれない。いや、ちょっとではないや。超疲れた。
「む、ミネルはそろそろ限界じゃな。」
そんな私にいち早く気がついたレタアちゃんは私の頭をポンポンと撫でた。
「……なんでレタアちゃんはそんなにピンピンしてるの?」
「ん? ワシはまだまだいけるぞ。前世今世合わせても、魔力切れを起こしたことは無いしな。」
うそん……魔力お化けやん……
今現在、私よりも多く魔法を使っているはずなのに──動きを止める魔法と感知魔法……と、幻影魔法もか──ケロッとしているレタアちゃんを見ると、なんか虚無感に襲われる。どう考えてもアドバンテージが違う、と。
レタアちゃん、魔力お化けやん……
大事なことなので二回言うよ。
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