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魔法教師編
4-25
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「で、肝心の呪文なのじゃが、『魔力碌々新緑の森』だそうじゃ。」
ディエゴからの返事を紙に書いておいたからな、ワシでも忘れずにいられたんじゃ。メモ、本当、大事。
「うーわぁー……」
その呪文をミネルに伝えると、ドン引きしたかのように顔を引きつらせた。む? なんじゃ?
「前々から思っていたんだけど、なんでこの世界の呪文は早口言葉なの?」
「早口言葉……? ミネルちゃん、それは何?」
ワシもアルタも理解出来ずに首を傾げる。多分ミネルの前世世界の話じゃろうことは推測出来たが、内容までは推測出来なかった。
「あれ、この世界には無いんですか? 言いにくい言葉を羅列して、それを早く喋り切るっていう遊び。」
「へぇ……面白いね、それ。」
「なかなか面白いですよ。今回の呪文は意味不明ですけど言いにくさはありますよね。」
「魔力りょっ……本当だ。」
確かに言われてみれば言いにくい言葉じゃな。アルタも途中で噛んでいたし。
しかし、何故そんな言いにくい言葉を呪文として扱っているのじゃろうか。ふーむ、呪文に関して言えば素人よりも素人じゃからな、謎は深まるばかりじゃ。
何せ前世では魔法を作ったら作りっぱなしで、その魔法に呪文を付けることになど一ミリも関与していないのじゃからな! えっへん! 確かワシが作った魔法に呪文を付けるのは魔術師団の人達だったか。
まあ、この話はいいとして。
「……さて、じゃあまずはミネル、ワシにその魔法を使ってみろ。ワシの魔力を測ってやるぞ! という意気で。」
「押忍! 魔力碌々新緑の森! ……?」
ミネルは気合十分に呪文を唱える。が、その後首を傾げる。多分魔法が発動しなかったのじゃろう。魔力の動きが感じられなかったからな。
「ミネル、もっとイメージをするんじゃよ。どんな魔法を使いたいのか、そしてどうしたいのか。」
「が、頑張る……」
うぅー、と唸りながらミネルは魔法をどう使いたいのか、頑張ってイメージしているのじゃろう。
「……魔力碌々新緑の森!」
今度はグワッとミネルの魔力が大きく動いたのが分かった。ああ、これはコントロール出来ずに暴発する方だな。そこまで理解した時、ミネルは『ひょえっ!』とおかしな声を出した。なんじゃ?
「れ、れ、レタアちゃんが真っ黒!」
「真っ黒? ……まあ、ワシは魔力量が多いからな。」
確かにこの魔法は掛けた対象に色がついて見えるが、ワシは自分に同じ魔法を掛けても真っ黒には見えないが……
まあ、今ミネルは魔法を暴発させたようなものじゃからな、真っ黒に見えてもおかしくはないのじゃろう。
「えぇ……あれ?」
ワシの魔力量にドン引きするミネルはその後すぐにキョトンと顔を呆けさせる。
「ミネル、どうした?」
「アルタさんにも色がついて見える。」
「「はぁ!?」」
感知魔法は『魔力持ちの魔力量を視認出来るように色を付ける』魔法。それなのに魔力持ちではないアルタに色がついて見えるとは一体……?
ミネルside
うう、この感知魔法、コントロールがもんのすごく難しいかも……
レタアちゃん曰く、レタアちゃん自身に魔法を使ってみても真っ黒にはならないらしいし、何より今私は魔力持ちではないアルタさんにも色がついて見えている。
でも何度試してもレタアちゃんは真っ黒に見えるようになるし、アルタさんは薄っすら色付いて見える。あれれ~?
未だに真っ黒なレタアちゃんは『魔法が暴走気味だから、アルタにも魔力があるかのように見えてしまうのでは?』と言っていた。
そっかー、やっぱりアルタさんには魔力は無いのかー。ワンチャン実は皆魔力を持っている、みたいな展開は無いのかー。
「魔力碌々新緑の森! ……やっぱりレタアちゃん真っ黒だぁ……」
何度試しても真っ黒になるレタアちゃん。なんか前世で見た推理もののアニメの犯人みたい。
「ふむ、なかなかに難しいようじゃな。」
「うん。」
「まあ、そんなに落ち込むことはない。最初は誰でも出来ない所から始まるからな。ということで今日の狩りではミネルが感知魔法を練習がてら使い、ワシとアルタが討伐する。で、良いか?」
上手く魔法が使えずに少し落ち込んでいると、レタアちゃんはそれに気がついて私の頭を撫でてくれた。ふふ、ありがとう。少し元気出たよ。
「私頑張るね!」
「まあ、僕は討伐くらいしか貢献出来ないからね。頑張るよ。」
「よし、じゃあ森へレッツゴー!」
レタアちゃんの掛け声でいざ、森へ出発!
ディエゴからの返事を紙に書いておいたからな、ワシでも忘れずにいられたんじゃ。メモ、本当、大事。
「うーわぁー……」
その呪文をミネルに伝えると、ドン引きしたかのように顔を引きつらせた。む? なんじゃ?
「前々から思っていたんだけど、なんでこの世界の呪文は早口言葉なの?」
「早口言葉……? ミネルちゃん、それは何?」
ワシもアルタも理解出来ずに首を傾げる。多分ミネルの前世世界の話じゃろうことは推測出来たが、内容までは推測出来なかった。
「あれ、この世界には無いんですか? 言いにくい言葉を羅列して、それを早く喋り切るっていう遊び。」
「へぇ……面白いね、それ。」
「なかなか面白いですよ。今回の呪文は意味不明ですけど言いにくさはありますよね。」
「魔力りょっ……本当だ。」
確かに言われてみれば言いにくい言葉じゃな。アルタも途中で噛んでいたし。
しかし、何故そんな言いにくい言葉を呪文として扱っているのじゃろうか。ふーむ、呪文に関して言えば素人よりも素人じゃからな、謎は深まるばかりじゃ。
何せ前世では魔法を作ったら作りっぱなしで、その魔法に呪文を付けることになど一ミリも関与していないのじゃからな! えっへん! 確かワシが作った魔法に呪文を付けるのは魔術師団の人達だったか。
まあ、この話はいいとして。
「……さて、じゃあまずはミネル、ワシにその魔法を使ってみろ。ワシの魔力を測ってやるぞ! という意気で。」
「押忍! 魔力碌々新緑の森! ……?」
ミネルは気合十分に呪文を唱える。が、その後首を傾げる。多分魔法が発動しなかったのじゃろう。魔力の動きが感じられなかったからな。
「ミネル、もっとイメージをするんじゃよ。どんな魔法を使いたいのか、そしてどうしたいのか。」
「が、頑張る……」
うぅー、と唸りながらミネルは魔法をどう使いたいのか、頑張ってイメージしているのじゃろう。
「……魔力碌々新緑の森!」
今度はグワッとミネルの魔力が大きく動いたのが分かった。ああ、これはコントロール出来ずに暴発する方だな。そこまで理解した時、ミネルは『ひょえっ!』とおかしな声を出した。なんじゃ?
「れ、れ、レタアちゃんが真っ黒!」
「真っ黒? ……まあ、ワシは魔力量が多いからな。」
確かにこの魔法は掛けた対象に色がついて見えるが、ワシは自分に同じ魔法を掛けても真っ黒には見えないが……
まあ、今ミネルは魔法を暴発させたようなものじゃからな、真っ黒に見えてもおかしくはないのじゃろう。
「えぇ……あれ?」
ワシの魔力量にドン引きするミネルはその後すぐにキョトンと顔を呆けさせる。
「ミネル、どうした?」
「アルタさんにも色がついて見える。」
「「はぁ!?」」
感知魔法は『魔力持ちの魔力量を視認出来るように色を付ける』魔法。それなのに魔力持ちではないアルタに色がついて見えるとは一体……?
ミネルside
うう、この感知魔法、コントロールがもんのすごく難しいかも……
レタアちゃん曰く、レタアちゃん自身に魔法を使ってみても真っ黒にはならないらしいし、何より今私は魔力持ちではないアルタさんにも色がついて見えている。
でも何度試してもレタアちゃんは真っ黒に見えるようになるし、アルタさんは薄っすら色付いて見える。あれれ~?
未だに真っ黒なレタアちゃんは『魔法が暴走気味だから、アルタにも魔力があるかのように見えてしまうのでは?』と言っていた。
そっかー、やっぱりアルタさんには魔力は無いのかー。ワンチャン実は皆魔力を持っている、みたいな展開は無いのかー。
「魔力碌々新緑の森! ……やっぱりレタアちゃん真っ黒だぁ……」
何度試しても真っ黒になるレタアちゃん。なんか前世で見た推理もののアニメの犯人みたい。
「ふむ、なかなかに難しいようじゃな。」
「うん。」
「まあ、そんなに落ち込むことはない。最初は誰でも出来ない所から始まるからな。ということで今日の狩りではミネルが感知魔法を練習がてら使い、ワシとアルタが討伐する。で、良いか?」
上手く魔法が使えずに少し落ち込んでいると、レタアちゃんはそれに気がついて私の頭を撫でてくれた。ふふ、ありがとう。少し元気出たよ。
「私頑張るね!」
「まあ、僕は討伐くらいしか貢献出来ないからね。頑張るよ。」
「よし、じゃあ森へレッツゴー!」
レタアちゃんの掛け声でいざ、森へ出発!
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