106 / 200
魔法教師編
4-25
しおりを挟む
「で、肝心の呪文なのじゃが、『魔力碌々新緑の森』だそうじゃ。」
ディエゴからの返事を紙に書いておいたからな、ワシでも忘れずにいられたんじゃ。メモ、本当、大事。
「うーわぁー……」
その呪文をミネルに伝えると、ドン引きしたかのように顔を引きつらせた。む? なんじゃ?
「前々から思っていたんだけど、なんでこの世界の呪文は早口言葉なの?」
「早口言葉……? ミネルちゃん、それは何?」
ワシもアルタも理解出来ずに首を傾げる。多分ミネルの前世世界の話じゃろうことは推測出来たが、内容までは推測出来なかった。
「あれ、この世界には無いんですか? 言いにくい言葉を羅列して、それを早く喋り切るっていう遊び。」
「へぇ……面白いね、それ。」
「なかなか面白いですよ。今回の呪文は意味不明ですけど言いにくさはありますよね。」
「魔力りょっ……本当だ。」
確かに言われてみれば言いにくい言葉じゃな。アルタも途中で噛んでいたし。
しかし、何故そんな言いにくい言葉を呪文として扱っているのじゃろうか。ふーむ、呪文に関して言えば素人よりも素人じゃからな、謎は深まるばかりじゃ。
何せ前世では魔法を作ったら作りっぱなしで、その魔法に呪文を付けることになど一ミリも関与していないのじゃからな! えっへん! 確かワシが作った魔法に呪文を付けるのは魔術師団の人達だったか。
まあ、この話はいいとして。
「……さて、じゃあまずはミネル、ワシにその魔法を使ってみろ。ワシの魔力を測ってやるぞ! という意気で。」
「押忍! 魔力碌々新緑の森! ……?」
ミネルは気合十分に呪文を唱える。が、その後首を傾げる。多分魔法が発動しなかったのじゃろう。魔力の動きが感じられなかったからな。
「ミネル、もっとイメージをするんじゃよ。どんな魔法を使いたいのか、そしてどうしたいのか。」
「が、頑張る……」
うぅー、と唸りながらミネルは魔法をどう使いたいのか、頑張ってイメージしているのじゃろう。
「……魔力碌々新緑の森!」
今度はグワッとミネルの魔力が大きく動いたのが分かった。ああ、これはコントロール出来ずに暴発する方だな。そこまで理解した時、ミネルは『ひょえっ!』とおかしな声を出した。なんじゃ?
「れ、れ、レタアちゃんが真っ黒!」
「真っ黒? ……まあ、ワシは魔力量が多いからな。」
確かにこの魔法は掛けた対象に色がついて見えるが、ワシは自分に同じ魔法を掛けても真っ黒には見えないが……
まあ、今ミネルは魔法を暴発させたようなものじゃからな、真っ黒に見えてもおかしくはないのじゃろう。
「えぇ……あれ?」
ワシの魔力量にドン引きするミネルはその後すぐにキョトンと顔を呆けさせる。
「ミネル、どうした?」
「アルタさんにも色がついて見える。」
「「はぁ!?」」
感知魔法は『魔力持ちの魔力量を視認出来るように色を付ける』魔法。それなのに魔力持ちではないアルタに色がついて見えるとは一体……?
ミネルside
うう、この感知魔法、コントロールがもんのすごく難しいかも……
レタアちゃん曰く、レタアちゃん自身に魔法を使ってみても真っ黒にはならないらしいし、何より今私は魔力持ちではないアルタさんにも色がついて見えている。
でも何度試してもレタアちゃんは真っ黒に見えるようになるし、アルタさんは薄っすら色付いて見える。あれれ~?
未だに真っ黒なレタアちゃんは『魔法が暴走気味だから、アルタにも魔力があるかのように見えてしまうのでは?』と言っていた。
そっかー、やっぱりアルタさんには魔力は無いのかー。ワンチャン実は皆魔力を持っている、みたいな展開は無いのかー。
「魔力碌々新緑の森! ……やっぱりレタアちゃん真っ黒だぁ……」
何度試しても真っ黒になるレタアちゃん。なんか前世で見た推理もののアニメの犯人みたい。
「ふむ、なかなかに難しいようじゃな。」
「うん。」
「まあ、そんなに落ち込むことはない。最初は誰でも出来ない所から始まるからな。ということで今日の狩りではミネルが感知魔法を練習がてら使い、ワシとアルタが討伐する。で、良いか?」
上手く魔法が使えずに少し落ち込んでいると、レタアちゃんはそれに気がついて私の頭を撫でてくれた。ふふ、ありがとう。少し元気出たよ。
「私頑張るね!」
「まあ、僕は討伐くらいしか貢献出来ないからね。頑張るよ。」
「よし、じゃあ森へレッツゴー!」
レタアちゃんの掛け声でいざ、森へ出発!
ディエゴからの返事を紙に書いておいたからな、ワシでも忘れずにいられたんじゃ。メモ、本当、大事。
「うーわぁー……」
その呪文をミネルに伝えると、ドン引きしたかのように顔を引きつらせた。む? なんじゃ?
「前々から思っていたんだけど、なんでこの世界の呪文は早口言葉なの?」
「早口言葉……? ミネルちゃん、それは何?」
ワシもアルタも理解出来ずに首を傾げる。多分ミネルの前世世界の話じゃろうことは推測出来たが、内容までは推測出来なかった。
「あれ、この世界には無いんですか? 言いにくい言葉を羅列して、それを早く喋り切るっていう遊び。」
「へぇ……面白いね、それ。」
「なかなか面白いですよ。今回の呪文は意味不明ですけど言いにくさはありますよね。」
「魔力りょっ……本当だ。」
確かに言われてみれば言いにくい言葉じゃな。アルタも途中で噛んでいたし。
しかし、何故そんな言いにくい言葉を呪文として扱っているのじゃろうか。ふーむ、呪文に関して言えば素人よりも素人じゃからな、謎は深まるばかりじゃ。
何せ前世では魔法を作ったら作りっぱなしで、その魔法に呪文を付けることになど一ミリも関与していないのじゃからな! えっへん! 確かワシが作った魔法に呪文を付けるのは魔術師団の人達だったか。
まあ、この話はいいとして。
「……さて、じゃあまずはミネル、ワシにその魔法を使ってみろ。ワシの魔力を測ってやるぞ! という意気で。」
「押忍! 魔力碌々新緑の森! ……?」
ミネルは気合十分に呪文を唱える。が、その後首を傾げる。多分魔法が発動しなかったのじゃろう。魔力の動きが感じられなかったからな。
「ミネル、もっとイメージをするんじゃよ。どんな魔法を使いたいのか、そしてどうしたいのか。」
「が、頑張る……」
うぅー、と唸りながらミネルは魔法をどう使いたいのか、頑張ってイメージしているのじゃろう。
「……魔力碌々新緑の森!」
今度はグワッとミネルの魔力が大きく動いたのが分かった。ああ、これはコントロール出来ずに暴発する方だな。そこまで理解した時、ミネルは『ひょえっ!』とおかしな声を出した。なんじゃ?
「れ、れ、レタアちゃんが真っ黒!」
「真っ黒? ……まあ、ワシは魔力量が多いからな。」
確かにこの魔法は掛けた対象に色がついて見えるが、ワシは自分に同じ魔法を掛けても真っ黒には見えないが……
まあ、今ミネルは魔法を暴発させたようなものじゃからな、真っ黒に見えてもおかしくはないのじゃろう。
「えぇ……あれ?」
ワシの魔力量にドン引きするミネルはその後すぐにキョトンと顔を呆けさせる。
「ミネル、どうした?」
「アルタさんにも色がついて見える。」
「「はぁ!?」」
感知魔法は『魔力持ちの魔力量を視認出来るように色を付ける』魔法。それなのに魔力持ちではないアルタに色がついて見えるとは一体……?
ミネルside
うう、この感知魔法、コントロールがもんのすごく難しいかも……
レタアちゃん曰く、レタアちゃん自身に魔法を使ってみても真っ黒にはならないらしいし、何より今私は魔力持ちではないアルタさんにも色がついて見えている。
でも何度試してもレタアちゃんは真っ黒に見えるようになるし、アルタさんは薄っすら色付いて見える。あれれ~?
未だに真っ黒なレタアちゃんは『魔法が暴走気味だから、アルタにも魔力があるかのように見えてしまうのでは?』と言っていた。
そっかー、やっぱりアルタさんには魔力は無いのかー。ワンチャン実は皆魔力を持っている、みたいな展開は無いのかー。
「魔力碌々新緑の森! ……やっぱりレタアちゃん真っ黒だぁ……」
何度試しても真っ黒になるレタアちゃん。なんか前世で見た推理もののアニメの犯人みたい。
「ふむ、なかなかに難しいようじゃな。」
「うん。」
「まあ、そんなに落ち込むことはない。最初は誰でも出来ない所から始まるからな。ということで今日の狩りではミネルが感知魔法を練習がてら使い、ワシとアルタが討伐する。で、良いか?」
上手く魔法が使えずに少し落ち込んでいると、レタアちゃんはそれに気がついて私の頭を撫でてくれた。ふふ、ありがとう。少し元気出たよ。
「私頑張るね!」
「まあ、僕は討伐くらいしか貢献出来ないからね。頑張るよ。」
「よし、じゃあ森へレッツゴー!」
レタアちゃんの掛け声でいざ、森へ出発!
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!
つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。
他サイトにも公開中。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる