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魔法教師編
4-20
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ワシはどんな話をされるかと身構えていたら、魔術師団の人はその場に傅いた。それもワシに向かって。そして一言。
「ラールル様っ……!」
「ゴフッ……」
想定していた話題とはかけ離れたものだったからな、ワシは衝撃をもろに受ける。心の中では吐血しているレベルの衝撃だ!
というか何故ワシがラールルだとバレている。
「わ、ワシはそんなラールルじゃないですよぉ~レタアですじゃよぉ~」
「いえ、いえ、私には分かります。ああ、私には敬語など不要ですから、普段通りでお願い致します。」
あれー? ワシ渾身の演技に騙されないだなんて……。それにこの人、ワシがラールルだと信じてやまないみたいじゃ。
なんだろう、崇拝されているような気配すら感じる。ワシ、この人の言動よく分からない。
「ああ、失念しておりました。私は魔術師団長のディエゴでございます。どうぞディエゴとお呼びください。」
「え、あ、うん……」
まさかの魔術師団長だったのか! 一番偉いじゃないか! 驚きすぎてワシは返事らしい返事を出来なかった。
「ラールル様……!」
恍惚な表情でワシを見るディエゴ。それを見てワシは寒気を感じた。……ああ、ワシは目の前にいるディエゴにドン引きしているのか。崇拝までされているかのようなその態度に。
しかしドン引きしているだけでは話が進まない。どうにかここに連れてこられた意味を聞き出さなければ。
「な、何故ここにワシを連れてきたんじゃ。」
「それは、あなた様がラールル様だと私が確認したかったからです。」
「ふむ。では何故ワシがラールルだと?」
「魔力の質がラールル様と同じでしたから。」
ディエゴのその発言にワシは眉毛を上げる。
「……何故とっくの昔に死んだラールルの魔力を、今を生きるお前さんが知っている?」
「そりゃあもちろん、感知魔法を埋め込んだ魔導具を見れば分かります。そしてその魔力の質とレタアさんの魔力の質が同じでしたから。」
「……魔力の質、か……」
遠い昔の記憶が朧げに思い出される。確か前世でお世話になった魔術師団の団員の中に、魔力の質を見ることが出来る目を持つ人がいたはず。確か名前は……
「ダスク」
「ええ、ええ、そうですそうです。ダスク様は私の先祖でございます。ラールル様と関わり合いのある先祖でございます。やはりあなた様はラールル様なのですねっ……!」
「あ、やばっ」
どうしてこうもワシは迂闊なのじゃろう。口から漏れ出ていたその言葉を飲み込む術はない。
「ラールル様ラールル様……」
どうしよう、こいつ怖い。神でも拝んでいるかのような姿勢はワシにとって恐怖を植え付けるものでしかなかった。
というかそれを確認するためだけにワシを呼び出したのなら、もう帰ってもいいのではなかろうか。
「話が終わったのなら、帰ってもいいか?」
「いえ、いえ、本題はここからです。」
「はぁ……」
「ラールル様は……」
「ディエゴ、その『ラールル様』はやめてくれ。ワシの今の名はレタアじゃ。」
「かしこまりました、レタア様。」
「あーのー、『様』も要らんのじゃが……」
「いいえ、いいえ、これはあなた様に敬意を払うために必要なのです。」
さて、どう説明しよう……。正直に全て喋ってしまおうか。うーむ……
「ラールル様っ……!」
「ゴフッ……」
想定していた話題とはかけ離れたものだったからな、ワシは衝撃をもろに受ける。心の中では吐血しているレベルの衝撃だ!
というか何故ワシがラールルだとバレている。
「わ、ワシはそんなラールルじゃないですよぉ~レタアですじゃよぉ~」
「いえ、いえ、私には分かります。ああ、私には敬語など不要ですから、普段通りでお願い致します。」
あれー? ワシ渾身の演技に騙されないだなんて……。それにこの人、ワシがラールルだと信じてやまないみたいじゃ。
なんだろう、崇拝されているような気配すら感じる。ワシ、この人の言動よく分からない。
「ああ、失念しておりました。私は魔術師団長のディエゴでございます。どうぞディエゴとお呼びください。」
「え、あ、うん……」
まさかの魔術師団長だったのか! 一番偉いじゃないか! 驚きすぎてワシは返事らしい返事を出来なかった。
「ラールル様……!」
恍惚な表情でワシを見るディエゴ。それを見てワシは寒気を感じた。……ああ、ワシは目の前にいるディエゴにドン引きしているのか。崇拝までされているかのようなその態度に。
しかしドン引きしているだけでは話が進まない。どうにかここに連れてこられた意味を聞き出さなければ。
「な、何故ここにワシを連れてきたんじゃ。」
「それは、あなた様がラールル様だと私が確認したかったからです。」
「ふむ。では何故ワシがラールルだと?」
「魔力の質がラールル様と同じでしたから。」
ディエゴのその発言にワシは眉毛を上げる。
「……何故とっくの昔に死んだラールルの魔力を、今を生きるお前さんが知っている?」
「そりゃあもちろん、感知魔法を埋め込んだ魔導具を見れば分かります。そしてその魔力の質とレタアさんの魔力の質が同じでしたから。」
「……魔力の質、か……」
遠い昔の記憶が朧げに思い出される。確か前世でお世話になった魔術師団の団員の中に、魔力の質を見ることが出来る目を持つ人がいたはず。確か名前は……
「ダスク」
「ええ、ええ、そうですそうです。ダスク様は私の先祖でございます。ラールル様と関わり合いのある先祖でございます。やはりあなた様はラールル様なのですねっ……!」
「あ、やばっ」
どうしてこうもワシは迂闊なのじゃろう。口から漏れ出ていたその言葉を飲み込む術はない。
「ラールル様ラールル様……」
どうしよう、こいつ怖い。神でも拝んでいるかのような姿勢はワシにとって恐怖を植え付けるものでしかなかった。
というかそれを確認するためだけにワシを呼び出したのなら、もう帰ってもいいのではなかろうか。
「話が終わったのなら、帰ってもいいか?」
「いえ、いえ、本題はここからです。」
「はぁ……」
「ラールル様は……」
「ディエゴ、その『ラールル様』はやめてくれ。ワシの今の名はレタアじゃ。」
「かしこまりました、レタア様。」
「あーのー、『様』も要らんのじゃが……」
「いいえ、いいえ、これはあなた様に敬意を払うために必要なのです。」
さて、どう説明しよう……。正直に全て喋ってしまおうか。うーむ……
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