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魔法教師編
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さて、気持ちを切り替えて話を聞こう。
「では次、南東ギルド長。」
「はい。」
お、モジャヒの番じゃな。
「俺……私からは冒険者達の体験談を。日頃から魔物と戦ってきた彼らも、魔物が強くなったと肌で感じるらしいです。そして先程一、二パーセント凶暴化しているとデータが出ていましたが、冒険者達の話だと高ランクの魔物は少なくとも一つランクが上がったのではないかと思われる程の変化があったそうです。」
「ふむ。では次、警備隊長。」
お、次はダナルンのターンじゃな!
「はい。私は街の警備の観点から。私達の以前の主な仕事は人が関係した問題の対処だったのに対し、ここ数年は街に寄る魔物の対処がほとんどを占めます。凶暴化もそうですが、人に対して恐怖心を持つ臆病な魔物ですら街に訪れるようになった。その部分でも何か対策を取らなければならないと思います。」
「うむ。」
何が原因か。それが分かれば対処出来そうだが……
「では何か意見質問がある人は挙手を。」
「はい。」
取り敢えず手、挙げとけ。
「ではそこの……若い女性の……」
「レタアです。」
椅子から立ち上がって質問する姿勢を見せる。
「そう、レタアさん。……あの、そもそもあなたは何枠でこの会議に参加されているんです?」
「え? ええと……魔法馬鹿枠、ですかね?」
「ふざけないでください。」
ええ……本当にその枠で参加していた気分だったのに怒られたじゃないか。ワシは『理不尽っ!』と言わんばかりの表情を浮かべておいた。
「……ゴホン、まあ良いでしょう。で、何ですか?」
「あー……ええと、その魔物の活性化は地域限定的なものなのか、全国各地で見られる現象なのか、とか……気になって……」
「その問題なら私が。」
魔術師団の人が答えてくれるらしい。いやー、懐かしいな。今の人達は知らないが、前世の頃の魔術師団にはお世話になったというかお世話したというか……
まあ、うん。新たな魔法を開発して、それを提供した先が魔術師団だったんじゃよな。懐かしいなぁ……
「この件は世界各地で起きており、寒暖も関係なく魔物が増加していると報告を受けております。」
「ふむ、なら季節の変わり目で増えたとは言えない、か……。原因に心当たりは?」
「「「……」」」
皆が首を振る。まあ、無いよなぁ……。原因が分かっていれば対策もすぐ取れるものな……
ワシは取り敢えず席に着き、もう一度考えることにした。このままだと人に被害が及ぶ。それは避けたいからな。うーん、どうしたものか……
「魔物が考えることを知れたらまた違うのでしょうか……」
「だがそんな魔法存在しないだろう?」
「そうなんだよなぁ……」
「それなら、今数値化出来ている魔物の凶暴性と魔力量、これを使うのはどうでしょう。」
「というと?」
「それら二つの増加具合を調べて、地域ごとに増加具合に差があるのか。それを調べるのは良いと思います。」
「成る程。それを調べる方法は簡単に出来るものですか?」
魔術師団の人がその質問に静かに首を横に振ったのを、ワシは横目で見ていた。
「では次、南東ギルド長。」
「はい。」
お、モジャヒの番じゃな。
「俺……私からは冒険者達の体験談を。日頃から魔物と戦ってきた彼らも、魔物が強くなったと肌で感じるらしいです。そして先程一、二パーセント凶暴化しているとデータが出ていましたが、冒険者達の話だと高ランクの魔物は少なくとも一つランクが上がったのではないかと思われる程の変化があったそうです。」
「ふむ。では次、警備隊長。」
お、次はダナルンのターンじゃな!
「はい。私は街の警備の観点から。私達の以前の主な仕事は人が関係した問題の対処だったのに対し、ここ数年は街に寄る魔物の対処がほとんどを占めます。凶暴化もそうですが、人に対して恐怖心を持つ臆病な魔物ですら街に訪れるようになった。その部分でも何か対策を取らなければならないと思います。」
「うむ。」
何が原因か。それが分かれば対処出来そうだが……
「では何か意見質問がある人は挙手を。」
「はい。」
取り敢えず手、挙げとけ。
「ではそこの……若い女性の……」
「レタアです。」
椅子から立ち上がって質問する姿勢を見せる。
「そう、レタアさん。……あの、そもそもあなたは何枠でこの会議に参加されているんです?」
「え? ええと……魔法馬鹿枠、ですかね?」
「ふざけないでください。」
ええ……本当にその枠で参加していた気分だったのに怒られたじゃないか。ワシは『理不尽っ!』と言わんばかりの表情を浮かべておいた。
「……ゴホン、まあ良いでしょう。で、何ですか?」
「あー……ええと、その魔物の活性化は地域限定的なものなのか、全国各地で見られる現象なのか、とか……気になって……」
「その問題なら私が。」
魔術師団の人が答えてくれるらしい。いやー、懐かしいな。今の人達は知らないが、前世の頃の魔術師団にはお世話になったというかお世話したというか……
まあ、うん。新たな魔法を開発して、それを提供した先が魔術師団だったんじゃよな。懐かしいなぁ……
「この件は世界各地で起きており、寒暖も関係なく魔物が増加していると報告を受けております。」
「ふむ、なら季節の変わり目で増えたとは言えない、か……。原因に心当たりは?」
「「「……」」」
皆が首を振る。まあ、無いよなぁ……。原因が分かっていれば対策もすぐ取れるものな……
ワシは取り敢えず席に着き、もう一度考えることにした。このままだと人に被害が及ぶ。それは避けたいからな。うーん、どうしたものか……
「魔物が考えることを知れたらまた違うのでしょうか……」
「だがそんな魔法存在しないだろう?」
「そうなんだよなぁ……」
「それなら、今数値化出来ている魔物の凶暴性と魔力量、これを使うのはどうでしょう。」
「というと?」
「それら二つの増加具合を調べて、地域ごとに増加具合に差があるのか。それを調べるのは良いと思います。」
「成る程。それを調べる方法は簡単に出来るものですか?」
魔術師団の人がその質問に静かに首を横に振ったのを、ワシは横目で見ていた。
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