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魔法教師編

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「これから魔物活性化対策会議を始める。」

 厳格そうなおじさんが低い声でそう宣言した。多分この人がこの会議の進行役なのじゃろうことが推測出来た。

 それにしても……ワシ、明らかに浮いてるな。二十歳程の見た目に変えたからまだマシじゃが、それでも。皆結構お年を召している雰囲気じゃからな。

 まあ、精神年齢で見ればワシもこの人達の仲間入りは出来るが──それを言ったら逆にワシが長老扱いを受けそうなので黙っておく──。

「まずは騎士団から報告を。」
「はい。我が騎士団で魔物の討伐に当たった際、魔術師団に助力頂き魔物の凶暴さを数値化しました。結果、どの魔物も以前より一、二パーセント程凶暴化しているという値が出ました。」

「成る程。……では次、魔術師団。」
「はい。私達は魔物が持つ魔力量を調査しました。すると以前よりも増加傾向にあり、さらに言えば辛うじて残っていた過去の貴重な資料と照らし合わせると六百年前と同等の魔力量に戻ったようです。」

「というと?」
「遥か昔は今よりも魔物が持つ魔力量が多かった。それが約六百年を境に魔力量が減少傾向にあった。ということが分かります。」

「ふむ、ということはその六百年前に何が起こったかを調べれば或いは……?」
「しかしそんな前の資料などほとんど残っておりません。辛うじて、と今私は言いました。何せ五百年前の戦争でほとんどの資料が焼け焦げてしまったのですから。復元は不可能です。」
「っ……!!」

 ひゅっ、とワシは息を飲む。その戦いはもしかしなくても前世のワシが死んでからすぐに起きたというあの……

 ワシ、の……魔法が……今回の対策を阻むものになるとは……

「おい、レタア……大丈夫か。顔真っ青だぞ。」
「……シが……ワシの……せいで……」
「おい、」
「……ワシに出来ることは……ワシに……」

 ワシは魔法を操ることしか能がない。だから魔法でどうにかしないと。どうにか、どうにか……

 バシッ

「いったあ!」

 何故か急にダナルンに頭叩かれた! 思わず大声で叫んでしまったではないか! ワシはキッとダナルンを睨む。

「お前さんがおかしかったから正気に戻してやったというのに。」
「ワシはいつも通りじゃ。」
「嘘つけ阿呆。」
「ワシはアホじゃない!」
「静粛に。」

 進行役がゴホンと咳払いをし、ワシを睨みながらそう注意する。

「……ご、ごめんなさい……」

 くっ、ダナルンに頭叩かれるわ進行役に注意されるわ……踏んだり蹴ったりじゃな。
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