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魔法教師編

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 またまたそれから半年が過ぎ、ワシらは九歳になった。身長も随分伸び、あと一年で魔法学校に通う年齢になるのじゃが……

 果たしてミネルは魔法学校に通って魔法面で新たに習うことはあるのじゃろうか。うーむ、そこら辺はさすがのワシでも分からんな。

 何せミネルは今現時点、三回に一回程の確率でコントロール出来たレベル二の魔法を出力出来るようになったのじゃから。……まあ、三回に二回は失敗して水浸しになるがな。

 しかしそれでも随分レベル二を扱えるようになってきたと言えよう。九十パーセントの確率で魔法は出力出来るのじゃからな。後はコントロールじゃ。

「生麦生米生卵、ぽん!」

 ミネルの呪文で、掌サイズの水の玉がふわふわと浮かぶ。うむ、いい感じじゃ。

「じゃあミネル、今度は火を起こしてみろ。」
「はーい! 生麦生米生卵、ぽん!」

 ブォワワッ!

「ぎゃー!!!」

 ありゃ、今度は失敗したらしい。有り得ない程大きな火力のそれが出現したのじゃからな。

 ワシのお手本はこれまた掌サイズを目指していたのじゃよ。それくらいまで精密にコントロール出来るようになれば、大きさを変えたりするのも楽になるというもの。だからここが辛抱の時じゃ。

「よーし、じゃあ今度は風を吹かせてみろ。」
「はーい! 生麦生米生卵、ぽん!」

 ビュォオッ!!

「んぎゃっ!」

 台風並みの風が一瞬吹く。ミネルの奇声にも慣れたもんよ。

………………
…………
……

「いや~、ミネルちゃんの魔法、日に日に成長しているのが僕にも分かるようになってきたよ。」
「えへへ、やったぁ……!」

 魔法の鍛錬後恒例のお茶の時間。今日もワシの家の木から取れた果物ジュースじゃ。

 そして今日はミネルが作ったという……しふぉんけーき、とか言う甘々ふわふわなお菓子も一緒じゃ。これがまた美味いのじゃよ。ミネルの料理上手は前世の頃かららしく、ワシの胃袋は既にミネルに掴まれている状態なのじゃ。うまうま。

 ああ、そうそう。今日も今日とてアルタは見学していて、お茶の時間も一緒じゃ。アルタは魔力持ちではないのに、ミネルの魔法が成長していると分かる程この何年かずっと一緒にいる。

 そういえば、いつだったかアルタがちゃんと休めているか気になって姉のグリンにどことなく聞いてみたのじゃが……

 まさかの今までで一番ゆっくりしているとのこと。更に言えば休みを確実に取る為にギルドの業務を時間内に終わらせるようになったとのこと。

 今までアルタは不真面目代表だったのに、最近は真面目に働いているからこちらグリンも仕事が楽になった。だからアルタのことをこれからもよろしく、とまで言われてしまった程だ。まあ、アルタには内緒じゃが。

「レタアちゃん、魔力量は増えたかな?」
「どれどれ……おお、増えてる増えてる。」
「よっし!」

 感知魔法を使ってミネルの魔力量を測ると、また増えていることが分かった。魔法の勉強を始めた当初に比べたら随分増えたものじゃ。ミネルの成長を感じてワシも嬉しくなるなぁ。堪え切れずにふふ、と笑うと、いつの間にか隣に来ていたアルタに頭を撫でられていた。
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