80 / 199
冒険者編
3-35
しおりを挟む
あの後しばらく話し込み、街に戻って解散した。ミネルは最初動揺していたが、すぐ信じてくれた。
……ミネルは順応力高いよな。というかそこまで人を信じられるのは素晴らしいが、悪い奴らに騙されないか心配である。まあ、その時はワシがどうにか解決してやるか。うむ。なんたってミネルはワシの友達第一号じゃからな!
「レタアちゃん……」
「ん? どしたアルタ。」
「僕、まだちょっと状況を整理出来てないんだけど、でも、レタアちゃんは嘘つかないと思っているから……」
そこで言葉を切り、アルタは右左と目を彷徨わせる。
まあ、こんな突拍子もない話、信じる方が難しかろう。ミネルは転生者同士ということで話をすんなりと信じたのじゃろうが、アルタは転生者でも無ければ魔力持ちでもない。それに証拠も無い。だから信じられないと言われてもまあ仕方ないな。
心の奥底で『信じて欲しい』だなんて叫ぶワシがいることには見ないフリをして──
「ちょっと時間を頂戴? 頭の中整理させたいからさ。でもレタアちゃんのことをこれで嫌ったりはしないだろうから、そこは安心していいよ。」
「う、うむ……」
いつものチャラけた雰囲気は鳴りを潜め、こんな突拍子もないことにも真摯に向き合ってくれるアルタ。その姿にワシの胸がぎゅんとする。
「……?」
ぎゅん? 心臓の病気じゃろうか。……一応回復魔法を自分に掛けておく。
「じゃあレタアちゃん、また今度ね。」
「う、うむ。」
何故じゃろうか、いつものように軽い返事が出来ない。しかし吃りながらもなんとか返事をし、アルタを見送る。
あれから二日が経った。この二日間で胸がぎゅんとはならなかったので、きっと回復魔法が効いているのじゃろう。良かった。
そして今日からはミネルの魔法教師として働くことになっている。魔法の天才と呼ばれたワシじゃが、教えることに関して言えば自信がこれっぽっちもない。
不安は不安じゃが、まあ、どうにかなるじゃろう。と、自分を鼓舞してミネル宅に向かうのじゃった。
……ミネルは順応力高いよな。というかそこまで人を信じられるのは素晴らしいが、悪い奴らに騙されないか心配である。まあ、その時はワシがどうにか解決してやるか。うむ。なんたってミネルはワシの友達第一号じゃからな!
「レタアちゃん……」
「ん? どしたアルタ。」
「僕、まだちょっと状況を整理出来てないんだけど、でも、レタアちゃんは嘘つかないと思っているから……」
そこで言葉を切り、アルタは右左と目を彷徨わせる。
まあ、こんな突拍子もない話、信じる方が難しかろう。ミネルは転生者同士ということで話をすんなりと信じたのじゃろうが、アルタは転生者でも無ければ魔力持ちでもない。それに証拠も無い。だから信じられないと言われてもまあ仕方ないな。
心の奥底で『信じて欲しい』だなんて叫ぶワシがいることには見ないフリをして──
「ちょっと時間を頂戴? 頭の中整理させたいからさ。でもレタアちゃんのことをこれで嫌ったりはしないだろうから、そこは安心していいよ。」
「う、うむ……」
いつものチャラけた雰囲気は鳴りを潜め、こんな突拍子もないことにも真摯に向き合ってくれるアルタ。その姿にワシの胸がぎゅんとする。
「……?」
ぎゅん? 心臓の病気じゃろうか。……一応回復魔法を自分に掛けておく。
「じゃあレタアちゃん、また今度ね。」
「う、うむ。」
何故じゃろうか、いつものように軽い返事が出来ない。しかし吃りながらもなんとか返事をし、アルタを見送る。
あれから二日が経った。この二日間で胸がぎゅんとはならなかったので、きっと回復魔法が効いているのじゃろう。良かった。
そして今日からはミネルの魔法教師として働くことになっている。魔法の天才と呼ばれたワシじゃが、教えることに関して言えば自信がこれっぽっちもない。
不安は不安じゃが、まあ、どうにかなるじゃろう。と、自分を鼓舞してミネル宅に向かうのじゃった。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
愛しのお姉様(悪役令嬢)を守る為、ぽっちゃり双子は暗躍する
清澄 セイ
ファンタジー
エトワナ公爵家に生を受けたぽっちゃり双子のケイティベルとルシフォードは、八つ歳の離れた姉・リリアンナのことが大嫌い、というよりも怖くて仕方がなかった。悪役令嬢と言われ、両親からも周囲からも愛情をもらえず、彼女は常にひとりぼっち。溢れんばかりの愛情に包まれて育った双子とは、天と地の差があった。
たった十歳でその生を終えることとなった二人は、死の直前リリアンナが自分達を助けようと命を投げ出した瞬間を目にする。
神の気まぐれにより時を逆行した二人は、今度は姉を好きになり協力して三人で生き残ろうと決意する。
悪役令嬢で嫌われ者のリリアンナを人気者にすべく、愛らしいぽっちゃりボディを武器に、二人で力を合わせて暗躍するのだった。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる