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冒険者編

3-35

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 あの後しばらく話し込み、街に戻って解散した。ミネルは最初動揺していたが、すぐ信じてくれた。

 ……ミネルは順応力高いよな。というかそこまで人を信じられるのは素晴らしいが、悪い奴らに騙されないか心配である。まあ、その時はワシがどうにか解決してやるか。うむ。なんたってミネルはワシの友達第一号じゃからな!

「レタアちゃん……」
「ん? どしたアルタ。」
「僕、まだちょっと状況を整理出来てないんだけど、でも、レタアちゃんは嘘つかないと思っているから……」

 そこで言葉を切り、アルタは右左と目を彷徨わせる。

 まあ、こんな突拍子もない話、信じる方が難しかろう。ミネルは転生者同士ということで話をすんなりと信じたのじゃろうが、アルタは転生者でも無ければ魔力持ちでもない。それに証拠も無い。だから信じられないと言われてもまあ仕方ないな。

 心の奥底で『信じて欲しい』だなんて叫ぶワシがいることには見ないフリをして──

「ちょっと時間を頂戴? 頭の中整理させたいからさ。でもレタアちゃんのことをこれで嫌ったりはしないだろうから、そこは安心していいよ。」
「う、うむ……」

 いつものチャラけた雰囲気は鳴りを潜め、こんな突拍子もないことにも真摯に向き合ってくれるアルタ。その姿にワシの胸がぎゅんとする。

「……?」

 ぎゅん? 心臓の病気じゃろうか。……一応回復魔法を自分に掛けておく。

「じゃあレタアちゃん、また今度ね。」
「う、うむ。」

 何故じゃろうか、いつものように軽い返事が出来ない。しかし吃りながらもなんとか返事をし、アルタを見送る。





 あれから二日が経った。この二日間で胸がぎゅんとはならなかったので、きっと回復魔法が効いているのじゃろう。良かった。


 そして今日からはミネルの魔法教師として働くことになっている。魔法の天才と呼ばれたワシじゃが、教えることに関して言えば自信がこれっぽっちもない。

 不安は不安じゃが、まあ、どうにかなるじゃろう。と、自分を鼓舞してミネル宅に向かうのじゃった。
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