千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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冒険者編

3-34

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「それはチーズの種類じゃない? 魔王の名前がゴルゴンゾーラだったら威厳も何も無くない? 美味しそうだよ。」

 そう言ってミネルは呆れた目でワシを見る。何故そんな目で見られなければならないのじゃ。これぞまさに理不尽とかいうやつじゃな。

「あれ、魔王の名前ってゴルギャンディーノじゃなかったっけ?」
「む、アルタはあいつのこと知ってるのか?」
「そりゃあ、冒険者やってたくらいだからね。一般的な情報くらいは知ってるかな。」
「ほぇー……」

「で、ラールルって人が魔王を封じ込めてくれたおかげで、今こんなに平和なんだよ。」
「……ん? ワシ、あいつのこと封じ込めてなんていないぞ?」
「は?」
「え?」

 ……ふーむ、ワシとアルタの間に何か勘違いが生まれているらしい。お互い呆けた顔を見合わせて数秒、沈黙が続いた。

 それを先に破ったのはワシじゃった。

「あいつがいつものように戦いを挑んできたからワシは仕方なくあいつと戦って、その後あいつが自ら『戦い疲れたからしばらく寝るー』とか何とか言って棺に入って寝た。

で、しばらくあいつが出てこれないように魔法で棺に鍵をかけイタズラした。ただそれだけのことじゃよ。」

 これでしばらくゴルなんとかの相手をしなくていいなー、程度に考えていたのじゃが……まだあいつは寝てるのか。じゃあ永遠に寝てろ、と言いたいところじゃが。

「え、でも封印と言える程強力な魔法だったらしいけど?」
「知らんがな。」
「しかもその封印の魔法がそろそろ解けそうだからって、皆不安がっているみたいだよ。」

「ん? なぜ不安がることがあるのじゃ? あいつの力は確かに強大だが、それを悪用するような奴ではない。

魔王とは言えど世界を滅ぼしたいなどの野望や企みなどは持ち合わせない平和なやつだぞ。(不本意じゃが)一緒に戦ってきた悪友であるワシが言うんじゃからな。信用してくれてかまわん。」

 あいつは戦闘狂だが、弱い者いじめはやらんやつじゃ。そのせいで互角に戦えるワシが毎度毎度戦いに付き合わされるのじゃ。傍迷惑極まりない。

「でもそんな裏事情を知っている人間なんてレタアちゃんくらいでしょう? 皆は得体の知れなくて情報もない魔王と言う存在に恐れをなすのは仕方ないよ。」

 ふーむ、そうなのか……。まぁ確かに得体の知れないものに恐れをなすのは普通のことか。そうかそうか。
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