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冒険者編
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「さて着いたな。っと……」
先程も来た前世の我が家に転移する。ワシが死んでから何百年と経っているはずなのに、崩れ落ちることも無さそうじゃ。随分頑丈な作りの家だったのじゃな。感心感心。
「取り敢えずリビングだけ掃除するからな。ちょっと待っててくれ。」
「ほーい!」
「う、うん……」
二人には外で待っててもらい、一人家に入り早速リビングに浄化魔法を掛ける。これで埃は取れたかの。後は一応窓でも開けとくか。今の季節はそこまで暑くも寒くもないからな。
ガタンと音を立てて窓を開けると、森の中特有のあの澄んだ空気が部屋に入ってくる。ああ、懐かしい。ここで暮らしていたんだ、と昔を思い出す。
「あとはお茶でも……」
待てよ、もうこの家にあるお茶っ葉は使えないのではないか? カポリとお茶っ葉が入っている缶を開けるが……やっぱりやめとくか。何百年前のものか分からないからな、これ飲んでお腹壊したら辛いものじゃ。
しかし水は魔法で作れども、お茶っ葉は魔法で作り出せない。ううむ、ううむ、どうしたものか……
そう考えを巡らせながら二人をリビングに招き入れる。あ、そうじゃ、あの手があった!
「二人とも、飲み物はジュースでもいいか?」
「お構いなくー。」
「あ、うん。何でも大丈夫。」
「じゃあちょっと待っててくれ。」
生前お世話になったアレを使えばもしかしたら……
家の外に一度出て、家の裏に回る。そこには一本の大木があった。ああ、まだ枯れていなかったか。良かった。ホッと息を吐く。
この木には随分お世話になった。前世は食べることに頓着しなかったから、この木になる実を食べて飢えをしのいでいたっけ……。しみじみと前世に想いを馳せる。
この木は一年を通して実をつける特殊な木なので、今も赤々とした実をつけている。ワシはそれを風魔法を使って落とし、拾う。
三つ四つ同様に落として拾う。これくらいあれば充分じゃろう。その果物(名前は知らん)を両手に抱えて家に戻る。
コトリ、椅子に座る二人の前に先程採ってきた果物を刻んだジュースを置く。
ワシも空いている椅子に座り、ふっと一息つく。
「さて、二人とも。聞きたいことがあるんじゃろう?」
「じゃあ僕から……良い?」
「良いぞ。」
アルタが先に質問するらしい。
「あのさ……」
言いづらそうに、でもしっかりとワシの目を見て口を開いた。
先程も来た前世の我が家に転移する。ワシが死んでから何百年と経っているはずなのに、崩れ落ちることも無さそうじゃ。随分頑丈な作りの家だったのじゃな。感心感心。
「取り敢えずリビングだけ掃除するからな。ちょっと待っててくれ。」
「ほーい!」
「う、うん……」
二人には外で待っててもらい、一人家に入り早速リビングに浄化魔法を掛ける。これで埃は取れたかの。後は一応窓でも開けとくか。今の季節はそこまで暑くも寒くもないからな。
ガタンと音を立てて窓を開けると、森の中特有のあの澄んだ空気が部屋に入ってくる。ああ、懐かしい。ここで暮らしていたんだ、と昔を思い出す。
「あとはお茶でも……」
待てよ、もうこの家にあるお茶っ葉は使えないのではないか? カポリとお茶っ葉が入っている缶を開けるが……やっぱりやめとくか。何百年前のものか分からないからな、これ飲んでお腹壊したら辛いものじゃ。
しかし水は魔法で作れども、お茶っ葉は魔法で作り出せない。ううむ、ううむ、どうしたものか……
そう考えを巡らせながら二人をリビングに招き入れる。あ、そうじゃ、あの手があった!
「二人とも、飲み物はジュースでもいいか?」
「お構いなくー。」
「あ、うん。何でも大丈夫。」
「じゃあちょっと待っててくれ。」
生前お世話になったアレを使えばもしかしたら……
家の外に一度出て、家の裏に回る。そこには一本の大木があった。ああ、まだ枯れていなかったか。良かった。ホッと息を吐く。
この木には随分お世話になった。前世は食べることに頓着しなかったから、この木になる実を食べて飢えをしのいでいたっけ……。しみじみと前世に想いを馳せる。
この木は一年を通して実をつける特殊な木なので、今も赤々とした実をつけている。ワシはそれを風魔法を使って落とし、拾う。
三つ四つ同様に落として拾う。これくらいあれば充分じゃろう。その果物(名前は知らん)を両手に抱えて家に戻る。
コトリ、椅子に座る二人の前に先程採ってきた果物を刻んだジュースを置く。
ワシも空いている椅子に座り、ふっと一息つく。
「さて、二人とも。聞きたいことがあるんじゃろう?」
「じゃあ僕から……良い?」
「良いぞ。」
アルタが先に質問するらしい。
「あのさ……」
言いづらそうに、でもしっかりとワシの目を見て口を開いた。
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