千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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冒険者編

3-30

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 ミネルがこの家を壊さんばかりに叫ぶ。なんじゃ、そんなに驚くことではなかろうに。ワシは耳を塞いでミネルが落ち着くのを待つ。

「え、え、じゃあレタアちゃんは魔法の天才の生まれ変わりってことだよね!?」
「まあな。天才じゃ。」

 偏屈だなんて伝わり方をしているなど……気分は良くないな。

 ぶすーっと頬を膨らませる。

「えぇ~! レタアちゃんのどこが偏屈だって言うの!? こんなに可愛いのにぃ!」

 ぷすーっ……頬の空気が抜けていく。そのまま頬がゆるゆるに緩む。

「うへ、ワシ可愛いか?」
「その返事はそうでもないかな?」
「うっ、厳しいな。」

 だが一人でもワシが偏屈なババァではないと理解してくれた。それだけでも救われた気がした。

「……おっ、あったあった。」

 棚の奥の奥に魔法学校の卒業の証、ローブと帽子があった。千年以上前の物であるはずなのに、破けたり穴が開いたりもしていない。埃はすごく被っているが。このままでも使えそうじゃな。

 ワシはこれに浄化魔法を使い、埃を綺麗に取り除く。新品同然になったそれらを身に纏うとミネルがちょこちょことこちらに来た。

「わぁ! ザ・魔法使いって感じ!」
「……? まあ、魔法使いじゃからの。」
「いや、あの、前世で魔法使いといえば黒のとんがり帽子と黒いローブ! まさにそれにピッタリな装いだよレタアちゃん!」
「お、おぅ……。じゃがミネルもいずれは魔法学校に通うのじゃろう? そうすれば卒業の証としてこれが渡される。」
「ふぉぉぉ! それは俄然やる気出るね!」
「そうか?」
「そうだよぅ! で、その格好で箒に乗って飛ぶ! うわぁ、私、魔法の勉強頑張らないと!」

 ん? 箒に乗って飛ぶ? 面白い発想じゃな。股裂けそう。

「……さて、話もそこそこにして取り敢えずミネルの家に戻るか。そろそろ時間切れじゃからな。よしミネル、ワシに掴まっててな。」
「はーい!」

 ミネルがワシの手を掴んだのを確認してから、転移魔法を展開する。







 一瞬の浮遊感の後、先程までいた部屋に辿り着く。するとミネルの父母は目を見開いて驚いていた。む? 今度はなんじゃ?

「それは……首席で卒業した証の帽子ではないか!」

 ミネル父の大きな声が部屋に響く。キール家の人は皆声が大きいのか? うーむ分からんな。
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