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冒険者編

3-21 ミネルヴァside

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 ああ、やっぱり私の家を見たマルさんとアルタさんは顔を引きつらせてる。私が貴族であると知って、今までのようにただのミネルとして接してくれるかな。そこが不安だ。

 私は貴族だからと皆に頭を下げられたいわけではない。むしろ逆。立場関係なく笑っていられたらそれだけでいいのだ。貴族なのにそう考えてしまうのは前世の記憶のせいだろうけど。でも、だから……

 あ、でもレタアちゃんはそこまで驚いてないね。なんでだろう。もしかして既に貴族だってバレてた? だから今驚かないのかな? うーん、分からないや。

「皆さん、送ってくれてありがとうございました。」
「いえいえ。」
「気にすんな。」

 マルさんとアルタさんのそう言いつつも取り繕った笑顔が、私の心を締め付ける。前世ではただの一般市民だったが故に、余計今世の生まれが貴族であるだけで親しくしてくれないのは……辛い。

「……あの、」
「ん?」

 だからこそ声をかけて三人を引き止めてしまったが、なんて言えばいいんだろう。『貴族だけどこれからも仲良くしてくれ』?『ドン引きしないで』?それとも……

 ぐるぐると考え込んでいると、レタアちゃんがポンと頭を撫でてくれた。

「大丈夫じゃ。何も変わらん。……じゃあ、イーニャお婆ちゃんから連絡が来たらワシが伝達魔法を使ってミネルに知らせるからな!」
「レタアちゃん……。ありがとう。」

 まさに今悩んでいたことに対してのお言葉に、私の心が晴れ渡ったのが分かった。

 ああ、この人を逃してはいけない。そう理解出来た。











「さて、抜き足差し足忍び足……っと。」

 三人と別れ、屋敷の中に裏口から入る。この外出は屋敷の誰にも言っていないからこそ、こんなにコソコソしているのだ。

 キョロキョロと辺りを見回して人を避けながら自室へと向かう。

「ふー……」

 パタンと自室の扉を閉めて一息つく。時計を見るとちょうどお昼ご飯の時間。良かった、間に合った。家を抜け出したことを誰にも悟られずに済むね。ホッと安堵する。

 安堵したところで、コンコンとノック音が聞こえてきた。

「失礼します。ミネルヴァお嬢様、昼食の用意が出来ました。」
「ええ、今行くわ。」

 さて、オジョーサマらしく振る舞おうじゃないか!
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