66 / 199
冒険者編
3-21 ミネルヴァside
しおりを挟む
ああ、やっぱり私の家を見たマルさんとアルタさんは顔を引きつらせてる。私が貴族であると知って、今までのようにただのミネルとして接してくれるかな。そこが不安だ。
私は貴族だからと皆に頭を下げられたいわけではない。むしろ逆。立場関係なく笑っていられたらそれだけでいいのだ。貴族なのにそう考えてしまうのは前世の記憶のせいだろうけど。でも、だから……
あ、でもレタアちゃんはそこまで驚いてないね。なんでだろう。もしかして既に貴族だってバレてた? だから今驚かないのかな? うーん、分からないや。
「皆さん、送ってくれてありがとうございました。」
「いえいえ。」
「気にすんな。」
マルさんとアルタさんのそう言いつつも取り繕った笑顔が、私の心を締め付ける。前世ではただの一般市民だったが故に、余計今世の生まれが貴族であるだけで親しくしてくれないのは……辛い。
「……あの、」
「ん?」
だからこそ声をかけて三人を引き止めてしまったが、なんて言えばいいんだろう。『貴族だけどこれからも仲良くしてくれ』?『ドン引きしないで』?それとも……
ぐるぐると考え込んでいると、レタアちゃんがポンと頭を撫でてくれた。
「大丈夫じゃ。何も変わらん。……じゃあ、イーニャお婆ちゃんから連絡が来たらワシが伝達魔法を使ってミネルに知らせるからな!」
「レタアちゃん……。ありがとう。」
まさに今悩んでいたことに対してのお言葉に、私の心が晴れ渡ったのが分かった。
ああ、この人を逃してはいけない。そう理解出来た。
「さて、抜き足差し足忍び足……っと。」
三人と別れ、屋敷の中に裏口から入る。この外出は屋敷の誰にも言っていないからこそ、こんなにコソコソしているのだ。
キョロキョロと辺りを見回して人を避けながら自室へと向かう。
「ふー……」
パタンと自室の扉を閉めて一息つく。時計を見るとちょうどお昼ご飯の時間。良かった、間に合った。家を抜け出したことを誰にも悟られずに済むね。ホッと安堵する。
安堵したところで、コンコンとノック音が聞こえてきた。
「失礼します。ミネルヴァお嬢様、昼食の用意が出来ました。」
「ええ、今行くわ。」
さて、オジョーサマらしく振る舞おうじゃないか!
私は貴族だからと皆に頭を下げられたいわけではない。むしろ逆。立場関係なく笑っていられたらそれだけでいいのだ。貴族なのにそう考えてしまうのは前世の記憶のせいだろうけど。でも、だから……
あ、でもレタアちゃんはそこまで驚いてないね。なんでだろう。もしかして既に貴族だってバレてた? だから今驚かないのかな? うーん、分からないや。
「皆さん、送ってくれてありがとうございました。」
「いえいえ。」
「気にすんな。」
マルさんとアルタさんのそう言いつつも取り繕った笑顔が、私の心を締め付ける。前世ではただの一般市民だったが故に、余計今世の生まれが貴族であるだけで親しくしてくれないのは……辛い。
「……あの、」
「ん?」
だからこそ声をかけて三人を引き止めてしまったが、なんて言えばいいんだろう。『貴族だけどこれからも仲良くしてくれ』?『ドン引きしないで』?それとも……
ぐるぐると考え込んでいると、レタアちゃんがポンと頭を撫でてくれた。
「大丈夫じゃ。何も変わらん。……じゃあ、イーニャお婆ちゃんから連絡が来たらワシが伝達魔法を使ってミネルに知らせるからな!」
「レタアちゃん……。ありがとう。」
まさに今悩んでいたことに対してのお言葉に、私の心が晴れ渡ったのが分かった。
ああ、この人を逃してはいけない。そう理解出来た。
「さて、抜き足差し足忍び足……っと。」
三人と別れ、屋敷の中に裏口から入る。この外出は屋敷の誰にも言っていないからこそ、こんなにコソコソしているのだ。
キョロキョロと辺りを見回して人を避けながら自室へと向かう。
「ふー……」
パタンと自室の扉を閉めて一息つく。時計を見るとちょうどお昼ご飯の時間。良かった、間に合った。家を抜け出したことを誰にも悟られずに済むね。ホッと安堵する。
安堵したところで、コンコンとノック音が聞こえてきた。
「失礼します。ミネルヴァお嬢様、昼食の用意が出来ました。」
「ええ、今行くわ。」
さて、オジョーサマらしく振る舞おうじゃないか!
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
愛しのお姉様(悪役令嬢)を守る為、ぽっちゃり双子は暗躍する
清澄 セイ
ファンタジー
エトワナ公爵家に生を受けたぽっちゃり双子のケイティベルとルシフォードは、八つ歳の離れた姉・リリアンナのことが大嫌い、というよりも怖くて仕方がなかった。悪役令嬢と言われ、両親からも周囲からも愛情をもらえず、彼女は常にひとりぼっち。溢れんばかりの愛情に包まれて育った双子とは、天と地の差があった。
たった十歳でその生を終えることとなった二人は、死の直前リリアンナが自分達を助けようと命を投げ出した瞬間を目にする。
神の気まぐれにより時を逆行した二人は、今度は姉を好きになり協力して三人で生き残ろうと決意する。
悪役令嬢で嫌われ者のリリアンナを人気者にすべく、愛らしいぽっちゃりボディを武器に、二人で力を合わせて暗躍するのだった。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる