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冒険者編

3-11

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「なぬ!? あのセンプウキ、ミネルが提案したのか!?」
「そうだよ!」

 あれは組み込まれた術も素晴らしいが、魔力の無い人間が風を起こして涼めるという発想も素晴らしいものじゃ。それをミネルが提案したなど思ってもみなかった!

「こんなに小さいのに……すごいな。」

 ワシの隣にいるマルがボソッと感心したように呟いた。ああ、そうか。ワシには教えてくれたがマルとアルタには言ってなかったものな。ミネルも転生者だということを。まあ、教えたとしても信じるかどうかは分からんからな、言わないでおいた方が良いじゃろう。

「そうじゃな。……っと、着いたな。」
「婆ちゃーん!」

 バーン、と臆することも無く魔道具屋に入っていくミネル。おお、その勢いは見習いたいものじゃな。ワシは昨日イーニャお婆ちゃんに追い出されたからな。なんとなく気まずいのでおずおずと静かに魔道具屋に入る。

 魔道具が置かれた一室はやはり薄暗い。電気つけちゃ駄目かの?

「……ああ、ミネルヴァか。」

 店の奥からヌッと出てきたイーニャお婆ちゃん。おお、ちょっとびっくりした。もう少しお客が驚かない出方をした方がいいのではなかろうか。

「ば、婆ちゃん!その名前は……!」

 イーニャお婆ちゃんの言葉を聞いて急に焦り出すミネル。対してイーニャお婆ちゃんはこれまた優しそうな顔でミネルを見つめている。そう、顔は優しそうなんじゃがの、多分性格がキツイのじゃろう。昨日ワシを追い出したくらいなのじゃから!

「……ん?『ミネル』?」

 あれ、イーニャ婆さんは『ミネル』と音が似た名前で呼んでいた。……なるほど、偽名か。

「あ、えと、その……」

 (多分)本名を知られてしまってあたふたと慌てるミネル、そしてワシらがいることに今気がついて驚くイーニャお婆ちゃん。

「……ああ、なんだい、お前さんかい。覚えているぞ。」

 イーニャお婆ちゃんにビシッと指をさされる。き、気まずいな。

「き、昨日ぶりじゃな~……」
「なんでミネルヴァと一緒なんだか。」
「ああ、それは……」

 かくかくしかじか。軽く先程の出来事を説明するとイーニャお婆ちゃんは納得したようだった。

「ふん、そうかい。ミネルヴァ、だからわえは一人で来るのは危ないと言っただろう? これからは誰かに事情を話して付いてきてもらいなさい。まだそんなに小さいんだから。」
「えー。だって……(前世の記憶があるとか言ったら頭おかしい人だって思われちゃう!)」

 イーニャお婆ちゃんに諭されるが、ミネルは不満そうに頬を膨らませて反論しようとしていた。側から見れば小さい子が駄々をこねているように見えて少し微笑ましいものじゃな。

 ……そこ、ワシと同い年だろうとか言わないの。
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