千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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冒険者編

3-7

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「む?」

 飴ちゃんも舐め終えたその頃、微かに声が聞こえてきた。それも、言い合うような荒々しい声。ワシ達の間の空気がピリッと張り付く。

「マル、アルタ、聞こえるか?」
「おう。」
「まあね。」

 それ以上は誰も言わなかったが、皆考えていることは同じじゃった。三人とも一緒のタイミングで声の元へと走り出す。












「やめて!」
「チビッコ! オラ手を離せや!」
「駄目! これは私の大切な……!」
「あ? これただの紙切れじゃねぇかよ! それも何て書いてんだこれ?」

 小さな女の子がいかにも悪そうな顔のオッサン二人に絡まれていた。ワシはそんな三人の間に音もなく割って入る。

「はい、そこまで。」
「んだぁ!? 嬢ちゃん、何の用だ!?」
「ワシはこの街の警備を担当する冒険者じゃよ。……それが何か?」

 スッと殺気を込めて睨むと一瞬怯むオッサン二人。

「ふ、ふん! この街も落ちぶれたもんだ! こんなか弱い嬢ちゃんにまで警備の仕事をさせるなんてな!」

 虚勢を張ってギャハハと汚く笑う二人。その額には薄っすら冷や汗が流れている。

 ワシは言葉を続けようとすると、マルが先に話し始めた。

「ふーん? そんなこと言ってもいいんだな?」
「げっ、警備のオッサンと……アルタ、さん……」
「やっほー? 僕のこと知ってるんだー?」

 ふむ、アルタって有名人なんじゃな。まあ、興味はないが。

 この場は二人に任せても良さそうじゃ。ということでワシはくるりと振り返る。

「ひっ!?」

 絡まれていた小さな子。ワシと同年代っぽそうじゃな。年は多分一桁。そして被っていたフードから覗く髪は銀色。それも手入れがきちんと行き渡っていそうなそれ。いいとこの嬢ちゃんなのじゃろうことが分かった。

「大丈夫か?」

 その子と目線を合わせるようにしゃがみ込み、怖がられないように笑顔を浮かべて話しかける。するとほんの少しだけ警戒心を解いてくれた。

「だい、じょうぶ……です。」
「そうか。あのオッサン供のことももう大丈夫じゃよ。ワシと一緒に来たあの二人に任せておけば。」
「……。」
「ああ、名乗るのを忘れておったな。ワシはレタア、じゃ。」
「……ミネル。」
「そうか。ミネルか。いい名前じゃな。」
「……。」

 まだ警戒心がバリバリじゃからな……さてどうするか。……あ、そうじゃ。いいことを思いついた。

「ミネル、」

 優しく名を呼ぶとミネルがおずおずとこちらを向いた。よし、良いな。

 こっちこっちと太陽の光が当たる場所までミネルを呼び寄せ、ワシは魔法で水を作り出す。
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