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冒険者編
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あ、それなら体術の確認をしようか。この体でも難なく動かせるかどうかの。
「ではお望み通り、反撃といこうか。」
思わずニヤリと笑ってしまった。それを見たオッサンは訝しげに眉間に皺を寄せる。
「おらおらおら!」
ぶんぶんとオッサンの拳やら足やらが飛んでくるがそれを全て躱し、ふっと屈み懐に潜り込む。
そしてドン、鳩尾に一発拳を入れる。
「かはっ!?」
するとオッサンは倒れた。呆気なかったの。
「ふー、おーわり!」
うむうむ、もう少し鍛錬すれば前世と同じように動けるじゃろう。転生したのじゃからもうあの宿敵(笑)との関わりはないじゃろうが、それでも万が一ということもある。用心に用心を心掛けないといけない。
そうでないとワシがラールルじゃと宿敵(笑)にバレた時に死ぬ。マジで死ぬ。あいつとは全力でやり合っても引き分けになるからの。ぶるり、思い出すだけで寒気がする。
「ま、じかよ……。ダナルンさんが一発でやられるなんて……!」
「なんだこいつ!」
「あ、そうじゃ。オッサンに鳩尾に痣が出来ていないかの?」
それは心配じゃからの。しゃがみ込んで倒れているオッサンに一応治癒魔法を掛ける。するとその時、
「おーい!」
誰かが向こうから走ってくる音が聞こえてきた。……空耳じゃな。うむ。ワシは何も聞こえなかった。うむうむ。アルタの声が聞こえた気もしなくもないが、知らん振りをする。
「レタアちゃん。無視しないでよ。」
ワシの肩を組んで隣にしゃがみ込むアルタらしき人物。む、近いから離れろ!
「レタアちゃん。おはよ。」
「……おはよう。」
渋々挨拶だけは返す。こいつは崖からワシを落とす計画を立てているようじゃからの。油断も隙もない。ここにこいつがいるとなると気を張っていかねばじゃな。
「ねぇ、レタアちゃん。なんでダナルンが大の字に寝転がってるの?」
「アルタさん聞いてください! そこの小娘が一発でダナルンさんを倒したんですよ!」
周りのオッサンが告げ口のような言い方でアルタに言う。しかしアルタはワシの隣ではぁ、と息を吐く。
「……嘘も休み休み言いなよ。そんなわけないじゃん。だってレタアちゃんは可愛くてか弱い女の子……」
「こいつはか弱くなんかないっす! ゴリラっすよ!」
ピキッ
その言葉を聞いたワシの米神に青筋が出来る。
「ほぅ? ワシをゴリラ扱いするのか?」
ワシは宿敵(笑)に対抗するために体術を学んだのじゃ。ゴリラ呼ばわりされる筋合いはない。
「ひいっ!?」
「お主らも倒されたいのじゃな? そうかそうか。それならそうと言ってくれれば良かったのじゃ。」
ワシの肩に乗ったアルタの腕を振り払って立ち上がる。にぃ、とワシが笑うとオッサン供は縮こまる。情けないものじゃな。こんなか弱い(笑)女子相手に縮こまるなんて。
「皆で寄ってたかって来ても良いんじゃよ?」
「……うぉぉぉおおお!」
ワシの安い挑発に乗ったオッサン供は一斉にワシへ向かってきた。
「ではお望み通り、反撃といこうか。」
思わずニヤリと笑ってしまった。それを見たオッサンは訝しげに眉間に皺を寄せる。
「おらおらおら!」
ぶんぶんとオッサンの拳やら足やらが飛んでくるがそれを全て躱し、ふっと屈み懐に潜り込む。
そしてドン、鳩尾に一発拳を入れる。
「かはっ!?」
するとオッサンは倒れた。呆気なかったの。
「ふー、おーわり!」
うむうむ、もう少し鍛錬すれば前世と同じように動けるじゃろう。転生したのじゃからもうあの宿敵(笑)との関わりはないじゃろうが、それでも万が一ということもある。用心に用心を心掛けないといけない。
そうでないとワシがラールルじゃと宿敵(笑)にバレた時に死ぬ。マジで死ぬ。あいつとは全力でやり合っても引き分けになるからの。ぶるり、思い出すだけで寒気がする。
「ま、じかよ……。ダナルンさんが一発でやられるなんて……!」
「なんだこいつ!」
「あ、そうじゃ。オッサンに鳩尾に痣が出来ていないかの?」
それは心配じゃからの。しゃがみ込んで倒れているオッサンに一応治癒魔法を掛ける。するとその時、
「おーい!」
誰かが向こうから走ってくる音が聞こえてきた。……空耳じゃな。うむ。ワシは何も聞こえなかった。うむうむ。アルタの声が聞こえた気もしなくもないが、知らん振りをする。
「レタアちゃん。無視しないでよ。」
ワシの肩を組んで隣にしゃがみ込むアルタらしき人物。む、近いから離れろ!
「レタアちゃん。おはよ。」
「……おはよう。」
渋々挨拶だけは返す。こいつは崖からワシを落とす計画を立てているようじゃからの。油断も隙もない。ここにこいつがいるとなると気を張っていかねばじゃな。
「ねぇ、レタアちゃん。なんでダナルンが大の字に寝転がってるの?」
「アルタさん聞いてください! そこの小娘が一発でダナルンさんを倒したんですよ!」
周りのオッサンが告げ口のような言い方でアルタに言う。しかしアルタはワシの隣ではぁ、と息を吐く。
「……嘘も休み休み言いなよ。そんなわけないじゃん。だってレタアちゃんは可愛くてか弱い女の子……」
「こいつはか弱くなんかないっす! ゴリラっすよ!」
ピキッ
その言葉を聞いたワシの米神に青筋が出来る。
「ほぅ? ワシをゴリラ扱いするのか?」
ワシは宿敵(笑)に対抗するために体術を学んだのじゃ。ゴリラ呼ばわりされる筋合いはない。
「ひいっ!?」
「お主らも倒されたいのじゃな? そうかそうか。それならそうと言ってくれれば良かったのじゃ。」
ワシの肩に乗ったアルタの腕を振り払って立ち上がる。にぃ、とワシが笑うとオッサン供は縮こまる。情けないものじゃな。こんなか弱い(笑)女子相手に縮こまるなんて。
「皆で寄ってたかって来ても良いんじゃよ?」
「……うぉぉぉおおお!」
ワシの安い挑発に乗ったオッサン供は一斉にワシへ向かってきた。
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