千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

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追い出されたよ編

2-29 オルコットside

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 レタアさん、優しすぎて悪い大人に騙されてしまいそう。そんな未来が余裕で想像出来てしまう。そしてそれをレタアさんが自覚していないとなると……どうすればいいのかな。

「レタアさん、あまり優しさの大盤振る舞いをしすぎると悪い人に騙されちゃいますよ?」
「む? そうか? じゃが騙されたとしても自分で対処出来ると思っていたが……」

 もぐもぐしながらもレタアさんは答えてくれた。確かにビッグベアを一瞬で殺してしまえる実力は持っているのだろうけれども、しかしそれでも心配になる。

「それでもです。それに、レタアさん無欲すぎません? こんなに高級なお肉、独り占めしたくなりませんか?」

 私だったら独り占めしてしまうと思う。腐らない魔法を掛けたなら尚更。

「む、皆で食った方が美味い。ただそれだけじゃよ。」
「そう、ですか?」

 するとレタアさんはふっと視線を下げる。

「……一人じゃと何を食べても味気ないものじゃ。そしてそれが過ぎると食に執着しなくなっていって、食べるのを忘れて死にかける。」
「死にかける……」

 昔を思い出しているような表情だった。それを見て、レタアさんも苦労してきたのだろうことが分かった。

「まあ、今は周りにたくさん人がいるからの。食べ物も美味く感じるし、寂しくない。やっぱり人はいいのぅ!」
「ふふふ」

 今は寂しくない。それを聞けて良かった。私も笑顔になっているのが自分でも分かった。

「オルコット!」
「はい?」
「一緒に食べよう! 一人じゃ食い切れん!」
「喜んで!」

 楽しそうなレタアさんを見ると私まで嬉しくなる。それってとても素敵なんじゃないかな。

「では自分用の取り皿持ってきますね!」
「うむ!」

 お皿を取りに厨房へ一旦戻る。













レタアside

「はぁ、美味かった美味かった。」

 部屋に戻りベッドに座ってお腹をさする。ああ、ベア肉、実に美味じゃった。余韻に浸る。

「それにオルコットも美味しいと目を輝かせていたし……たんまり持って帰ってきて正解じゃったな。」

 うむうむ。また狩ったら肉だけ持って帰ろうか。よし、決めた。

「さて、明日から警備の仕事をせねばならんし、そろそろ寝るか。」

 ふっと幻影魔法だけを解く。六歳児の姿に戻り、寝巻きに着替える。

 まあ、寝ている間も魔法を掛け続けることは可能じゃが、実際の姿を忘れないためにも寝る間だけは元の姿に戻ろうと決めておる。

「あー、やっぱりまだまだちびっこいな。早く二十歳くらいになりたいものじゃ。」

 二十歳くらいになれば成長はストップし、(前世の時は)九百年程そのままの姿を取る。そして残りの百年程でだんだん老いていく。そんな感じじゃった。今世もきっとそうなるじゃろう。

 じゃからとにかく早く大きくならねば!

「そのためには早寝早起きじゃ! おやすみ!」

 カチリと明かりを消して目を閉じる。
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