32 / 200
追い出されたよ編
2-16
しおりを挟む
「ワシはひよっこ新人のレタアちゃんじゃ!」
きゅるるんと可愛子ぶりっ子して答えてみる。
さて、この答え方のレパートリーは増やしてみた方がいいのじゃろうか……? 毎回同じ言い方じゃとこちらが飽きてくるし。
ウィンクでも練習してみるかの? ……よし、そうしよう。杏子屋に戻ったら練習しよう。
「……、……?」
ワシはそこまで頭の中で決めたというのに、受付の人はまだ頭の中で情報を処理出来ていないようじゃな。眉間に皺を寄せて首を右に左に傾げている。もう少し時間がかかるかの?
それから数秒待ち、ようやく受付の人は口を開く。
「……もしかして、魔力持ちですか?」
「うん? 持ってるが?」
「なるほど、それなら納得ですね。」
「ん? 魔力など皆持ってるものじゃないのか?」
「は?」
受付の人は真顔で一文字そう言う。いやいやいや、こちらの方こそ『は?』じゃよ。魔力など皆持って……
「何言ってんですか? この世界の人間ですか? もしかして常識無いんですか?」
「そ、そこまで言わなくても……」
受付の人はずいっと身を乗り出してワシに詰め寄った。ワシはそれにタジタジになる。
「いいですか? 魔力持ちというのは年々少なくなってしまっているんですよ? まあ、貴族様方の間では魔力持ちは多いらしいですけど。でも一般人での魔力持ちはもうほとんどいません。」
「え……?」
前世のワシが生きていた時は一般人でも普通に魔法を使っていた。それなのに今の時代、そんなに魔力持ちは少ないのか?
「ギルドの職員の中では長だけが魔力持ちです。」
「へえ……」
「だから魔力持ちはそれだけで強みですし、悪用されないように魔法学校で学ぶんですよ。……まさか、魔法学校にすら行ってないんですか?」
「あはは……まあ、そうじゃな。」
見た目は魔法で十五歳に見えるようにしているが、だって本当はまだ六歳児じゃもん。仕方なかろう。
「……今からでも魔法学校に通うことをお勧めします。」
こめかみを摩りながら受付の人はそう教えてくれた。でも……
「いやー、ワシはまだ学校に通うような年齢ではないからのぅ……」
「は?」
はい、二回目の『は?』を頂きましたー……なんてボケは要らんかの?
「だってレタアさん、登録の用紙に十五歳って……」
「嘘じゃよ。本当のことを言えば舐められるし、登録もさせてくれんじゃろ?」
「……では、本当は何歳なんですか?」
受付の人はハァー、と溜息をつきながらも会話は続く。
「……これは他言無用じゃが、ワシ、六歳児じゃから。」
「……は?」
こそっと暴露すると、三回目の『は?』を頂きましたー。
じゃが、これ、どう話せばいいかのぅ……
きゅるるんと可愛子ぶりっ子して答えてみる。
さて、この答え方のレパートリーは増やしてみた方がいいのじゃろうか……? 毎回同じ言い方じゃとこちらが飽きてくるし。
ウィンクでも練習してみるかの? ……よし、そうしよう。杏子屋に戻ったら練習しよう。
「……、……?」
ワシはそこまで頭の中で決めたというのに、受付の人はまだ頭の中で情報を処理出来ていないようじゃな。眉間に皺を寄せて首を右に左に傾げている。もう少し時間がかかるかの?
それから数秒待ち、ようやく受付の人は口を開く。
「……もしかして、魔力持ちですか?」
「うん? 持ってるが?」
「なるほど、それなら納得ですね。」
「ん? 魔力など皆持ってるものじゃないのか?」
「は?」
受付の人は真顔で一文字そう言う。いやいやいや、こちらの方こそ『は?』じゃよ。魔力など皆持って……
「何言ってんですか? この世界の人間ですか? もしかして常識無いんですか?」
「そ、そこまで言わなくても……」
受付の人はずいっと身を乗り出してワシに詰め寄った。ワシはそれにタジタジになる。
「いいですか? 魔力持ちというのは年々少なくなってしまっているんですよ? まあ、貴族様方の間では魔力持ちは多いらしいですけど。でも一般人での魔力持ちはもうほとんどいません。」
「え……?」
前世のワシが生きていた時は一般人でも普通に魔法を使っていた。それなのに今の時代、そんなに魔力持ちは少ないのか?
「ギルドの職員の中では長だけが魔力持ちです。」
「へえ……」
「だから魔力持ちはそれだけで強みですし、悪用されないように魔法学校で学ぶんですよ。……まさか、魔法学校にすら行ってないんですか?」
「あはは……まあ、そうじゃな。」
見た目は魔法で十五歳に見えるようにしているが、だって本当はまだ六歳児じゃもん。仕方なかろう。
「……今からでも魔法学校に通うことをお勧めします。」
こめかみを摩りながら受付の人はそう教えてくれた。でも……
「いやー、ワシはまだ学校に通うような年齢ではないからのぅ……」
「は?」
はい、二回目の『は?』を頂きましたー……なんてボケは要らんかの?
「だってレタアさん、登録の用紙に十五歳って……」
「嘘じゃよ。本当のことを言えば舐められるし、登録もさせてくれんじゃろ?」
「……では、本当は何歳なんですか?」
受付の人はハァー、と溜息をつきながらも会話は続く。
「……これは他言無用じゃが、ワシ、六歳児じゃから。」
「……は?」
こそっと暴露すると、三回目の『は?』を頂きましたー。
じゃが、これ、どう話せばいいかのぅ……
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました
言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。
貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。
「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」
それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。
だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。
それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。
それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。
気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。
「これは……一体どういうことだ?」
「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」
いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。
――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる