千年生きた伝説の魔女は生まれ変わる〜今世の目標は孤独死しないことなのじゃっ!〜

君影 ルナ

文字の大きさ
上 下
25 / 200
追い出されたよ編

2-9

しおりを挟む
 おおう!? ワシが自分に掛けたものが魔法だとヒゲもじゃは見破ったのか!?

 このヒゲもじゃ、只者でないな!

「お前さん、何者だ?」
「……それは、言わなければならないことなのか?」

「まあ、普通冒険者ってのは身元が分からない奴も多いからあまり聞かない質問だが、しかしお前さんが何重にも魔法を掛けられているのは異常だ。だから敢えて聞く。」
「ふむ。」

 何重にも、か。ええと、ワシ自身に掛けている魔法は……といっても感知阻害魔法と幻影魔法だけじゃが?

「二つしか掛けていないが、それでも異常か?」
「何、自分で掛けているのか?」
「もちろんじゃ。」

「それなら余計に異常だな。常時自分に魔法を掛け続けるなど、いくら魔力があっても足りない。それをやってのける異常さは理解出来るか?」
「ふむ……?」
「……それは自分で魔法を解くことも出来るのか?」
「もちろんじゃ。自分で掛けたのじゃから。」

「……解いてみせてくれないか?」
「何故じゃ?」
「俺はここのボスだ。だからここのギルドに危害を加える奴かどうか見極めなければならない。」
「ふむ。なるほど、分かった。じゃあその前に、この部屋に魔法を掛けてもいいか?」
「危なくないか?」
「無害じゃよ。」
「じゃあ許可する。」
「では……」

 ユアに話した時と同じように、部屋に防音魔法と感知阻害魔法を掛ける。

「じゃあ解くぞ。」

 ふっと自分に掛けた二つの魔法を解く。あ、服がぶかぶかになってしまった。……まあいいか。

「何!? 幼子!?」
「ひよっこ新人レタアちゃん、ちなみに六歳じゃ!」

 きゅるるん、幼児の可愛さを前面に出した笑顔を振りまく。危害を加えない者だと分かってもらうために。

「六歳児が魔法を無詠唱で、しかも一度に何種類も……それにこの魔力量は……。お前さん、本当に人間か?」
「酷いのじゃ! ワシは正真正銘の人間じゃ!」

 なんなんじゃ、このヒゲもじゃは! 失礼にも程があるじゃろう!

 頬を膨らませ、ぶんぶんと有り余った袖を振り回してヒゲもじゃに抗議する。

「百年生きてきて初めてだな、こんなことは……」
「ふん! 百年ぽっちで偉そうに言うな!」
「百年ぽっち……だと?」
「あ。」

 しまった。ワシの感覚で喋ってしまった。ワシの中では百年など人生のうちの十分の一。じゃからぽっちと言ってしまった。

 しかし魔力を持つ人間は平均百五十年程で死んでしまうのを忘れておった。そう考えるとヒゲもじゃは平均寿命の半分以上は過ぎているのじゃな。ぽっちではないな。

「お前さん……人間じゃないな?」

 ヒゲもじゃの目は鋭くなる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました

言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。 貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。 「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」 それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。 だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。 それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。 それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。 気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。 「これは……一体どういうことだ?」 「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」 いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。 ――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜

七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。 ある日突然、兄がそう言った。 魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。 しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。 そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。 ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。 前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。 これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。 ※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

処理中です...