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追い出されたよ編
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荷物を纏めたとはいえ、本当に出ていかなければならないのか分からない。もしかしたらちょっとした冗談かもしれんし……。どうしよう、どうしよう。
「お、お母様にも聞いてみよう!」
妙案だ! きっとお母様はそんなことないと否定してくれるはずじゃ!
それなら……この時間なら中庭にいるはずだと当たりをつけて走って向かう。着ているのがドレスとか気にしていられない。出て行けだなんて嘘に決まってる!
「はあ、はあ、お、母様!」
「あら……レタアちゃん。どうしたの?」
お母様は中庭でお茶を飲んでいた。そしてワシの呼びかけにのほほんと笑ってそう聞いてくれた。
ワシものほほんとココアを飲みたいが、今はそれどころじゃない。
深呼吸し、呼吸を整える。
「ワシ、お父様に出て行けと言われたのじゃ! じ、冗談、じゃよな……?」
ワシのその言葉を聞いて、お母様はふっと笑顔を消した。え、そんな表情など見たことないのに……
不安がより一層大きくなる。
「……そう、やっぱりそうだったのね。」
「『そう』とは……?」
な、なんか不穏な空気を感じる。当たらなければいいが……
お母様はふっと氷が出来そうなくらい冷たい目でワシを見た。
「ああ、魔力が低い子を産んでしまったなんて……私に恥をかかせないで。さっさと出て行って頂戴。」
「お、お母様……?」
そんな冷たい目で、そんな低い声で言われたのは初めてでワシは狼狽えてしまった。
「あなたは私の汚点よ。早くここから出て行って。もうあなたの顔は見たくないわ!」
「っ……」
お母様の強い声がワシに叩きつけられた。
ワシはそれから頭が真っ白になりながらも部屋に戻り、纏めた荷物を持って家を出る。
ここにいては危険だと本能が察知したのじゃろう。ワシは実に優秀じゃな。
しかし門の外で立ち尽くしたワシはハッと気がついた。
「あれ、またワシひとりぼっちなのか!? それは不味い! どうにかせねば!」
思わず叫んでしまう程の衝撃事実じゃったからの。さて、どうしたものか……
「お、お母様にも聞いてみよう!」
妙案だ! きっとお母様はそんなことないと否定してくれるはずじゃ!
それなら……この時間なら中庭にいるはずだと当たりをつけて走って向かう。着ているのがドレスとか気にしていられない。出て行けだなんて嘘に決まってる!
「はあ、はあ、お、母様!」
「あら……レタアちゃん。どうしたの?」
お母様は中庭でお茶を飲んでいた。そしてワシの呼びかけにのほほんと笑ってそう聞いてくれた。
ワシものほほんとココアを飲みたいが、今はそれどころじゃない。
深呼吸し、呼吸を整える。
「ワシ、お父様に出て行けと言われたのじゃ! じ、冗談、じゃよな……?」
ワシのその言葉を聞いて、お母様はふっと笑顔を消した。え、そんな表情など見たことないのに……
不安がより一層大きくなる。
「……そう、やっぱりそうだったのね。」
「『そう』とは……?」
な、なんか不穏な空気を感じる。当たらなければいいが……
お母様はふっと氷が出来そうなくらい冷たい目でワシを見た。
「ああ、魔力が低い子を産んでしまったなんて……私に恥をかかせないで。さっさと出て行って頂戴。」
「お、お母様……?」
そんな冷たい目で、そんな低い声で言われたのは初めてでワシは狼狽えてしまった。
「あなたは私の汚点よ。早くここから出て行って。もうあなたの顔は見たくないわ!」
「っ……」
お母様の強い声がワシに叩きつけられた。
ワシはそれから頭が真っ白になりながらも部屋に戻り、纏めた荷物を持って家を出る。
ここにいては危険だと本能が察知したのじゃろう。ワシは実に優秀じゃな。
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