ほたるいはシスイを照らす光となり得るか

君影 ルナ

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二章 六月のほたるい

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コムギside

 生徒会室に移動し始めた茨水様と珈夜さん。一般生徒の私が雲の上の存在である茨水様について行って良いものかとアタフタしていると、茨水様は私の方を向いて天女の微笑みを浮かべた。

 はわわその微笑みは幾らですか! 私お金そんなに持ってませんっ!

「緊張なさらないでくださいな。ちょっとお茶に付き合って頂きたいだけですから。」

 そう言ってくれたけど、何か裏があるんじゃないかって考えちゃうのは私の悪い癖。何でもかんでも悪い方に考えてしまうのだ。

 良いのかなぁ、大丈夫かなぁ、とオロオロしながらも、お二人にちゃんとついて行く。お茶したいというお願いを突っぱねる度胸もないし。








 生徒会室に着くと、ソファーを勧められた。茨水様の対面にあるそれに座り、心地良い感触を確かめていると、目の前のテーブルにホカホカなお茶が置かれた。

 それを置いたのは生徒会メンバーの緑さん。さささ三年生だ年上だどうしよう失礼のないようにしなきゃお礼言わなきゃ……と、グルグルとまた考え込んでしまう。

「緑さんありがとうございます。」
「いえいえ~。緑茶を淹れるのは得意ですから~。僕も飲みたかったしちょうど良かったよ~」
「緑さんの淹れたお茶、とても美味しいですから私も飲めて嬉しいです。」
「あ、嬉しいこと言ってくれるじゃ~ん」

 茨水様と緑さんがのほほんと会話する。ああ私もお礼言わないと! 緊張でカラカラに乾いた喉を叱咤し声を上げる。

「おおおお茶あああありがとうございましたっ!」
「いいえ~どういたしまして~」

 ああ優しい方だ。この学校の生徒会メンバーは皆さんお優しいのですかっ!?

 ああ、やっぱりこの方々は雲の上の存在だぁ……

「で、ついさっき出て行ったばかりなのに、もう見つけたのか?」

 あ、紅蓮さんだ。なんか目つき怖……いえいえ! なんでもありませんっ! 私は何も考えていませんよ! 威圧感があるとか!

「いいえ、紅蓮さん。この方は……言いがかりをつけられていらして……あ、証拠も音声だけですがバッチリ取りましたから」
「まぁた生徒会長サマは何かに首突っ込んだのか?」
「また、と言われましても……私そんなに無鉄砲ではありませんよ。」
「違う違う。また他人のためにウンヌンカンヌン言うつもりだろう?」
「は、はぁ……」

 す、すごい光景を目の当たりにしている気分だ。校内新聞や集会の時前で演説したりしている様を見ると、茨水様はとてもしっかりしたお方なんだと思っていた。

 が、目の前のやり取りを見ると、茨水様もやっぱり普通の人間なんだと理解出来てしまった。

「それよりも湖麦さんのお話ですよ!」

 あと茨水様って、意外と話題を変えるのが下手だよね。さっきも思っちゃったけど。
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