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二章 六月のほたるい

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ミドリside

「さすがにこの状態を続けてはいけないことは分かるな? 見過ごして取り返しのつかないことにはしたくない。」

 僕は今の今まで蛍涙病っていう名前すら知らなかった。でも紅蓮くんの説明を聞いて、このままだといけないことは分かった。

 ストレスが溜まりすぎて良いことは一つもないもんね。下手すれば茨水さんの命が危うくなる。それは僕でも分かった。

「蛍涙病はストレスが減ると治る、と今のところ言われている。」
「紅蓮くんって物知りだねぇ~」

 僕が率直な感想を述べると、紅蓮くんと珈夜さんはキョトンと顔を呆けさせた。あれ、僕なんか変なこと言ったかな? 首を傾げてみるが、この状況の原因は何か分からなかった。あれれ~?

「……ああ、まあ、緑はそういう奴だよな。」
「え?」
「ミドリさんのお陰でシリアスな空気が和らいで良かったかもしれませんね……」
「あれ、僕黙ってた方が良かった?」

 二人とも微妙な顔だ。……僕って結構そういう微妙な空気を作っちゃうらしくて、どうにかしたいんだけど……難しいなぁ。

「……いや、張り詰めた空気の中で良い案を出せなんて土台無理な話だからな。結果オーライだ。気にすんな。」
「そう?」
「ああ。で、緑の質問に答えるとすると、俺が……いや、俺の家が病院やっててな。その関係で知った。」
「へぇ~……じゃあ紅蓮くんの将来はやっぱりお医者さん?」
「ああ、まあ。俺の出来にもよるが、跡を継ぐことにはなるだろうな。」

 へぇ~、すごいなぁ。僕なんてまだ将来なんて考えたこと無いよ。

 それにしてもまた一つ紅蓮くんのこと知れて良かったな。ウフフ。

「……」

 と、僕と紅蓮くんで話を盛り上げていると、珈夜さんは黙って紅蓮くんをジットリ睨んでいた。珈夜さんってよく紅蓮くんのこと敵対視した目で見るよね。

 あ、でもその中にまた違う感情も見える。これは……嫉妬、かな。なんで嫉妬するんだろう?

 そういえば前、紅蓮くんは珈夜さんには無いものを持っているからウンヌンカンヌンって言ってたね。それかなぁ?

 珈夜さんに無くて紅蓮くんにはあるもの……ってなんだ?

 う~ん、僕難しいのは苦手だなぁ~。
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