ほたるいはシスイを照らす光となり得るか

君影 ルナ

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二章 六月のほたるい

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グレンside

 停電があった日から三日が経った。あの停電の次の日から二日程体調不良で学校を休んでいた珈夜がようやく出てきた日でもある。

 俺は今日、この三日間ずっと考えていたことを実行するべく、珈夜と緑にメールを一通送った。

『生徒会長サマのことで話がある。生徒会長サマ抜きのメンバーで集まりたい。昼休み、昼飯持参で裏庭集合。』

 集合を掛けた俺が一番に集まらなければ、だなんて考えて早足で集合場所へ向かう。

 この学校にも裏庭はある。人通りが少ない場所故に、密会をするには適した場所である。今日も雨降りだったが、ちゃんと屋根がある所に集まる予定だ。

「遅い。」
「……早いな。」

 裏庭に一番乗りしたと確信すらあったというのに、そこにはもう既に珈夜がいた。不機嫌な顔を隠さずに俺へと向けている。

 生徒会長サマ関連の話だから行動力も半端ではなかったことが容易に想像出来た。

「体調はどうだ。」
「……大丈夫です。久し振りだったので少し辛かったですけど。でもシスイ様が何度も看病しに来てくださりました。」
「そうか。」

 生徒会長サマの話になると不機嫌も消し飛ぶらしい。頬を緩めて幸せそうにしていた。まあ、通常運転だな、と安心する。

「はぁ、緑はまだか。」
「ごめ~ん、遅くなった~。購買のデザートってどれも美味しいからねぇ~迷っちゃったぁ~」
「……はぁ。」

 まあ、こちらもいつも通り、か。二人の様子を観察して元気そうであることを確認してひっそりと安堵しておく。

 三人ともベンチに座り一息ついた後、俺は真面目な顔真面目な声で話し始めた。

「さて二人とも。話がある。生徒会長サマのことだ。」
「メールの通りだね~?」


「ああ。……で、その前に。二人とも、『蛍涙病』という言葉に聞き覚えは?」


 それを知っているかどうかで説明量が変わってくる。さて、二人はどんな反応をするのやら。
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